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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ハリー・ポッター】編
  171 二年目のハロウィーン

 
前書き

後書きにお知らせがあります。 

 

SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー

マルフォイへナメクジを喰らわせてから数日。季節は早くもハロウィーンの目前となっていた。

例の〝疑似不老長寿薬〟の開発は、当初の〝時間を吸収する〟と云う──〝時間に関する魔法の開発する〟と云う目的は初日のうちに達成出来ていたがそれから予期せぬ事が起こる。

意外に意外だったのだが、後の〝代用させる魔法〟の方がクセモノだったらしく、〝代用させるイメージ〟と云うのがまたなかなかに難しく、割かし難航していて〝時間〟の方よりは幾らか進みが遅かった。……それでも、今となっては開発も8割方済んでいるが…。

全体的な進行度として見れば、85~90パーセントと、もう薬の完成は間近に見えている。この分ではゆっくり進めても11月の上旬には晴れて完成している計算だ。

……ちなみにマルフォイへとナメクジを喰らわせた件で、運悪くその場に居合わせていたマクゴナガル先生にバレたので、俺は──と云うよりグリフィンドールから10点引かれた。……しかし理由が理由だったので、同寮の生徒から白い目で見られたり──とかは無い。

10点引かれてもまだまだプラス収支なのも関係しているだろうし、現在進行形で医務室に突っ込まれているマルフォイの顔を暫時的にだが見ずにいられると云うのもあるのだろう。……ある程度入念に呪いを掛けておいた甲斐があったというものだ。

閑話休題。

「頼む 頼めるのは君達しか居ないんだ」

「ごめんね」

「ロン、君は? 考え直してくれたかい?」

しかし、しかし。今の俺──否、俺とアニーが頭を悩ませているのはそんな些末な(マルフォイのきんきょう)ではなく…。

「何度来ても返事は変わらないぞ、オリバー」

今日日(きょうび)の悩みのタネであり、今も追い縋ってくる上級生──オリバー・ウッドの懇願を、ばっさり、と俺とアニーは小慣れた風に一刀両断する。

本来なら去年の──ネビルの“思い出し玉”のイベントで〝ハリー・ポッター〟の箒の才能が開花して、かつそれがグリフィンドールのシーカーを探しあぐねいていた(?)マクゴナガル先生の目に止まり、〝ハリー・ポッター〟がクィディッチのグリフィンドール・チームのメンバーに入った。

されど(くだん)のイベントは、〝映画〟とは相違点がある。……マルフォイがぶん投げた“思い出し玉”は、俺が魔法で〝呼び寄せ〟たのは去年の思い出。

……つまり、〝ハリー・ポッター〟は──もとい、アニーは、普通にマダム・フーチの監修下で練習していたので、箒の才能を発露させなかったのだ。

アニーは両親の才能を過不足無く継げている上に、潜在能力を引き出すスキル──“勿体ない資質(ポテンシャルヒット)”で潜在能力を存分に引き上げているので、箒もまた杖同様に扱えるのは判っている。

が、そこは元日本人の悪癖と云うべきか、〝目立ちたがらず屋〟なところがアニーには有ったので、箒の授業では抑え目に飛んでいた。

ちなみに俺の場合は〝潜在能力〟と云うよりは〝経験〟なのは云うまでもない。〝飛行〟の経験もあるし、〝超光速〟で戦闘機動をとった事がある俺からしたら云わずもがな。

しかし俺は、〝グリフィンドールが最終的に寮対抗杯を取れれば良いや〟と思っているだけなので、クィディッチに興味はあまり──〝観戦するならともかく、選手になるのはちょっと…〟と云うくらいには無い。

それに加え、〝別荘〟でアニーやハーマイオニーと杖を振っていた方が気楽に過ごせるし、ただでさえ〝闇の魔術に対する防衛術〟の授業が〝常時脳内花畑男〟のアレで遅れているのだから、自習くらいは重点的にやりたいのである。

〝やけに実用的な悪戯グッズ〟の開発もしたかったのもあるが…。

更に“思い出し玉”の件が無かったし、クィディッチに興味を示さなかったので、マクゴナガル先生からの俺とアニーの心象も、精々〝箒に乗るのが他より2~3、頭抜けている一年〟と云うくらいのものだろう。……それ故に、〝誰かさん〟から“ニンバス2000”──どころか箒の一本も贈られていない。

……また〝つまり〟になるが、俺やアニーがそんなだからか、相違点の一つや二つできるのは当たり前だった──ただそれだけの事である。

(……まぁいざとなったら〝グリフィンドールの優勝〟に賭ければいいしな)

俺の運はお金が絡めば因果を越え──ギャンブル等の結果は、1円でも多く俺の懐に入るように収束する。

どうしてもグリフィンドールのチームを勝たせたかったのなら俺が優勝予想でグリフィンドールに賭ければいい。……なぜならその時点で──経験則的にグリフィンドールの優勝が九割九分九厘確定するからだ。

(……でも、なぁ…)

だが気になる事もある。

お金を掛けた麻雀をやれば天和(てんほう)が当たり前の様に連発するし、パチンコ屋なんかは入店を断られた事すらある。

前者の麻雀の件はともかくとして、後者のパチンコの件は台に座ったら最後、閉店するまで動けなくなる。……積み上がるドル箱。店員のドン引きした顔は今でも忘れられない。

……そう、1円──もとい、1クヌートでも多く俺の懐に入ってくるだけで、それが最良の結果とは限らないのだ。……例えば、今回のクィディッチの件なんかでは、最悪の場合、〝グリフィンドールの不戦勝〟などで──クィディッチが成立しなくなる可能性がある。

