聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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502部分:第七十一話 せめぎ合う小宇宙その二
第七十一話 せめぎ合う小宇宙その二
「ならばだ」
「何をする気だ、今度は」
「拳が効かなければ技だ」
目が鋭くなった。
「このザカリアの技を出そう」
「私も」
「俺もだ」
他の者達もそれに続くのだった。今まさにそれを出そうとする。
そしてアイオリアも。今ここで己の技を出そうとするのだった。まさに決戦の時が迫ろうとしていた。
だがここで。その場に新たな男が出て来たのだった。
「待て」
「むっ!?」
「貴様は」
まず聖闘士達がその男を見た。
「まさか貴様が八大公の一人」
「アスモデウスのリゲルだな」
「如何にも」
まさにその通りだというのだった。リゲルは丁度アイオリアと狂闘士達の間に立っていた。そのうえで聖闘士達の声に応えたのである。
「その通りだ」
「八大公が出て来たか」
「ここで戦いをするつもりか!?」
「それなら」
「いや、残念だがそれは違う」
リゲルはそれを否定するのだった。冷静な顔で。
「俺はここでは貴様等とは戦わない」
「では何処でだ」
「我等のいる場所に来るのだ」
こうアイオリアに告げるのだった。
「そこで待っている」
「ここではないのか」
「そうだ。ここではない」
また言うリゲルだった。
「事情が変わった。そこで戦うとしよう」
「何故ですか、リゲル様」
「それは」
狂闘士達も彼のその言葉に応えて彼に問うた。
「ここで下がるとは」
「どういった事情が」
「それはだ」
「私が言おう」
ここで出て来たのはだった。彼女だった。
「貴様は」
「そうだ、レオよ」
エリスであった。彼女がその整っているが凄惨な微笑を浮かべたその顔でアイオリアに対して応えたのである。
「このエリスがそれについて話そう」
「エリス様」
「ここに来られたのですか」
狂闘士達も彼女の姿を見て言う。
「何故ここに」
「いや、今のエリス様は実体ではない」
「となると」
「その通りだ。意識だけを飛ばしているのだ」
そうして出て来ているというのである。見ればその姿はやや透き通っている。それが今の彼女が実体ではない何よりの証である。
「そうしているのだ」
「では何故だ」
アイオリアがその出て来たエリスに対して問うた。
「貴様がここで出て来たのは」
「戦いを止める為だ」
「そうだ」
リゲルもここで言うのだった。
「その通りだ」
「何故ですか、戦いを止められるとは」
「それはどういうことですか?」
「ここで御前達が戦ってはならないのだ」
こう狂闘士達に対しても告げるのだった。
「ここではだ」
「!?それは何故」
「どうしてでしょうか」
「アーレス様の為だ」
だからだというのである。
「だからだ」
「アーレス様の為ですか」
「その為に」
「わかったな。だからここでは戦ってはならぬ」
あらためて彼等に言うのだった。
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