エクリプス(機動戦士ガンダムSEED編 )
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第15話 ペイバック
Side マリュー・ラミアス
光輝
「サイーブの了承も得た事だし、レジスタンスの基地へ移動する。
キラ君は私と同行して欲しい。
艦長と副長、ムーは自由選択とする。
トノムラ達は残ってくれ、休暇の間に部下の面倒を覚えろよ。
プロト、このアイテムボックスに残りの人達の学習システムが入っている。
彼らに返して欲しい。それと此処の説明を頼む。」
マリュー
「私達が行ったら、アークエンジェルわ?」
光輝
「このドッグはアークエンジェルより丈夫だし、プロトに任せればいい。
こちらの様子はアークエンジェルに流すが、現場の空気を吸うのも悪くない。
トノムラ、全員に作戦概要と1日1時間のトレーニングを義務付けを徹底させてくれ。
宇宙暮らしで体が鈍っている筈だ。キサカとカガリの事は内密にな。
マリュー達は相談して行くか決めて、付いてくる者はエクリプスの自動車関連の操作方法を
学習してくれ。サイーブ達もな。」
マリュー
「何で?」
光輝
「猫の手も使えと言うだろう。」
フラガ
「猫の手も借りたいなら聞いた事はあるが、要は俺達に何かさせたいのか?」
光輝
「流石に『エンデュミオンの鷹』だ、勘が鋭いな。
学習システムや魔法を魅せられない。トラックで荷物を運ぶのを手伝って貰いたい。」
艦長達は相談して3人も付いて来ることになった。
光輝
「それでは新しいレジスタンスの拠点に行こうか!」
サイーブ
「新しいレジスタンスの拠点?」
光輝
「ここのドッグは拡張して、エクリプスの宇宙港にする予定だ。
レジスタンに教える事は出来ない。
そこでここにある廃坑を利用して、新しいレジスタンスの拠点を作る予定だ。
拠点というより、トレーニングキャンプに近いがな。」
光輝は正面モニターで、詳細な地図を出し、拠点の場所を指し示す。
フラガ
「それは見てみたいなぁ。」
光輝達はドッグの外に出る。
サイーブ
「お前達全員は車に乗れないぞ。」
光輝
「そこはアイテムボックスがある。」
光輝は2台の6人乗りジープを出した。
砂漠仕様の迷彩柄である。
カガリ
「おぉー!カッコいいなぁ。
オレはこっち乗ってもいいか?」
光輝
「運転するか?」
カガリ
「いいのか。」
カガリは新しい玩具を貰った子供のように燥いでいる。
光輝
「この車は後部にタイヤ痕を消す装置が付いている。
どうせ1台はサイーブにやる予定だったから?
運転させてもらえ、学習システムで操作方法を覚えても、実際の感覚と違うからな?
サイーブ達の車はアイテムボックスで運べば済む。」
一向は拠点へ向かった。
カガリは右左にハンドルを切り楽しげである。
マリュー
「危ない運転ね。」
光輝
「助手席にキサカが乗っているんだ。大丈夫だ、かな?
チョット燥ぎ過ぎかもな。」
光輝は無線を取った。
光輝
「そこの車、止まりなさい、というのは冗談だ。
そろそろ拠点に着く、遊びはお終いだ。
拠点に着けばもっと面白い物が置いてある。」
一行は廃墟に着いた。
納屋に車を停める。
光輝は止めた車の横にアイテムボックスからサイーブ達の車を出した。
光輝
「ここは廃坑になった街の廃墟だ。
地下に降りよう。」
光輝を先頭に一行は母屋に向かった。
母屋には地下に階段があった。
階段を降りるとエレベーターホールがあった。
光輝達は1台のエレベーターに乗り込み下に降りる。
光輝
「ここのセキュリティーは低いから、顔認証システムになっている。
登録されていない者が乗ると偽物の部屋に降りるようにしてある。
今はセキュリティー解除してあるので、目的の階に降りるようになっている。」
エレベーターが目的の階に着いた。
そこにはドッグには比べると狭いが広々としていた。
そこにはロボットらしい物が動いている。
光輝は1台のロボットを呼ぶ。
光輝
「タチコマ、こっちに来て挨拶してくれ。」
タチコマ
「僕はタチコマです。宜しく。」
光輝
「タチコマ達は万能ロボットで装備を交換すると万能工作のロボットにもなる。
経験を共有しているので個別に名前をつけていない。
今はここの拠点を拡張している最中だ。」
フラガ
「へえ、これが…。クモに似ている。」
マリュー
「人型じゃないいんだ。」
光輝
「工場のオートメーション・ロボットと同じ様に目的の機能さえあれば、
人型に拘る必要がない。」
