提督はBarにいる。
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EX回:6 鎮守府の秋祭り~当日編②~
執務室での待機に飽きたので、会場の巡回を行う事にした(建前上)。まぁ、本音を言えば祭り会場で遊びたいだけなんだが。大淀を連れていれば艦娘からの報告の受信、指示の伝達は出来るしな。
「さて、まずはどこに行こうかな~っと。」
「はぁ……、これ仕事なんですからね?提督。」
大淀が隣でジト目で睨んでくる。まぁそう怒るなよ、と言いかけたが、その顔もまぁまぁ可愛いので止めておいた。
「む……なんだ提督、職権濫用でデートか?」
そう言って呼び止めたのは長門。そういや長門は綿菓子屋をだしてるんだったか。
「やめろバカ、人聞きの悪い。屋台が問題ないかの巡回だよ。大淀居れば連絡も取りやすいだろ?」
成る程、と言う長門の見えない所で大淀が脛を蹴ってくる。止めてくんない?地味に痛いから。
「折角だ、何か食べていけ。」
と言った瞬間、わーっと小さい男の子や女の子が長門の屋台に群がってきた。地域住民の子だろう。
「お姉ちゃん!アタシ、クマさんのわたあめ‼」
「あ、俺は虹色の奴!」
「あ!ずるい。じゃあねぇじゃあねぇ、私はピンクのゾウさん‼」
長門、途端にキャラ崩壊。
「そうかそうか、今作るから順番に並ぶんだぞ~?」
「「「はぁ~い‼」」」
なんだあの弛みきった顔は。鼻の下まで伸びきってるぞ。
しかしながら、長門の手付きは中々の物だった。まずは土台だろう、大きな丸いわたあめを作り、次に小さなわたあめを作って三角に成形。土台にくっつける。更に目や口を器用に作ってくっつけると……
「わぁ~、クマさんだぁ!」
あの不器用な長門が随分練習したらしい。虹色のわたあめとやらは……?成る程な、かき氷のシロップを霧吹きに詰めて、それで色付けか。しかしスゲェ色だな。
次々と子供達の注文をこなしていく長門。どうやらこの屋台は問題ないな。
「じゃあな長門、俺達はそろそろ行くよ。」
「む、そうか?1つ位食べていっても……」
「いや、中々貴重な物が見られたから良いよ。じゃあな。」
デレッデレの顔で仕事をこなす長門なんざ、滅多にお目にかかれないからな。
「………ん?」
ふと、前方にいる一人の少女に目が止まる。背格好は小学生位なのだが、着ている服はセーラー服。どうにも違和感がある。
『今着ている子供は大概が浴衣、もしくは私服……。そこにセーラー服だと?』
あの位の背格好でセーラー服というと、真っ先に思い浮かぶのは艦娘……それも駆逐艦。しかし、ウチの鎮守府にあんな娘いたか?脳内の記憶野を探るが、思い当たる艦娘はいない。と、此方の視線に気付いたようにそそくさと雑踏に紛れ混んでしまった。
「どうしたんです?提督。」
「……いや、気のせいだろう。さ、行こうぜ。」
そう言って俺は脳内の邪推を振り払うと、再び歩き出した。
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