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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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550部分:第七十八話 ムウの技その七


第七十八話 ムウの技その七

 彼等はそれにより倒れてしまった。彼等にとってはまさに思わぬ結果であった。
「ば、馬鹿な」
「我等の槍を全て跳ね返しただと!?」
「それで我等を」
「クリスタルウォールはです」
 ムウはその己の技について述べた。
「あらゆる攻撃を跳ね返すのです」
「くっ、それでか」
「それでだというのか」
「我等を」
「戦いは攻めるだけではありません」
 ムウは目を閉じて静かに述べた。
「こうして。相手の力を使うこともあるのです」
「おのれ、それもまた黄金聖闘士の戦いだというのか」
「相手の力を使ってか」
「その通りです。おわかりになられたでしょうか」
「見事だと言っておこう」
 ここでもムウを褒める言葉は出された。
「このことはだ」
「左様ですか」
「だが。リーヴェ様はだ」
「こうはいかない」
「このことは言っておく」
 彼の名前がここで出された。
「あの方の御力は貴様といえど」
「尋常なものではない」
「我等の仇はあの方が取って下さる」
 このことを確信し希望を持っている言葉であった。
「だからだ。我等はこれでだ」
「笑って去ろう」
「さらば、アリエス」
 ムウに別れさえ告げていた。
「冥界で待っている」
「楽しみにしておくぞ、貴様が来るのをな」
 こう言って息を引き取るのだった。そして残った聖闘士達は。
「これで終わりじゃないですよね」
「やっぱり」
「ああ、それは間違いないね」
「確実にね」
 魔鈴とシャイナがまた青銅の者達に答えた。
「というよりかこれはね」
「ほんの前哨戦だよ」
「これからだよ」
 そしてこんなことも告げるのだった。
「それはわかっておくことだね」
「いいね、それは」
「前哨戦」
「これだけの数のインプ達が」
「ほんの小手調べって」
 青銅の四人は彼女達の言葉を聞いて少し愕然となった。
 そしてその彼等にだ。ムウがまた言ってきた。
「戦いはまさにこれからです」
「これからなんですね」
「本当にまさに」
「そういうことです。この程度で驚いていては」
 微笑んではいた。しかし強い言葉だった。その言葉は青銅の四人だけでなく魔鈴やシャイナにも向けられていた。彼女達にもである。
「何にもなりません」
「そういうことだね」
「言っておくがこの連中は雑兵だよ」
 シャイナは今度はこのことを指摘してみせた。
「それこそ魔神にもなるとね」
「覚悟しておくなんてものじゃないよ」
「それは言っておくよ」
「覚悟なんてものじゃない」
「まさにそういう相手ってことね」
「そうね」
 四人は彼女の言葉にあらためて頷くことになった。
「私達も本当に」
「気合入れていかないとね」
「どうにもならないわ」
「そういうことだよ」
「わかったね」
 二人はまた彼女達に告げた。
「いいかい、一瞬でも気を抜くとだよ」
「まあ御前達は大丈夫かね」
 二人はこうも言った。
「そんなことはないね」
「大丈夫だよ」
「大丈夫かしら」
「何か不安が」
「そうやって不安を感じているうちは大丈夫なんだよ」 
 魔鈴はそれそのものだと告げる。
「それがね」
「それだったらいいけれど」
「まあ私達だって全力を尽くすし」
「私もです」
 またムウが言ってきた。
「やらせてもらいます」
「じゃあ私達は私達で」
「頑張ろうか」
「そうね」
 そんな話をして、であった。今彼女達も戦いに向けて思いを確かにするのだった。このインドにおける狂闘士達との更なる戦いに対して。


第七十八話   完


                2009・12・15
 
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