おぢばにおかえり
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第三十七話 三年生なのでその九
「ただ一緒にいただけよ」
「絶対に認めないわね」
「だから何処がデートなのよ」
こう言われることがとにかく心外です。
「私と阿波野君って先輩と後輩よ」
「それ以外の関係じゃないのね」
「そうよ、それだけよ」
「映画村でも一緒にいたじゃない」
「その時も一緒にいただけよ」
阿波野君の方から勝手にやってきてです。
「それだけだから」
「その前からじゃない」
「阿波野君が入学してから?」
「それでもそう言うの」
「だって付き合ってないから」
そんな意識は全然ありません、欠片一つもないです。
「そう言われるけれど」
「ないのね」
「全然ね、私はね」
それこそとです、また友達に言いました。
「そうした考えないから」
「あらあら、あの後輩君が聞いたら泣くわよ」
「泣かないわよ」
阿波野君がそんな風になるとは全く思えませんでした、あんな能天気な子は他にいないと思います。見たこともなかったです。
「あの子は」
「じゃあ彼に直接言える?」
「私が?」
「それ言える?」
「それは」
そう聞かれるとでした、私にしましても。
想像してみて戸惑ってです、友達に答えました。
「無理よ」
「でしょ?本人には言えないわよね」
「何か悪いから」
「そう思う相手ってことよ」
「阿波野君が」
「そう、けれどそう思うのならね」
にこにことして私に言ってきます。
「まんざらじゃないじゃない」
「そうなるの?」
「まあどうしても一緒にいたくないなら別だけれど」
私ににこにことしてまた言ってきました。
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