(しかも今年はバジリスクだし──メンバーが全員バジリスクに襲われて石になっちゃいました。なのでフリントのファン止めます〟。……ってな展開になったら、クィディッチどころじゃないだろうしな…)

マーカス・フリント──小ずるさが顔から滲み出ているあの男にファンが居るのかはともかくとして、オリバーの勧誘をなぁなぁに断るのだった。

……その後、フレッド、ジョージにもまた──オリバーと同じ理由で絡まれる事になるのだが、詳細は割愛しておく。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE アニー・リリー・ポッター

ハロウィーン当日。……なのは良いが、最近ボクはもちろんオリバーからグリフィンドールのクィディッチチームへの入団の催促ではなく、他のある事に頭を悩ませていた。

……その悩み事とは──

――『腹が減ったぞ…!』

(……っ、また──またこの〝(こえ)〟…)

最近のボクの悩み、それは最近になって〝ボクにだけ〟聴こえる様になった、いつも腹を空かせている──ロン曰くの〝どでかい蛇〟の〝聲〟である。

その〝聲〟が聴こえる様になったのは数日前、いつものごとく夕食後にボク、ロン、ハーマイオニーの三人で〝別荘〟に向かい課題を片付けようとした時の事だった。


―っ──誰っ!?―

―……っ…―

―……どうかしたの、二人とも?―


その時不意に聴こえた『血が欲しい』と云う──物騒極まりない〝聲〟に瞬時に杖を抜き放ち、〝聲〟の聴こえた方向──背後へと杖を向けるが、そこには何の変哲も無い石壁があるだけで。

あの時、ハーマイオニーのリアクションから一瞬幻聴と捨て置こうとしたが、ボクに続いてリアクションを取っていた──絶対に(なにがし)かを知っていそうなロンに詳しい話を()いてみれば以下の様に答えてくれた。


―……ここ数日、ホグワーツをでかい蛇──みたいなのが這いずり回ってるんだよ。……10メートルを超えているぞ、〝アレ〟―


その後「だから最近は〝別荘〟で纏まった睡眠を取る様にしている。あんまり眠れんしな。……〝見聞色〟にしろ仙術にしろ一長一短だな」──そう註釈を添えたロンの顔はやけに印象的だった。

ロンが手ずからその〝でかい蛇〟に手を出さないのは、きっとロンなりの考えがあるからか──または、そちらのほうがロンにとって有益だからだろう。

そしてボクの関心は、去年トロールがホグワーツに進入した事でろくすっぽ楽しめなかったハロウィーンパーティーに。

……ちなみにニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿こと、≪ほとんど首無しニック≫の愛称で皆から親しまれているグリフィンドール寮憑()きのゴーストから〝絶命日パーティー〟なるもの誘われるも、辞させてもらった。……ハーマイオニーは興味深げだったが…。

閑話休題。

(……ま、ロンも〝まだ〟手を出さない様にしてるみたいだし、変な事にはならないか)

とりあえず内心で自分へとエールを送る。……それが俗に云われているフラグになるとも知らずに…。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE ロナルド・ランスロー・ウィーズリー

「[秘密の部屋開かれたり、継承者の敵よ気をつけよ]──ね。……はぁぁ…。……どうして有終の美を飾らせてくれないのか…」

パーティーの料理を堪能して、会場から寮へと帰る道の事。びしゃびしゃになった足元に辟易(へきえき)しながらのそのアニーの長い溜め息はこの場に居合わせていたグリフィンドール生をはじめとした全員の気持ちを代弁していた。

アニーがそれを読みながら呟いた様に、壁にはまるで血の様な赤い文字ででかでかと不穏極まりない文章が書きなぐられている。

「おお…っ! ミセス・ノリス…っ! ……誰がやったっ!!」

……しかもその傍らにミセス・ノリス──〝ホグワーツの鬼管理人〟とな悪名で皆から疎んじられているフィルチの愛猫が変わり果てた姿で打ち捨てられていたので、フィルチのその落ち込み様は見てられない。

その場に居合わせている皆──空気を読まずに茶々を入れようとしてアニーに〝舌縛り〟を掛けられたマルフォイ以外は口を(つぐ)んでいるが、俺の関心は、その変わり果てたミセス・ノリスに有った。

(……なるほど、これがバジリスクの魔眼の力か…)

〝知識〟的な観点からして──やはりと云うべきか、ミセス・ノリスは、魂が抜けていない状態だと云うことを──死んでいない事を改めて確認する。

今のミセス・ノリスは、あえて陳述するなら、〝仮死永久停止〟とな状態で【ファイナルファンタジー】風に云えば“ストップ”が掛けられた状態、【ドラゴンクエスト】風に云えば“アストロン”が掛けられた状態に近かった。

(巧い事やれば〝幻獣朗(ジジイ)〟の霊医術でバジリスクの魔眼をゲット出来るか? ……あ、やっぱ必要無いな。オンオフが効く分“即視(デストモーメント)”の方が便利だ)

視線(シングルアクション)で対象を死に──または〝〟至らしめる魔眼だが、そこで見たら死ぬスキル──“即視(デストモーメント)”を持っていた事を思い出し、浮かんだ案を棄却する。

「何事かね?」

そこで、ダンブルドアが黄門様よろしく登場してその場を収めるのだった。

SIDE END 
 

 
後書き
4月23日の午前10時頃にアンケートを実施します。


アンケートの内容は〝騎士団編〟についてです。

〝ゴブレット編〟を執筆している現在ですが、某事務次官の扱いについて迷ってます。

①ファッジとダンブルドアが訣別する際、さくっとファッジと〝オハナシ〟しておく。ヌルゲーモードで巻いていくスタイル。

②原作通り。……けれども人によっては愉悦出来るかも…?


期間は一週間をみています。 
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