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提督はBarにいる。

作者:ごません
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変わり種と定番


 散々飲み食いしたくせに、未だ衰えを知らない二航戦コンビの食欲。なら、とことんまで食わせてやろうじゃないか。

野菜、肉、卵と来たから、海鮮でも行こうか。用意するメインの食材は、はんぺん。今の時期だとおでんとかに入れると最高だよな。フワフワ食感に出汁吸って。今日はそのまま使うのではなく、フードプロセッサーに掛けて一旦擂り身の状態に戻してやる。するとはんぺんてのは面白いモンで、成形される前の状態のように粘り気のある擂り身の状態になるんだ。

 俺はそれを半分に分け、片方には干しエビ、もう片方にはちりめんじゃこを混ぜた。後は揚げるだけなのだが、ここでも衣に一工夫。先程卵コロッケを作るのに使ったパン粉を使い回すのだが、そこに天かすを混ぜる。割合はパン粉が8、天かすが2くらいで良いだろう。後は普通のフライと一緒。小麦粉→卵→パン粉の順に付けたら油にダイブ。これも中身は火を通す必要は無いから、衣に火が通ったら油から上げる。

「ほら出来た、『2種のはんぺん揚げ』だ。まずはそのまま、薄味に感じたら醤油で食べてみな。」

 三度かぶりつく二航戦コンビ。パン粉のサクサクに天かすのカリカリとした食感が混じり、独特の歯触りになるんだよな、コレ。

「ん~、はんぺんフワフワぁ♪」

「中のエビとかじゃこが良い味出してますねぇ。」

 俺がアレンジ加えるとしたら……そうだな、パン粉に黒ゴマなんか足したら、香ばしさ増して良いかもな。



 さて、最後は定番、鶏の唐揚げで行こうか。唐揚げのレシピは何種類かあるが、今日はその中でも最もオーソドックスな奴で行こう。

 使うのは鶏のモモ肉。大きめに切って、おろしニンニク、おろし生姜、醤油、ごま油、ハチミツ、豆板醤、酒をを合わせた漬けダレに漬け込む。

 30分程漬け込んだ所に溶き卵を加えて混ぜ、更に30分漬け込む。

 衣は薄力粉→片栗粉の順番に付けて使用。片栗粉のみだと竜田揚げになっちゃうから注意してな。後は180℃に熱した油に投入。カリッと揚がったら真ん中辺りまで切れ込みを入れ、千切りにしたキャベツにマヨネーズ、カットレモンを添えたら出来上がりだ。

「ほれ、鶏の唐揚げ。これは美味しい食べ方があるんだ。」

 まずは千切りキャベツとマヨネーズを和えて、そこに七味唐辛子を加える。唐揚げにはお好みでレモンをかける。そうしたら唐揚げの切れ込みにキャベツを挟み込んでかぶりつく。もちろんそのまま食べても美味いんだが、こうして食べるとシャキシャキのキャベツの食感と唐揚げのジューシーさが相まって更に美味しく食べられる。

「ん~、やっぱ唐揚げは美味しいねぇ~。」

 蒼龍は顔をユルユルに緩めながら、唐揚げにかぶりつく。隣の飛龍はといえば、顔が笑顔のまま固まっている。

「どうした?飛龍。飲みすぎたか?」

「えへへへへぇ~、蒼龍ぅ~♪」

飛龍が隣からガバッと抱き付き、ギューッと羽交い締めにする。

「ち……ちょっと飛龍、痛いってば!」

 蒼龍は飛龍の羽交い締めから逃れようと身を捩る。その度に蒼龍の上着がはだけそうになりながら、胸部装甲(意味深)が大きく跳ね回る。

「ていっ!」

 さすがにこれ以上はマズイだろうと、俺が飛龍の延髄に手刀を決める。その一撃で昏倒した飛龍を抱き止める蒼龍。

「あ、ありがとう提督、助かったよ……。」

 息を切らしながら着崩れた上着を直す蒼龍。

「蒼龍、お前ちょっとマジメにダイエット考えた方が良いぞ。」

 首を傾げる蒼龍に、俺の目に毒だからとは言えなかった。

(飛龍が羽交い締めにした時に、「頑張れ飛龍、お前なら出来る!」と応援してしまったのは、もっと内緒。) 
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