カガリ
「オレはカガリだ、宜しくなタチコマ。」
タチコマ
「宜しく。」
タチコマは握手する様に、右手を出した。
カガリはおそるおそるタチコマに触れた。
光輝
「タチコマ、作業に戻っていいぞ。」
タチコマ
「はい。」
光輝
「施設の概要を説明する。
会議室に行こうか。」
一行は会議室に向かう。
光輝は会議室のメインモニターの前に移動する。各々は席に着いた。
光輝
「これが施設の概要だ。赤い部分は未完成な部分だ。
見ての通り会議室の他に、作戦室、待機室、休憩所、簡易宿泊施設などがある。
異例なのはこのトレーニング室だな。
トレーニング室にはVR機が置いてある。
学習システムと違い、身体をすっぽりと包む構造になっている。
これは筋肉に微弱電流を流してバーチャルで体験した事を筋肉に伝えて、
身体を鍛える事が出来る。
射撃訓練や戦闘訓練などもこれで出来るし、単にゲーム機としても使える。
学習システムと違って、現実世界と時間の流れは一緒だ。
訓練時はAIが指導教官と成ってくれるので、効率的にその人に合わせて教えてくれる。
ここにいる皆は学習システムでの利用権限があるので、
VR機の学習システムも使えるので効率的に学べる、
ただ筋肉は鍛えないといけないので、地道にトレーニングしないといけない。
学習システムで脳のトレーニングをすると脳の処理速度を上げる事は出来るが、
学習システムを使っている皆は分かると思うが、
学習システムを使うと疲労感が溜まる。
戦闘中に訓練するものではない。
学習システムは脳に多くの情報を送るが、処理速度を早くするには、
脳の神経パスを多くする必要がある。
普通に学習システムを使っていれば、自然と早くなって行く。
サイーブは此処の利用方法を学習システムで習得して置くように。
他の皆はVR機の使い方を習得して置けば、ドッグのトレーニング室にも置いてある。
今は時間がないので、それぞれ必要な項目を学習したらVR機能を体験しよう。」
学習システムを被り、各々が必要な知識を学習した。
カガリ
「凄い!これがVR機っ。」
光輝
「カガリ、バルキリーに乗って見たいだろう。
バルキリーの初期型・VF-1 バルキリーのゲームをやってみると良い。」
カガリ
「バルキリーってこの前、虎をコテンパンにした奴だよな。楽しみだなぁ。」
フラガ
「学習システムにもバーチャルリアリティー(VR)機能があったのかっ!
速く教えろよ!」
光輝
「学習システムがあるのに、VR機能を公開しても只のゲーム機にしかならない。
これまで、そんな余裕がなっかただろう。
今頃、アークエンジェルではVR機能を使って、娯楽を提供しているよ。
マードック達は昨日の酒で、まだ寝ているだろうがな。
それよりVR機能を試して見ろよ。
お姫様はやりたくて、うずうずしている。」
一斉にVR機能を試してみる。
カガリ
「すげーぞ!」
マリュー
「これがバーチャルリアリティー…。」
ナタル
「五感が再現されている。」
フラガ
「うへぇー、これはこれで面白い。」
「「…」」
光輝
「お楽しみはこれまでだ。
今晩の作戦開始までにレジスタンス達をこちらに移動させる必用がある。
サイーブ、指揮は任せる。必要な物資があれば、フラガ達も使っていい。」
サイーブ
「分かった。」
Sideout
各々が役割分担して作業を進めていった。
レジスタンス達も到着している。
Side マリュー・ラミアス
光輝
「今から作戦を始める。
本作戦はアークエンジェルの脱出までの時間を稼ぐ事が目標である。
各自モニターに注視しろ。」
拠点内部の各モニターにはザフト軍の基地の映像に切り替わった。
基地へ接近するバルキリーがある。フラガの乗るVF-25 メサイアである。
バルキリーから1発のミサイルが発射される。
ミサイルは基地ではなく、基地の上空へ飛んでいく。
基地の上空でミサイルが破裂する。
光輝
「たま~や!」
基地上空では花火が上がる。
作戦を知らない者は何が起きたのか唖然としている。
光輝
「これは正確には花火ではない。
音は基地だけに響いている。指向性を持った爆音兵器である。
これで相手を眠らせない。だが、真の狙いはそこではない。
これを見てくれ。一見、小石に見えるこれは超低周波と高周波を近辺に出す。
これらを基地内部にばら撒く為の囮である。
これの効果は初めは耳鳴りや頭痛、そしては吐き気など身体に変調を来す。
音波兵器だ。
コーディネイターは人間の持つ長所を集めたに過ぎない。
