Three Roses
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第十九話 聖堂にてその十
「全ての国がそうですが」
「法皇庁はですね」
「特にです」
「法皇庁のことしか考えない」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「富と権勢を求める」
「この世にある」
「法皇庁は腐敗を極めています」
こうも言ったのだった。
「その腐敗の酷さもあり」
「若し我が国が法皇庁に従う様になれば」
「かつての帝国の様になります」
まだロートリンゲン家の力が弱かった頃のその国の様になってしまうというのだ、若し法皇庁に信仰で従うとなると。
「民が好きなだけ搾取される」
「そうなるからこそ」
「教会は幾らでもです」
それこそというのだ。
「理由を付けて民から搾取出来ます」
「神の為、主の為と」
「寄付、浄財という名目で」
「それこそ幾らでもですね」
「税を搾り取れます」
「かつての帝国の様に」
「帝国は教会の雌牛でした」
かつてのその国はというのだ。
「そしてです」
「搾取の結果ですね」
「はい」
まさにと言うのだった。
「国は中々よくならず」
「そして、でしたね」
「民は苦しみました」
「そうなるからこそ」
「民は国の宝です」
「彼等を教会の搾取に晒せば」
「彼等が苦しみ」
そしてその苦しみがというのだ。
「国を乱します」
「それ故にそれは許さない」
「教会には既に多くの寄付と領地があります」
例え搾取なぞせずともというのだ。
「満足して頂かねば」
「他の国の民から搾取なぞせず」
「そうです、この国の民は守らねば」
「結果としてこの国自体が」
「痩せます」
搾取された民達と同じくというのだ。
「そうなりますので」
「では」
「異端審問官達も抑え」
「そのうえで」
「旧教に戻しましょう」
法皇庁の介入を防ぎつつというのだ。
「我が国は我が国です」
「そしてその外のこともですね」
「私がです」
「担われますか」
「信仰と共に」
「わかりました、では私もです」
「内の政とですね」
「軍のことはお任せ下さい」
こう司教に答えるのだった。
「是非、そして」
「それと共にですね」
「軍のことですが」
オズワルド公は司教に彼が担うべきその部署のことを話した。
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