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ドリトル先生と沖縄の蛇達

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第三幕その三

「それでお願いしたいのです」
「そうですか」
「先生ならと思いまして」
「と、いいますと」
「学会が終わった時にお話したいです」
「わかりました」
 先生は安座間さんのその言葉に頷きました。
「それではその時に」
「お願いします」
 こうしたお話をしてです、先生は学会が開かれるホールに案内してもらいました。そしてそのうえで、です。 
 他の人の論文の発表等を聞いてです、そうして。
 学会の後で動物の皆と合流してお昼御飯を食べてでした、首里城に行きました。
 ガイドさんは真面目な三十代の男の人でした、お名前を真喜志さんといいますが真喜志さんは先生に笑って挨拶をしました。
「今回は宜しくお願いします」
「はい、こちらこそ」 
 先生も笑顔で応えます。
「宜しくお願いします」
「それでは」
 挨拶をしてから首里城に入りましたが。
 そのお城の中に入ってです、動物の皆はそれぞれこう言いました。
「何かね」
「日本の他のお城と違うね」
「そうだよね、日本の雰囲気といえばそうだけれど」
「天守閣がなくて」
「大きな瓦の門もあるけれど」
「色彩が違ってね」
「沖縄独特だね」
 こうそれぞれ言うのでした、そのうえで先生に尋ねます。
「先生、ここ違うよね」
「日本の他のお城とね」
「何か微妙にね」
「違うよね」
「それにね」
 しかもというのです。
「普通のお城より大きくない?」
「どんどん登っていく場所で」
「石造りの階段も独特で」
「そこも気になったけれど」
「うん、ここは実際日本の他のお城と違うよ」
 先生は真喜志さんに案内してもらいつつ皆にお話しました。
「普通の日本のお城はお殿様が住むね」
「江戸城は将軍様でね」
「街自体がお城じゃなくてね」
「言うなら大きな砦だよね」
「日本のお城はそうだよね」
「そうしたお城であることは同じだよ」
 日本の他のお城と、というのです。
「日本のお城は砦だよ」
「欧州や中国で言うとね」
「アメリカや中近東でもそうだったね」
「街自体がお城だったけれど」
 そうした地域ではです。
「日本ではお城と街は別でね」
「お城の外に街があるよね」
「城下町っていって」
「沖縄、この首里城もそれは同じだけれど」
 それでもというのです。
「ここには王様が住んでいたんだ」
「王様?」
「王様が住んでいたんだ」
「そうだったんだ」
「お殿様じゃなくて」
「沖縄は元々は国だったんだ」
 先生は皆に沖縄の歴史からお話しました。
「琉球王国といってね、日本とは同じか非常に近い民族だったけれど」
「国としては別だったんだ」
「そうだったんだね」
「それで元は違う国だったんだ」
「その琉球王国だったんだ」
「その琉球王の宮殿だったんだ」
 この首里城はというのです、先生は汗を拭きつつお城の階段を登っていっています。真喜志さん動物の皆と一緒に。 
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