聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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586部分:第八十四話 黒と白その三
第八十四話 黒と白その三
「これでわかったな。私の技が」
「くっ、確かにな」
「それはだ」
それを倒れ伏しながら言う彼等だった。
「まさかこれ程までとはな」
「恐ろしい男だ」
「我等の負けだ」
そしてこう言ったのであった。
「無念だがそれは認めよう」
「だが」
「だが。何だ」
アイオロスはその彼等の言葉に対して問い返した。
「何だというのだ?」
「我等に勝ったとしてもだ」
「それでアーレス様に勝てるとは思わないことだ」
彼等が今言うのはこのことだった。
「それは言っておく」
「それはな」
「そうか、その言葉は確かに聞いた」
アイオロスは彼等のその言葉を邪険にはしなかった。落ち着いた様子でそれを受け冷静に返すのだった。それが如何にもアイオロスらしかった。
「アーレスか」
「アーレス様は必ずこの世に降臨される」
「絶対にだ」
それは必ずだと断言する彼等であった。
「その時こそ我等の勝利の時だ」
「所詮貴様等はアーレス様には勝てはしない」
「神には、というわけだな」
「そうだ、その通りだ」
「アーレス様には誰も勝てはしない」
自分達が仕える神には絶対の信仰を見せるのだった。
「例えオリンポスの神々であろうともだ」
「戦いの神に勝てる者はいない」
「誰であろうとだ」
こう言うその間に死期に近付いていた。そうしてであった。
彼等はそのまま事切れたのであった。後にはアイオロスだけが残った。しかし彼は勝利の余韻に浸ってはいなかった。再び戦いに思いを馳せていた。
「ムウはどうか」
彼の闘いについてであった。今そのムウはリーヴェと対峙していた。
そのリーヴェがだ。まずは一歩出て来たのであった。
「さて、それではです」
「来られるというのですね」
「そうです」
まさにその通りだというのだった。
「アリエス、申し上げた筈です」
「彼等の仇をですか」
「取らせてもらいます」
言いながらまた一歩前に出る。するとさらにその小宇宙が沸き起こったのであった。その大きさはムウのそれと比べても全く遜色のないものであった。
その小宇宙のままムウを見て。静かにその右手を胸の前にやってきた。
そうして今言う言葉は。
「それではです」
「技をですか」
「私の技を見せましょう」
言いながらであった。その右手に黒い渦を涌き起こしてきた。それは最初は掌にあったが徐々に大きくなっていき。やがてリーヴェの身体全体程になってしまった。
そしてそれをムウに向けて放ち。こう叫んだ。
「ブラックホール」
「ブラックホールというと」
ムウはその不吉な名前を聞いてすぐに声をあげた。
「あの宇宙にある全てを吸い込むという渦ですか」
「その通りです」
また答えるリーヴェであった。ブラックホールを放ったうえで。
「これこそがです」
「そうですか。やはり」
「このブラックホールは全てを吸い込みます」
このことをあらためてムウに告げた。
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