Three Roses
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第二十話 早世の家その九
「あの方は非常に政治を理解されています」
「そのことは間違いないですね」
「ロートリンゲン家は帝室です」
「帝国の」
「大陸の中心と言っていい、ですから」
「政治をですね」
「よくご存知です」
そうした人物であることをだ、大司教はマリーに話した。
「あの方は」
「だからこそまずは、ですね」
「軍を握られる為に動かれ」
「私に先んじた」
「そうです、ですが」
「それでもですね」
「軍を握られてもです」
確かにそれは大きい、だがそれでもというのだ。
「まだ何とかなります」
「それでは」
「宰相と内務を担う大臣と外務を担う」
「その三つをですか」
「はい、握りましょう」
こうマリーに勧めるのだった。
「そしてです」
「私が、ですか」
「女王になられる万全の状況を作りましょう」
「まさかです」
デューダー卿も今は明るい顔ではなく神妙な顔だ、その顔で自身の主であるマリーに言うのである。
「この度太子があそこまで迅速に動かれ」
「ご自身の祖国からですね」
「お金等を大々的に持ち込むとは思いませんでした」
「あそこまでは、ですね」
「ですが帝国の力を以てすれば」
「あれ位のお金はですね」
「何でもありません」
帝国にとってはというのだ。
「戦争をすることを思えば」
「賄賂に使うお金は」
「はい、まさにです」
「何でもない額ですね」
「戦争はとかく莫大な予算がかかります」
デューダー卿はこのことも指摘した。
「それを思いますと」
「賄賂は、ですか」
「非常にいいものです」
「戦いで多くの予算を失いしかもそれ以上に命を失うことを思えば」
「街も村も森も焼かれます」
「そしてものを奪われる」
「そうなるtこと思いますと」
遥かにというのだ。
「賄賂はです」
「いいものですか」
「そうした工作は」
「そうですか」
「これは好き嫌いではなく」
「国を思えばですね」
「はい、非常にいいことです」
賄賂を使いそれでことを成功させることはというのだ。
「ですから太子はです」
「いいやり方をされている」
「その通りです」
「姫様、ここはお歴々の言葉通り」
キャスリング卿も語る。
「やはりです」
「宰相、そして」
「内外の大臣をです」
それぞれというのだ。
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