世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
555 ~出会いは激突から~
広い公園で、戦闘が繰り広げられている。
戦っているのは仮面ライダーファイズに変身した乾巧と、灰色の怪人・オルフェノクだ。
この世界の敵勢力・オルフェノク
彼らが人間を襲う理由は一つ。
仲間を増やすためだ。
死んだ人間が突如目覚め、復活することでオルフェノクは誕生する。
それゆえに多くの者は化け物として復活したのちに、オルフェノクとして生きることを選択する。
自分たちは死を超越した、選ばれた存在であると信じてしまうからだ。
中には「人間」として生きていくことを決心した者もいるが、小数だ。
そんな奴らと、ファイズは戦い続けているのだ。
そして今戦っている相手はチーターオルフェノク。
そのスピードに翻弄され、うまく攻撃が当たらず苦戦気味だ。
「ったく、調子ノリやがって」
パパッとスナップをきかせて手首を振り、ベルトに挿入されている携帯電話型変身ツール、ファイズフォンからミッションメモリーをぬき、同型のプログラムキー、アクセルメモリーをはめる。
《Complete》
音声と共に全身を駆け巡るフォトンストリームが赤から銀に変わり、胸の装甲が肩にせりあがる。
さらにファイズフォンを開き、「Enter」を押した。
《Exceed Charge》
ベルトからエネルギーが全身を駆け巡る赤いライン、フォトンブラッドに沿って移動し、それが右足首に装着したポインターに溜っていく!!
「行くぜ」
そしてファイズが左腕に装着しているリストウォッチ型のコントロールデバイスのスイッチを入れた。
《Start up》
音声とともにファイズアクセルフォームの姿が消える。
超高速移動に入ったファイズの姿は、目にすることもできない速さに移行するからだ。
異常なスピードを誇るチーターオルフェノクすらもついていけない速さで、ファイズの必殺技が放たれる!!
バシュ!ババババババシュウ!!
チーターオルフェノクの周囲に赤いホログラムの円錐がいくつも現れ、そのすべての先端が向けられている。
そして超高速移動のファイズがその円錐型のポインターを次々とくぐり、何発ものキック「クリムゾンスマッシュ」を叩き込む。
ドッ、ドドン!ドドドドドドンッ!!
「ぐガァァァアアアア!」
チーターオルフェノクが断末魔の叫びを上げ、
《3、2、1、Time out.Reformation》
そこでアクセルフォームの高速移動時間の限界、10秒が過ぎ、ファイズの姿が現れ、通常フォームへと戻った。
ボッ!ギィーン、ザラザラザラ・・・・
チーターオルフェノクから青い炎が吹き出し、Φの紋章を残し、灰となって消えていった。
「ったく、人を襲うオルフェノクはあとを絶たないしよ。めんどくせぇ」
そう言いながらベルトを外して変身を解く巧。
ファイズフォンのボタンを押し、公園の外に止めたバイク、オートバジンを呼び出すと、すぐに林の中からやって来た。
走ってくるオートバジンを見ていると、どこからきたのか一人の青年も近づいて来た。
「おぉーい!あんたファイズだよなー?」
そういいながら走ってくる青年。
その後方からオートバジンが迫る。
「あんた!そこあぶねぇぞ!!」
巧がファイズの事を知っている青年に驚きながらも、彼に迫る危機を叫ぶ。
その声に反応し、青年・蒔風が振り返ると、そこには太い機械の腕があった。
「トレビアンッ!?(ボキャァ!!!)」
どうしたことか、人型のロボットに変形したオートバジンのラリアットが蒔風の喉に突き刺さった。
クルクルと空中で三回転を決めた蒔風の身体が地面に落ち、オートバジンは何事もなかったかのようにバイク形態のビークルモードに戻って、巧の元へとやってきた。
「・・・・・・・こいつどうしよ」
なんだかよくわからない液体を口から吐きだして倒れている蒔風を見て、巧がひとりごちた。
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「おい!!こいつ頼む!!!」
蒔風を担ぎ、巧が帰ってきたのは東京で創業百年の老舗クリーニング店「西洋洗濯舗 菊池」だ。
巧はここで住み込みのアルバイトをしており、一緒に住んでいる園田真理と菊池啓太郎とは永く共に戦った仲間だ。
「巧?帰ったの?って何その人?」
巧の担いできた男に、真理が呆れたジト目で巧を見る。
「いや、急にやって来てよ、バイクとぶつかってぶっ倒れちまったから。・・・・・んだよその眼は。ほっとくわけにもいかねーだろ!」
「元の所に捨ててきなさい」
「犬猫じゃねえんだぞ!?」
「まま、たっくん。とにかくその人中に入れてあげて」
啓太郎が巧をなだめ、蒔風をソファに寝かす。
それからあーだこーだと巧と真理が口論しているうちに、蒔風が目を覚ます。
