Three Roses
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第二十話 早世の家その七
「だから陸のみだ」
「では海は」
「海はどうされますか」
「我が国は海軍も大きいですが」
「そちらは」
「そちらは卿達の中で海軍の者達がいるからだ」
それでというのだ。
「彼等に提督になってもらいだ」
「海軍は、ですか」
「オズワルド公のものとならずとも」
「それでもですか」
「我等の下に」
「そうしたい、軍を握ることだ」
まずはというのだ。
「それからだ」
「しかしです」
ここで諸侯の一人が太子に言った。
「それはです」
「あちらもだな」
「動かれるのでは」
「わかっている」
太子はその諸侯に鋭い目で答えた。
「そのことはな」
「左様ですか」
「軍を握れば大きい、しかしだ」
「それに合わせて」
「士官達だけでなくだ」
軍の、というのだ。
「下士官や兵達に給与を弾み酒も美食も馳走するのだ」
「そのうえで」
「彼を大臣にするまででもいい」
「例え一時的だけにしても」
「軍全体でオズワルド公の支持にだ」
「もっていくのですね」
「その声を王にも聞いてもらうのだ」
これが太子の策だった。
「わかったな」
「では」
「金はある」
もっと言えば酒も馳走もだ、太子はこの国の諸侯達に話した。
「既に私の祖国から持って来ている」
「では」
「すぐにその金や酒をですか」
「士官達だけでなく下士官や兵達にも振る舞い」
「軍全体でオズワルド公の支持とする」
「そしてあの方を大臣に」
「そうしよう、おそらくあちらも動くが」
マリーの側、もっと言えば彼女の周りの者達がだ。
「先んずることだ」
「相手にですね」
「こちらが」
「冷静かつ迅速にだ」
焦るなとも言った太子だった。
「進めていく」
「では急いで」
「軍全体を取り込み」
「そして、ですね」
「オズワルド公を軍の大臣に」
「そうしますか」
「それからだ」
太子の目が光った、ここで。
「わかるな」
「はい、マイラ様をですね」
「あの方をこの国の女王に」
「是非ですね」
「そうしていきますね」
「その布石の一つだ」
オズワルド公を軍を担う大臣にすることはというのだ。
「だからだ、いいな」
「ではすぐに動きます」
「軍全体を取り込みます」
「あちらよりも早く」
「そうします」
「ではな、ことは一刻を争う」
軍を取り込むこのことはというのだ。
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