聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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437部分:第六十一話 対話その二
第六十一話 対話その二
「まずな」
「では我等は」
「全てが終わった後で」
「本来は全ては我が治めるべきだったのだろう」
男は言うのだった。
「本来はな」
「はい、それは地上だけでなく」
「全ての世界を」
「少なくとも地上はだ」
そこに限定するが言っていることは変わらない。
「私が治めるべきものであった」
「では今は戦いを見守り」
「最後に残った者を我等で」
「我が戦士達に告げよ」
厳かな声であった。
「今は見ているだけでいいとな」
「はい、そして時が来れば」
「そのうえで」
「アテナが降臨したとしてもだ」
男はあらゆるものを見ていた。そう、今は降臨していないアテナすらもである。
「私に適う筈がない」
「聖闘士達もまた、ですね」
「そうだ。聖闘士達には私の戦士達がいる」
彼等にはそうだというのであった。
「彼等が倒してくれる」
「そしてアテナは」
「御前達もいる」
まずは己の前に控えるその彼等を見ての言葉であった。
「そして私自身もだ」
「そうですね。我等に勝てる筈がありません」
「聖域では所詮は」
「私に対することができるとすれば」
男の声は自身に満ちていた。まるで全てを支配しているかの様に。
「海皇ポセイドンと冥皇ハーデスだけだ」
「あの御二方だけはですか」
「アテナ以上に」
「アテナも確かに強い」
それは認める彼だった。
「しかしだ。アテナが生まれたのは」
「己の母親からではありません」
「若し生まれたならば父を超えたのですが」
「生まれた時から決まっていたのだ」
男は玉座に座りながら左手で頬杖をついていた。そのうえでの言葉だった。
「既にな」
「ではアテナもまた恐れることはありませんね」
「聖域にある全ては」
控える者達は笑っていた。それぞれから放たれているその小宇宙はただそこにいるだけで圧倒的なものがあった。人のそれを寄せ付けないまでに。
「我々はまだ見ているだけでいい」
「動くのは」
「全ての勢力が潰し合い一つになった時だ」
その時だというのである。
「その時に動けばいいのだ」
「では今は」
「動かずに」
「先程も言ったが。そうするべきなのだ」
男はあえて動かないのだった。戦いを見守ると決めていた。
「彼等の潰し合いを見守る」
「果たして誰が、どの勢力が生き残るか」
「それですが」
控える者達はこのことも考えだしていた。戦いの行く末もである。
「誰になるでしょうか、それは」
「どの勢力が」
「戦力を考えれば最も強いのはハーデスだ」
男は彼だと述べた。
「百八の冥闘士達だけではないのだからな」
「タナトスとヒュプノスがいます」
「あの二柱の神々が」
ハーデスの側近として名高い二人である。彼等の強大さは聖域を聖戦の度に苦しめてきた。まさに圧倒的な力の持ち主であった。
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