聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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567部分:第八十一話 恐怖の九人その四
第八十一話 恐怖の九人その四
「何があってもです」
「何があっても」
「退くわけにはいかない」
「そうなんですか」
「今は」
今度は青銅の四人が声をあげた。しかしその言葉には驚きはなく決意があった。彼女達も決して臆していなかったのである。
「ですね。だったら」
「私達はあえてそこに入って」
「勝つんですね」
「そうです」
まさにそうだというのである。それがムウの考えだった。
「では。いいですね」
「わかってます」
「それはもう」
これがその彼女達の返答だった。
「何があっても勝ちます」
「この戦い」
「そうですよね、ムウ様」
「おそらくはです」
ここでムウは洞察する目になった。そのうえでの言葉である。
「彼等の仕掛けていることはです」
「それは一体」
「何ですか?」
「カルカッタにあるのは」
「トラップが私達に通用するとは思っていないでしょう」
それはないというのである。
「ですからそれはありません」
「罠がないとすると」
「では何でしょうか」
「それじゃあ」
「数です」
ムウが今述べたのは一言だった。
「数で来ます」
「数で来て」
「それで私達を覆い潰す」
「それですか」
「これまでにない数のインプ達がいるでしょう」
また言うムウだった。
「それは覚悟しておくことです」
「数があってもそれでもね」
「どうってことないよ」
ところがここで魔鈴とシャイナが強気の言葉を述べた。
「今更ね。どれだけ数が来てもね」
「何てことはないよ」
「何てことはないって」
「けれど。数がいたらやっぱり」
「数は力だから」
青銅の四人は今の二人の言葉には懐疑的に問うた。これは彼女達に自信がないからではない。むしろ相手の自信を問うたものである。
「それでもなの」
「大丈夫だっていうのね」
「そうさ。質だよ」
「質ではこっちが勝ってるからね」
二人が言うのはそれであった。数より質であった。
「あんた達にしてもだよ」
「あの地獄の修業の日々を思い出すんだ」
そしてこのことを話すのだった。
「あの時をね」
「あの修業の時を」
「その時を」
ジュネとカサンドラが最初に反応を見せた。
「確かに。あの時は」
「何度死ぬと思ったか」
「そうよね、本当にね」
「私だって」
スカーレットとクレウサもであった。
「地獄は。見たわね」
「信じられないのを」
「そういうことだよ。わかったね」
「それを思えばだよ」
また言う魔鈴とシャイナだった。
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