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雪の進軍

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第四章

「残念なことに」
「そうらしいですね」
「振り続けているだけあって」
「十勝ではですね」
「もう記録的な大雪だとか」
「何十年振りかの」
「そんな中でな」
 山中は瞑目してだ、こう述べた。
「皆よく頑張ってくれた」
「はい、本当にですね」
「よくやってくれました」
「寒い中誠心誠意」
「頑張ってくてました」
「幕僚長に伝えておく」 
 師団長である彼自らというのだ。
「彼等はよくやってくれた」
「雪の中進んで」
「そして頑張ってくれました」
「このことをですね」
「師団長が伝えられますか」
「そうする」
 実際にとだ、彼は言った。
 撤収命令が出た時自衛官達は丁度昼食であった、飯盒で飯を炊きカレーを食べていた。飯盒から更に御飯を入れてだ。
 そのうえでカレーをかけて食べていてだった、彼等はその話を聞いて言った。
「そうか、遂にか」
「撤収か」
「救助活動も終わりか」
「そうなるんだな」
「俺達充分やれたか?」
 ここでだ、彼等は自省した。
「被災者の人達を助けられたか」
「出来てたらいいんだけれどな」
「あの人達がどうか」
「それ次第だからな」
「いや、本当にな」
 こう言うのだった、カレーを食べつつ。
「俺達の満足じゃないからな」
「この雪だ」
「暖かく出来てるか」
「ちゃんと食べられているか」
「家族の人達と仲良く出来ているか」
 避難した体育館や市民会館の中でというのだ、ペット達も含めて。
「それならいいんだがな」
「俺達も無事に撤収出来るが」
「これも命令だ」
「撤収するか」
 彼等は被災者の人達のことを思いつつだった、そのうえで。
 撤収の用意を済ませるとすぐにヘリやトラックで順次撤収していった、雪はこの時も止むことなく降っていた。 
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