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Three Roses

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第二十三話 野心その二

「どうにもです」
「生真面目過ぎて」
「硬い」
「そうした方だと」
「それが悪い方向に出なければ」
「いい」
「そう言われるのですね」
「はい」
 こう側近達に答えたのだった。
「そう考えています」
「そうですか」
「そこまで」
「はい、そして」
「そして?」
「そしてといいますと」
「あの方は旧教徒の中でもです」
 このことも話すのだった。
「法皇庁に忠実な傾向が強いです」
「帝国とは違い」
「法皇庁にですか」
「忠実であられる」
「それは確かにそうですね」 
 セーラの側近達も主の言葉に頷いた、彼等も祖国でマイラがどういった考えの持ち主か見てきて知っているからだ。
「あの方の信仰は純粋です」
「旧教への敬意の念もまた強いです」
「法皇庁の諸問題はご存知でも」
「信仰が優っています」
「それが為に」
 マイラはというのだ。
「問題があります」
「法皇庁に忠実であり」
「それで、ですね」
「法皇庁に従ってしまう」
「そうした危惧もありますね」
「そうも思います、あの方については」
 マイラ、彼女はというのだ。
「危うさもある」
「悪い方向に向かう恐れが強い」
「そうした方ですね」
「どうにも」
「はい、不安です」 
 こう側近達に言った。
「マリー姉様と幸せにいて欲しいですが」
「全くですね」
「お二人がおられれば問題ないですが」
「お二人がいがみ合うことになれば」
「悲劇です」
「マリー姉様からはないので」
 彼女からマイラに何かすることはというのだ。
「ですから」
「あの方ですね」
「マイラ様ですね」
「どうしても問題になるのは」
「そうです、まことにです」
 まさにと言い続けるセーラだった、彼女は二人のことを異国において心配していた。
 そしてだ、マリアもだった。
 島国の宮殿において彼女の側近達からマリーとマイラの話を聞いてだ、そのうえで眉を曇らせて言うのだった。
「太子が気になるわ」
「あの方が」
「ロートリンゲン家の」
「ええ、あの方がね」
 まさにというのだ。
「非常に気になるわ」
「やはり、ですね」
「あの国を狙っておられますね」
「ロートリンゲン家の方として」
「そう考えておられますね」
「そう思うわ」
 マリーは目を鋭くさせて言った。
「そしてやがては」
「この国も半島も」
「北の王国もですね」
「あの国と一つにされ」
「そのうえで」
「四国を一つにすることは我々の考えでもあるわ」
 そのうえで王国に対する、歴代の王の考えでもある。 
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