| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ブルーラブ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三章

 ある日愛衣は共に食べている千夏にぼやいた。
「二ヶ月経ったけれど」
「まだなのね」
「これといってね」
「いい人がなのね」
「そうなのよ」
 こうぼやくのだった、昼食の親子丼を食べつつ。
「残念なことに」
「まあまだ二ヶ月だから」
「もう二ヶ月じゃなくて」
「まだよ」
 千夏は他人丼を食べつつ愛衣に答えた、二人共白い食堂の仲のプラスチック製のテーブルと席に着いている。そのうえで話すのだった。
「まだ二ヶ月よ」
「まだなの」
「もうって思ってるでしょ」
「実際にね」
「そう思うのは気が早いわよ」 
 こう愛衣に言うのだった。
「まだ、なのよ」
「もうじゃなくて」
「そう、まだだから」
「そういうものなの」
「こうしたお話はね。だからね」
「まだって思って」
「じっくりと腰を据えてね」
 そのうえでというのだ。
「やっていくものなのよ」
「二ヶ月で諦めないで」
「そうよ、ぼやかないの」
「それじゃあ」
「いいわね、じっくりとよ」
「腰を据えて」
「やっていくのよ、何しろ一生のものだから」
 結婚、そして家庭を持つことはというのだ。
「じゃあいいわね」
「そう言うのなら」
「そう、じっくりとね」
「これからもなのね」
「やっていけばいいのよ、焦ってもね」
 そうしてもというのだ。
「何もいいことはないから」
「それじゃあ」
「気長にね、それとね」
「それと?」
「今度の休み図書館行ったら?」
 千夏は愛衣にこう提案した。
「博物館のすぐ傍の」
「あそこの」
「そう、行ってきたら?それかお昼休みの時にでも」
「いい本が入ったの」
「何か新刊が沢山入ったらしいのよ、海外文学の翻訳したのを」
 そうしたものがというのだ。
「愛衣海外文学も好きでしょ」
「ハヤカワ文庫かわ出てるみたいなのがね」 
 愛衣は千夏に箸を動かしつつ答えた。
「好きよ」
「そうよね、それじゃあね」
「図書館になのね」
「行ってきたらいいわ」
「それじゃあね」
 愛衣は微笑んでだった、千夏に答えた。そしてだった。
 昼食を食べてからすぐにだった、図書館に行った。博物館のすぐ傍にあるので歩いて行くことが出来た。
 図書館は広くかなりの量の蔵書がある、その図書館に入ってだ。
 カウンターで海外文学作品を翻訳したものの新刊のことを聞こうとした、すると。
 カウンターに座っていた若い女性がだ、奥の方に顔を向けて声をかけた。
「秋田川さん、海外文学の新刊のことで」
「お聞きしたい人がですか」
「来られましたけれど」
「わかりました」
 若い男の声が応えた、そしてだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