ドリトル先生の名監督
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第十幕その十
「不良グループにね」
「昔の日本には」
「うん、それで不良の格好もね」
先生はそちらのお話もしました。
「今と違うんだ」
「今は金髪だったり染めてですね」
「荒れた服装にしてるね」
「ロッカーみたいな」
「そうだったけれど昔の日本の不良は詰襟の学生服が長くて」
「応援団ですか?」
長い詰襟と聞いてです、トミーはこの人達を思い出しました。
「うちの大学や高等部にある」
「うん、彼等の制服を着ていたんだ」
「長ランでしたっけ、あれ」
「そうだよ、あの服を着ていたんだ」
昔の不良の人達はです。
「短いものもあったよ」
「短い詰襟ですか」
「そっちは短ランといってね」
「面白い名前ですね」
「ズボンは幅が広くてタックのある」
そのズボンはといいますと。
「ボンタン、ドカンもあったかな」
「ドカンですか」
「ボンタンはズボンの裾が締まっててドカンは広いんだ」
「それも応援団からですか」
「彼等が穿いてるズボンだよ」
まさにそれだというのです。
「それを穿いていたんだ」
「そうだったんですね」
「髪型はリーゼントやパーマでね」
先生は髪型のお話もしました。
「女の子はスケ番っていって」
「スケ番ですか」
「こちらはスカートが足を完全に覆う位長かったんだ」
「短くじゃなくて」
「長かったんだ」
そうだったというのです。
「今はそうした娘はスカート特に短いよね」
「女の子の中でも」
「昔は長かったんだ、セーラー服の丈は短くてね」
「全然違いますね、今と」
「そうだよ、あと白い学生服もあったし」
「白ですか」
「海軍の礼装みたいなね」
先生はこう例えました。
「ああした詰襟のね」
「それの長ランとかボンタンですか」
「そうしたのもあったよ」
「何か独特だったんですね、昔の日本の不良は」
「うん、番長にしてもね」
「それも日本独自ですね」
「イギリスにも他の国にもないね」
まさにというのです。
「そうした人達だったんだ」
「成程、そうだったんですか」
「もういないと思うけれどね」
「かつてはですね」
「そうした子達もいたんだ」
「日本の不良ですか」
「独自のね」
こうお話するのでした。
そしてです、先生はトミーにこうも言いました。
「スポーツ選手がそう呼ばれてもね」
「違いますよね」
「あくまで野球選手だからね」
「そう呼ばれてどうなってたんですか、その人」
「得意になってたみたいだよ」
「得意にですか」
「そうね」
「余計に駄目ですね」
トミーはここまで聞いて思いました。
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