決して化物などではない。
これをランダムで1週間継続して行う。」
「「すげぇーけど!えげつない。」」
レジスタンス達は納得しながらも、腑に落ちない様子である。
光輝
「君らは仲間や同胞を殺されたら、悲しみや憎しみを抱く。
コーディネイターも同じだ。
彼らは血のバレンタインで、24万人以上の同胞を殺された。
君らが相手を殺せば、殺すほど。
彼らの憎しみは増えていく。
それらに巻き込まれるのは、君らの家族や知人、民衆だ。
過去の歴史が証明している。
レジスタンス活動で多くの犠牲を出したのは一般人だ。
君らには人々を守る技術を教える。
それと人を助ける喜びと人に感謝される喜びもだ。」
Sideout
それから、数日たった。
今、光輝達はタッシルの街にいる。
Side マリュー・ラミアス
サイーブ
「俺達レジスタンスを集めてどうするんだ。」
光輝
「長老と話しがしたい。」
サイーブは部下に指示して長老を呼びに行かせた。
光輝
「初めまして、コウキ・イチジョウです。
皆様にお集まり頂いたのは、食料プラントをお見せする為です。
サイーブに借りた母屋から、食料プラントに繋がるエレベーターが御座いますので、
今からご案内します。」
そう言うと光輝達は一軒の空き家に入った。
空き家は外見はそのままで、内部は近代的に改装してあり2機のエレベーターが設置してあった。
長老
「ほおー、何時の間に。」
光輝
「遮音フィールドがありまして、工事の音は外に漏れません。」
マリュー達
(嘘ね。)
(嘘だは、魔法を使ったくせに!)
光輝は長老達を案内してエレベーターで地下に降りる。
エレベーターが地下に着き、扉が開く。
「「…」」
光輝
「これは宇宙で使う農業プラントと同じで、作付けから収穫まで自動で行います。」
マリュー達
(絶対嘘だは、プラントの農業コロニーより進んでいるわ。)
サイーブ
「この水は何処から来てやがる!俺達の水がめを枯らしたら承知しないぞ!」
光輝
「安心して下さい。この水は地中海から上水道で来た水をポンプで汲み上げています。
この上に養殖場があり、排せつ物などから肥料成分を抜き出して、栄養を添加します。
まだ作付けが済んでいないため、収穫までには時間がかかりますが半年で軌道に乗る予定です。
次は養殖場をご覧頂きます。」
「「…」」
光輝は皆を1階上にある養殖場に案内する。
サイーブ
「養殖場って、鶏だけじゃないのかよ!」
そこには、魚の稚魚やヒヨコ、子豚などがいる。
光輝
「サイーブ、そこの養魚場の水を舐めてみろ。」
サイーブ
「おぉ、塩辛くない。」
光輝
「ここの稚魚は海水魚で、育ちが早く人気の魚だ。
実は海水魚といっても塩分は必要ない。
ここでは淡水魚と海水魚を同時に飼うことも出来る。
餌の栄養成分と環境の違いから区画を分けている。
エクリプスの専門化が派遣されて来る。
その者と相談して貰えば、内容を変更出来る。
今は必要な食料確保と出荷向けの食糧に分けてある。
市場に過剰供給して、今いる生産者にしわ寄せがいくのは良くない。
大西洋連邦から輸入している食物を中心に出荷を考えている。
此処の施設は食物にあった環境に調整してある。」
「「すげーなぁ」」
光輝は長老に向かい合う。
光輝
「今はまだ、牛などの贅沢品は育てていませんが、この施設が順調に稼働すれば、
ここの収益でそれらの物をご購入下さい。
ここで飼育される畜産動物の餌になる穀物は階下の農業プラントで十分に確保出来ます。」
長老
「私達は支払える物が何もない。」
光輝
「労働力です。
エクリプス社は雇用を提供して、皆さんが働く。
エクリプス社は人を確保でき、皆さんは働く場所を手に入れる。
エクリプス社は薄く広くがモットーです。
現在の市場を取り合うのでなく、皆さんを裕福にして市場を大きくするのです。
そうすれば搾取しないで、儲ける事が出来ます。
生活が楽になれば人口が増えて、更に市場が大きくなります。」
サイーブ
「理屈は分かるが、人口と資源の問題は如何する。」
光輝
「問題ありません。
その問題は解決済みです。
資源は海底から得る事が出来ます。
人口は海洋にフロートを浮かべれば問題ありません。
宇宙にコロニー建設するより、何倍も安上がりです。
エネルギーも核分裂を使うのでなく、安全な核融合を使います。
ニュートロンジャマーの影響を受けません。
プラントに資源を供給すればプラントは地球に拘る必要がありません。
プラントの穏健派とは交渉しています。
