歌集｢春雪花｣

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　夜もすがら

　　降るは村雨

　　　涙雨

　望むは侘し

　　　　晩秋の里

　夜通し秋雨が降ったり止んだり…しんと静まり返った闇に､冷たさが染みる…｡

　こんな寂しい雨の夜は､一際彼を恋しく想い…心の中では涙を流してしまう…｡

　ふと…外を眺めても､月明かりもない真っ暗な闇だけが覆うだけ…｡

　まるで…私の未来を見ているようで…尚の事､もの寂しくなってしまった…｡

　秋染めの

　　田畑も山も

　　　　虚しける

　君なかりせば

　　　なんぞ思わん

　田畑を見渡せば､もう冬を迎える支度は整い､山波はまるで…美しい着物を纏うかのような紅葉が広がる…｡

　しかし…そんな風景に､何を思えというのだろう…?

　ここに彼はいない…それだけの私には､ただただ虚しいだけだ…｡

　何を感じ…思えと言うのだ…｡

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