ドリトル先生と沖縄の蛇達
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第四幕その三
「お話します」
「それじゃあ」
「今から」
こうしてです、先生はハブのところに来てそのうえでお話をしました。
「ちょっといいかな」
「何かしら」
ハブは女性でした、喋り方に性が出ています。
「私に用があるみたいだけれど」
「君達のことを聞きたくてね」
「私達のことを」
「ハブ君達は最近どうやって暮らしてるのかな」
「生活は変わらないわよ」
これがハブさんの返事でした。
「これといってね」
「そうなの」
「そう、特にね」
これといって、というのです。
「昔と変わらないよ」
「こうした場所にいて」
「食べて寝て子供を産んで育てて」
そうしてというのです。
「何も変わらないわよ」
「そうなんだね」
「ハブはハブでね」
つまり彼女達の間でというのです。
「普通に暮らしてるわよ」
「昔通りね」
「そうしてるわ、ただね」
「ただ?」
「私達だけのことを聞きたいんじゃないわね」
「この辺り全体のことも聞きたいし」
「そういうことよね」
先生の返事を聞いて納得したハブさんでした。
そしてそのうえで、です。先生に自分からお話しました。
「私は実感ないけれど」
「聞いたお話だね」
「お祖母ちゃん達からね」
そうしたお話だというのです。
「何でも昔はもっとサトウキビ畑も多くて」
「街は小さくて」
「沖縄もそうだったらしいわ」
「そうなんだね」
「人間の生活も変わったそうよ、あと」
「あと?」
「昔は白い肌や黒い肌の人が昔よりずっと多かったと聞いたわ」
そうした人達がというのです。
「昔は」
「日本に戻っていなかった頃だね」
「人間さんのことは知らないけれど」
「まあそこは僕達の話だね」
「私の知ってることはこれ位よ」
あくまでというのです。
「他は子供達のこと位ね」
「じゃあヒャンは知ってる?」
「ハイは?」
「そうした蛇とお付き合いあるの?」
動物達はハブさんに尋ねました。
「沖縄にいるらしいけれど」
「どうなの?」
「ヒャン?ハイ?」
そう言われてもでした、ハブさんは。
首を傾げさせてです、こう言うだけでした。
「それ何?」
「沖縄にいる蛇だけれど」
「珍しい蛇っていうけれど」
「知らない?」
「ハブさんは」
「知らないよ」
ハブさんは皆に正直に答えました。
「そんな蛇は」
「そうなの」
「ハブさんは知らないんだ」
「そうなんだ」
「海の方にウミヘビさんがいるとは聞いてるわ」
こちらのお話はというのです。
「それはね」
「けれどなんだ」
「ヒャンやハイはなんだ」
「知らないんだ」
「そんな蛇もいるの」
逆にハブさんの方が聞き返す位でした。
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