「ここ・・・・・どこなんだろうか、と蒔風は思ってみたり」
「あ、目が覚めた」
啓太郎が蒔風の目が覚めたことを確認する。
そして蒔風が周囲を見渡し、巧の姿を捉えて納得した。
「んお?ああそうか!!オレバイクにぶん殴られたのか!!」
「ぶん殴られた?」
真理のその疑問に蒔風が答えた。
「そうそう。彼に近づこうとしたらロボットに変形したバイクにね!!!」
「ちょ、巧どういうこと!?」
「そんなことはどうでもいい。おいお前。お前はオルフェノクか?」
巧の質問は単刀直入だ。
それもそうだろう。巧にしてみれば蒔風は「ファイズですかー?」なんて声をかけてきた謎の男である。
そしてファイズを知っている人間は一般人とは思えない。
「あーーーそっか。じゃあ話そうかね。オレはこの世界の人間じゃないんだよ」
「・・・・・・・・・は?」
「とにかく、お前の命が狙われている」
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「マジかよ・・・・・」
「さっきちょいと俺の力見せたろ?オルフェノクであるかどうかは、お前ならわかるだろうし」
「・・・・・・まあな。そこまで知っているのか」
「何となく普通とは違うと思っただけだよ」
蒔風の話が終わり、巧が蒔風がオルフェノクでないこと、言っていることがおそらく本当だということをそれなりに信じたところで、真理が口を開いた。
「確かにそれも大変だけど巧。あんたまた戦ったの?」
「・・・・・・あーーーーーー」
「あんたの身体は限界なんだから、もう戦わないでよ!!」
「そう言ってられっかよ。人が襲われてりゃ戦うのは仕方ねーだろ」
「でも・・・・・」
そんな真理と巧のやり取りを見て、蒔風が啓太郎に訊いた。
「巧の身体が限界ってどういうこと?」
「うん・・・・たっくんは・・・・もう長くないかもしれないんだ」
啓太郎の話に蒔風が耳を傾ける。
ファイズのベルトをはじめとする「ライダーズギア」は、普通の人間には使えない。
ベルトを使って変身できるのは、オルフェノクの力を持った者だけなのだ。
そして乾巧も例外なくオルフェノクである。
しかし彼はオルフェノクとしてではなく、人間として生きて行くことを決めた。
中にはそのようなオルフェノクも多くいたのだが、それを許さない者がいた。
それこそ覚醒した人間・オルフェノク達を集め、オルフェノクとして生きることを広めようとした「スマートブレイン社」だ。
スマートブレインはオルフェノクに覚醒した人間がわかると使者を送り、人間を襲いさらなるオルフェノクの増幅を狙った組織。
もちろん、そのサーチに引っかからずに生きてきた者もいる(巧はこの場合だ)
しかし、多くの者はそのような生き方に呑まれ、拒絶するものは「裏切り者」として処刑された。
その組織を数か月に壊滅させたのだが、その最後の戦いで彼らが倒したのはオルフェノクの王と言われるアークオルフェノクである。
オルフェノク達は人類の進化形態だ。
だがそのあまりにも激しい進化に身体が耐えきれず、いずれは崩壊する。アークオルフェノクの力をわけてもらわない限り。
しかし、自身がいずれ死ぬとわかっていたも、乾巧はアークオルフェノクを倒したのだ。
どうやらアークオルフェノクはまだ生きているらしいのだが、もはや巧が王に延命してもらえることはないだろう。
故に巧が戦ったことで真理はあんなにも怒っているのだ。
「なるほどね・・・・・巧・・・だっけ?」
「なんだよ」
「それがお前の望みなのか?」
「・・・・ああ。確かにオルフェノクの中にも・・・・いい奴はいた。でも、俺はオルフェノクのような生き方は絶対に許さない。」
「ならばよしだな」
蒔風が何か納得し、巧に握手を求めた。
「よろしくな。「奴」を倒すまでのそんなに長くない間だが、頼む」
「任せておけ。この家は好きに使ってもいい」
「ちょ、ちょっとたっくん!?」
そんな巧の言葉に、啓太郎がうろたえる。
この家は啓太郎の実家だ。
そこに勝手に住んでもいいなんて言われればそれは焦るだろう。
「いいじゃねえか啓太郎。小さいこと言うなよ」
「そんなぁ~~~」
「啓太郎。大丈夫だ。まあ、ちょっとものは相談で・・・・・」
蒔風が啓太郎の首に腕を回し、何やらこそこそと何か話をする。
そして五分後、啓太郎が叫んだ。
「皆で歓迎パーティーをしよう!!!!」
「「心変わり早くねえか(ない)!?」」
そうして今夜も夜が更ける。
そのパーティーの様子はまた別の機会に
to be continued
後書き
アリス
「次回、この世界のライダーとの出会い」
ではまた次回
おい知ってるか、夢ってのはな
時々スッゲー熱くなって、時々スッゲー切なくなる、らしいぜ。
俺には夢が無い、けど、夢を守る事はできる!
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