Three Roses
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第二十話 早世の家その十一
「宮中にも我等の味方はいますし」
「では」
「はい、そして」
そのうえでとだ、ロドネイ公はマリーにさらに話した。
「三つの大臣の座も手に入れましょう」
「そして、ですか」
「マリー様ご自身を守りましょう」
そうして得た力でというのだ。
「是非」
「それでは」
「はい、ただ先程言われましたが」
「王位のことですか」
「マイラ様にですか」
「私は妹です」
この立場からも言うのだった。
「ですから」
「玉座にはですか」
「マイラ姉様の方が相応しいです、それに」
「マイラ様はですね」
「聡明で道理もご承知です」
そうした人物だからこそというのだ。
「そして多くの方は知りませんが」
「お優しい」
「ですから」
そうした徳分を備えているからだというのだ。
「是非です」
「マイラ様がですか」
「王位にと考えています」
「左様ですか」
「私なぞが王位には」
これは以前より思っていることだ、誰にも積極的に言うことはなかったが。
「相応しくないです」
「妹君だからですか」
「はい、どうして姉をないがしろに出来るのか」
こう悲しい顔で言うのだった。
「そう思います」
「しかしです」
「お姉様がですね」
「やはりです」
側室の子である、ロドネイ公はあえてこのことを言うことは控えた。もうここにいる誰もがわかっていることだからだ。
「どうしましても」
「その様なことで」
マリーは自分の考えからロドネイ公に返した。
「そうなってしまうのか」
「あの方が姉君であられることは」
「変わらないというのに」
「誰か決めたかはわかりません」
ロドネイ公はこの前置きからマリーに答えた。
「ですがそうなっているのです」
「側室のお子は、ですか」
「はい、どうしてもです」
「正室のお子よりも」
「地位が低くなります」
「同じ姉妹でも」
「側室は側室ですので」
本妻ではない、だからこそというのだ。
「そのお子もです」
「正統ではないと」
「若し側室のお子だけならいいです」
この場合はというのだ。
「マイラ様も無事にです」
「女王となられますね」
「はい、ですが」
「私がいるからこそ」
「そうです、正室のお子がおられれば」
その場合はというのだ、まさにマイラとマリーの関係だ。正室の子と側室の子の関係である。
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