Blue Rose
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第二十九話 姉との再会その十
赤ワインを飲んでだ、こう言ったのだった。
「私お母さんになるわね」
「いいお母さんにね」
「そうなりたいわ」
「いい相手を見付けてね」
「それよく言われるの」
「そうでしょ、交際するにしても特に結婚するにしても」
「いい相手を見付けなさいって」
そうだとだ、優花は優子に話した。飲んでいるコップは普通のガラスのコップでありワイングラスは部屋にはない。
「言われてるわ」
「若し悪い相手だったらね」
「よくないってね」
「実際にそうよ、悪い相手はいるから」
どうしてもだ、優子も言う。
「暴力、浮気、ギャンブルね」
「その三つね」
「私はこの三つがなかったらいいけれど、あと性格ね」
「偉そうだったり意地悪だったり」
「我が儘、自分勝手ね」
「そういうのが過ぎる人も」
「あまりよくないわね」
暴力やギャンブルに加えてというのだ。
「だからね」
「相手は、ですね」
「選ぶことよ」
交際相手、それのだ。
「いいわね」
「これから」
「そうしてね」
「皆に言われてるし」
「気をつけていかないとね」
「そうね、私も女の子だから」
そうなったからにはとだ、優花は言った。
「そのことにも気をつけるわ」
「よくね、それと」
「それと?」
「貴女の動きはもうね」
ワインを飲む時の手の動きを見ての言葉だ。
「女の子ね」
「女の子の動きになってる?」
「たおやかなね」
「そう、訓練も受けたしね」
「療養所でよね」
「ええ、無意識でも女の子の動きになる様にって」
その訓練のこともだ、優花は優子に話した。
「受けていたの」
「おトイレのこととか」
「わかるの?」
「わかるわ、だって男の子のままだとね」
「男子トイレに入っちゃうから」
「そうならない様にねってね」
まさにというのだ。
「訓練を受けたの」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでと言うのだった。
「普通の動きにもなってるのかも」
「いいことね、無意識は変わりにくいものだから」
「人のそれは」
「そう、だからね」
「私いい訓練受けたのね」
「そう思うわ、もう何処からどう見ても女の子よ」
まさにとだ、優子は妹に微笑みを向けて話した。
「それも可愛いね」
「可愛いは余計なんじゃ」
「余計じゃないわ、いやそれにしてもね」
「それに?」
「このワイン美味しいわね」
今飲んでいるワインの話もするのだった。
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