問題は地球軍とプラントの主戦派ですが、幸いなことに。
ここアフリカは地球軍とザフト軍にはもう主戦場になっていません。
そこでザフト軍を追い出した後、アフリカはアフリカ連邦に独立してどちらにも与しない第3勢力とします。
そうすれば仮に地球軍が攻めてきても、プラントに資源を供給していれば、ザフト軍を利用して守って貰います。
これからはザフトに支配されるのではなく、ザフト軍を利用します。」
サイーブ
「お前そんな事を考えていたのか?」
光輝
「両軍とも疲弊している今だからこそ、実現できる策です。
幸いにも大西洋連邦とユーラシアは決して、仲良くありません。
二つを分裂させれば、ユーラシアを味方に付けて、地球軍の脅威を減らせます。
これがエクリプス社が考える誰も損をしないシナリオです。
この施設はここだけではありません。
難民キャンプ予定地や他のアフリカ地域でも工事しています。
この莫大に思える投資も海底資源プラントのおかげで、安く済んでいます。」
「「…」」
皆は余りにも壮大な話に戸惑っていた。
光輝
「今はそこまで信用して貰う必要はありませんが、労働力を提供して頂ければここで上がる収益から給金をお支払いします。
軌道に乗るまでは、支援を約束します。
当面の運転資金はサイーブの拠点の資材倉庫に金の延べ棒で1トン程用意してあります。
金は戦争の所為で、価格が上がっています。
アースダラーよりも価値があります。
支援物資の第1便が到着しております。
今のところはサイーブ達に順次運ばせます。」
「「1トン!」」
サイーブ
「俺には、お前がお人好しなのか、只のバカのか分からないぜ?」
光輝
「男は有言実行してこそ、男なのだよ。」
サイーブ
「有言と言っても俺は教えて貰ってないぞ。」
光輝
「それは有言と言ってもこの施設が完成していなかったら、誰も信じてくれないだろう。
お前がこの施設を見なかったら信じるか?
有言と言ってもタイミングと実績を見せないと、妄想やほら吹きになってしまう。
サイーブ資材倉庫に行くぞ、支援物資から明細を調べて必要な物資を運ばせるぞ?
部下を各村に配置して、必要な物資を調べさせ取りに来させるのがお前の仕事だぞ。」
サイーブ
「人をこき使いやがって!」
マリュー達
(うん。うん。)
光輝
「各街や村の為に働くんだ。どこに不満がある。」
サイーブ
「…」
光輝達は施設を出る。
長老
「感謝…」
光輝
「感謝の必要はありません。
企業で言うところの先行投資です。
今は気持ちだけ受け取って置きます。」
光輝はそう言うとマリュー達と街から出て行った。
サイーブは部下に指示を出し、光輝の後を追う事になっている。
マリュー
「1トンもの金はどうしたの?」
光輝
「デブリベルトには戦艦などがあっただろう。
金は導電性も高く戦艦一隻から家電製品より金が取れるんだ。
装甲を含めて施設に再利用できるものが殆んどだ。」
フラガ
「それは墓場荒らしと一緒だぞ。」
光輝
「一緒にするなよ、ご遺体はちゃんとユニウス7に収めてある。
戦争が終わったら、地球の土に返すさ。
どちらにしてもデブリベルトは片付けないと、今後の宇宙開発でも危険な存在だ。
戦艦の装甲でもデブリベルトに突っ込んだら危険な存在だ。」
フラガ
「そう言うところが、嫌いだ。
理屈は分かっていても、すんなり納得が行かない。」
光輝
「資源の幾らかを返せば納得いくのだろうが、
魔法がなかったら、こう簡単にいかない。
それに戦争に巻き込まれた人の事を考えろな。
戦争がなければアフリカで120万ほどの飢餓が起きることもなかったんだ。
お前達の税金も戦争に使われているんだ。
国民から搾取している政府とそれによって利益を上げている企業のバカ者どもを恨め。
権力や利権に群がっている奴らは、いつの時代にもいるもんだ。」
「「…」」
光輝
「作戦は第2フェーズに入る。
アークエンジェルもアフリカからの脱出を考えなければならない。
これからが忙しくなるぞ。
補給と虎退治。アークエンジェルにもやって貰うよ。」
フラガ
「げっ!」
「「…」」
光輝
「大地に降りた魔法使いが味方だ。
自然を操る魔法使いの恐ろしさはこれからだよ。
相手は只の不運な自然現象と思うだろがな。」
「「…」」
Sideout
後書き
この話はオリジナルです。一番苦しみました。
後で修正をするかもしれが…。
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