聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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481部分:第六十七話 豪州という地その六
第六十七話 豪州という地その六
「だが。これで私は去り」
「わしもやがては」
「その時は頼む」
シオンはその彼に告げた。
「私は間違いなくいないからな」
「わかっておる。その時も任せておけ」
応える男の言葉は何処までも温かいものだった。
「あの者達なら大丈夫じゃ」
「そうだな。あの時と同じだ」
シオンの声は今度は微笑むものになっていた。
「彼等は気付いていないがな」
「魂は同じなのじゃよ」
男の言葉もまた微笑んでいた。そうした意味でシオンのそれと同じものになっていた。
「わしもあの者達もな」
「そして私もか」
「そういうことじゃ。わしはまことに幸せ者じゃ」
「私もな」
「またあの者達と共に戦える」
だからだというのである。
「それを幸せと言わずして何という」
「私もまたあの者達と同じ時間を生きることができる」
シオンはその微笑みを含んだ言葉のまま述べた。
「やはり。いいものだ」
「僅かとはいえか」
「僅かであっても素晴らしいものは素晴らしい」
そこには惜しむ気持ちはなかった。喜ぶものがあるだけだった。
「私はそう思う」
「そうじゃな。素晴らしいものじゃ」
「私の後は頼んだ」
「うむ。聖域に行くことはできんがな」
「あの者達はわかっている」
その彼等について話を続けるシオンだった。
「正義というものがな」
「それもあの時と同じじゃな」
「それぞれ口にする正義は違う」
それは違うというのである。
「だが。その根は同じものだ」
「人の正義であり」
「アテナの正義だ」
それだという両者だった。
「それは変わってはいない」
「ハーデスにしろアーレスにしろ人は見てはおらん」
「ポセイドンもまた」
そうした三柱の神々については彼等は否定的であった。それも当然のことであるが。
「人については何も思うところはない」
「ただの道具としてしか思っておらんわ」
男の言葉はまさに言い捨てる感じのものだった。
「自分達に従う者達ですらじゃ」
「あの天界の神もか」
「そうじゃな。同じじゃな」
その神も同じだというのだった。
「所詮はのう。同じじゃよ」
「アテナだけが人を見ていて下さっている」
「そして認めて下さっておるじゃ」
そうだというのである。アテナだけがだというのだ。
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