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オズのビリーナ

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第一幕その九

「そのことを再認識したわ」
「そうなのね」
「あらためてなのね」
「ええ、よくね」
「まあ猫って本当にマイペースよね」
 ビリーナも言います。
「自分の調子で動くわね」
「そうよ、この通りね」
「今日もそうするし」
「そうよね、ただエリカは私の家族を襲わないからね」
 だからというのです。
「いい猫ね」
「猫は鳥も好きだからね」
 鼠と一緒にです。
「気をつけていたのよ」
「つけていたのね」
「オズの国に来るまではね」
「私も昔は色々と悪さをしたわ」
 エリカにしてもです。
「それで最初にこの国に来た時はドロシーにも魔法使いさんにもかなり言われたわ」
「全くよ」
 そのドロシーも言ってきます。
「あの時の貴女は本当に悪かったわ」
「ええ、けれどね」
「行いをあらためたのね」
「そうよ」
 こうドロシーに答えます。
「今みたいにね」
「キャットフードしか食べなくなったしね」
「だってキャットフード美味しいもの」
 本当にというのです。
「だからね」
「それを食べてればなのね」
「満足だから」
 それでというのです。
「動くものには反応するけれどね」
「それは仕方ないわね」
「猫だからね」
 本当にそれに尽きます、動くものに反応することも。
「自然とそうなるのよ」
「だから」
 ここでです、ナターシャは。
 黒いゴスロリ、いつものファッションの服から猫じゃらしを出してでした。そのうえでエリカの前に持って来てです。
 ふりふりとさせます、するとエリカだけでなくです。
 ガラスの猫も反応します、二匹で前足を出しますが。
 その二匹を見てです、ナターシャは微笑んで言いました。
「やっぱり猫よね」
「そうされるとね」
「自然と身体が出るのよ」
 二匹共言います。
「どうしてもね」
「反応しちゃうのよ」
「それが猫よね」
 ビリーナも言います。
「ガラスでも猫は猫なのよ」
「そうよ、私は誇り高い猫だから」
 前足を必死に出しつつも胸を張るガラスの猫でした。
「そうするのよ」
「そうなのね」
「その猫の習性としてね」
「動くものがあると」
「こうして自然に動くのよ」
「いい習性でしょ」
 エリカはこう言うのでした。
「これも」
「いい習性かしら」
「そうじゃないと思うけれど」
 ビリーナだけでなくエリカも首を傾げさせます。
「普通のね」
「生きものの習性じゃないの?」
「あまりね」
「いいものじゃないでしょ」
「悪いものでもないけれど」
「いいものでもないわ」
「私達がいいと思ってるからいいの」
 これがエリカの言葉です、やっぱり前足はナターシャがふりふりさせている猫じゃらしに向けられています。 
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