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魔法少女リリカルなのは innocent ~海鳴に住む鬼~

作者:88打
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鬼、怒る

 
前書き
今回で初めて主人公がスキルを使います。主人公のスキルはオリジナルの物は漢字表記にするつもりです 

 
~明星高校 中庭~

「どういう事か……説明してくれますよね……」

「えぇーと……」

俺は今、後輩たちに取り囲まれている。どうしてこうなったかというと、それは今俺に詰め寄っている賢斗が手にしている携帯に、その理由が記されている。そこには……

~正義の鬼参上!?、悪質プレーヤー5人を撃退~

そんな文面が、ブレイブデュエルの掲示板に書かれていた

「これ……幹太先輩ですよね?」

「はい……」

「昨日の日曜日。僕たちとの訓練の後に何があったんですか?説明してください」

ジト目でこちらを見ながら賢斗がさらに詰め寄る

「なぁ……賢斗?お前なんか恐「説明」……アッハイ」

この事を説明するにはまず少し時間を遡る






~ボビーショップT&H ゲームコーナー~

そう……あの日俺はチームの訓練を終えて、家に帰ろうとしていた

「さてと……俺も帰るか……」

後輩達を見送り、自分も帰ろうと店を出ようとした時……ある物が見えた

「ん?……あの子は……」

視線の先にいたのは店の隅で泣きじゃくっている小学校低学年位の男の子だった。顔に見覚えがある、いつも家の店で家族の分のお菓子を買っていく子だ……

「どうしたんだろうか……」

気になった俺はその子に近づいて行った

「なぁ?何をそんなに泣いてんだ?」

「グスッ……??あ、お菓子屋さんのお兄さん……」

怖がらせないように膝をついて視線の高さを合わせる

「どうしたんだ?何か落とし物でもしたか?それとも迷子か?」

「ううん……違う……」

「じゃあ……なんで泣いてるんだ?」

俺が泣いている理由を聞くとその子は無言であるものを取り出した

「これは……」

「僕の……ブレイブホルダー……」

ブレイブデュエルでデッキカードを保存するのに使用するブレイブホルダー、それがあちこちひび割れており使い物にならなくなっていた

「成る程……これを壊したから泣いてたのか……」

「違う……壊して……ない……」

壊してない?自分で壊した訳ではないのか?

「…………壊された」

「壊されたって……どうして……」

「僕……一人で練習してたんだ……そしたら……恐いお兄さん達が無理矢理勝負しろって……」

「………………それで?」

「負けた後に……弱い奴には必要ないって……レアカード取られて……ホルダーも……壊されて……」

男の子の目が涙で滲んでいる……

「なぁ?……データカートリッジはあるか?」

データカートリッジ……プレーヤーのあらゆる情報を保存する物……アバターの性能から過去の対戦記録まで……

「うん……」

男の子のデータカートリッジを使い、過去の対戦記録を見る……

「一番最後の記録は……あった」

コイツか……

「ありがとう……今日はもう遅いから早く家に帰りなさい……」

そう言って俺はその子にべっこう飴を渡した

「お兄さん……ありがとう……」

男の子はとぼとぼと帰っていった

「………………さて」

俺は現在……対戦相手を募集しているプレーヤーの中にさっきデータカートリッジで見たプレーヤーがいないか探した……

「いた…………」

そのプレーヤーを見つけた時、俺の中で何かがフツフツと沸き上がっていた






~住宅街ステージ 夜~

ここは住宅街ステージ、沢山の民家が集まったこのステージは街と違い背の高い建物は無く、小路地などが多いのが特徴である

「いや~にしても、さっきのガキはいいカモでしたね~」

「ほんとほんと、あんな弱っちぃガキ倒したらレアカードとかついてるわ~」

「まぁそれも全部、いいカモを見つける俺の才能のお陰よ!」

住宅街の中で最も大きな家の庭先でガラの悪い高校生位の男達が5人、たむろしていた

「あん?んだあれ?」

男の一人が向かいの家の屋根に誰かが立っているのを見つける

「……鬼?」

そこには金棒を手に持ち、灰色の着物に黒い鬼の面を身に付けた男……菓 幹太が立っていた。幹太が屋根から男達のいる庭先へと跳び移った

「あぁん?誰だてめぇ?」

「お前らか?ここ最近、弱い子供のプレーヤーばかりを狙う集団ってのは?」

「うるせぇ!質問してんのはコッチ「待て」……はい」

5人の中のリーダー格らしき男が前に出てくる

「仮に俺達がそうだったとして……どうする?」

「これ以上の迷惑行為はやめろ、さもないと運営が黙ってないぞ……」

その言葉にリーダー格の男はゲスな笑みを浮かべながら答えた

「馬鹿かぁ?なんで俺らが弱いガキを狙ってると思う?言い返せないからさ……あの位のガキはいいぜぇ~ちょーっと怖い想いさせて脅せばだんまりだ!大人たちは気付きもしねぇ!」

男達の笑い声が住宅街に響き渡る……

「…………下の下だな……」

「あん?」

「ウチの二人みたく、話せば少しは更正の余地があるかもと思ったが……」

幹太は金棒を男達の方へと向けた

「運営に叩き出す前に、俺がその腐りに腐った性根……叩き直してやるよ」

「はぁ?お前この状況分かってんのか?5対1だぞ?」

「別に……言い返せないような子供ばかり狙う。三流通り越して五流の奴が幾らいたって変わらねぇよ」

今の発言にリーダー格の男が反応する

「上等だ……相手になってやるよ……ただし……俺に追い付けたらなぁ!」

男はスキルカードを取り出し、高速で住宅街の奥へと飛んでいった。取り巻きの二人も一緒だ

「チッ!面倒な……」

「おぉと!待てよ!」

「まずは俺達が相手になってやるよ……」

残った取り巻き二人が幹太の行く手を阻む、この時……幹太は現在の状況を分析していた

(相手は5人……さっきのリーダー格らしき男はRランクのライトニングタイプ……それ以外は全員N+、目の前の二人は剣と槍のフェンサータイプ、一緒に飛んでいった二人は杖持ちのエクスキューショナーとボウガン持ちのアーチャータイプ……二人がかりで勝てると思っているあたり、自分より上のランクの相手と戦った事がないのだろうな……) 

「しねぇ!」

「おらぁ!」

男二人が襲い掛かってきた、幹太は後退しながら攻撃をかわす

「どうした!威勢がいいのは口だけか!」

男達は攻撃をし続けるが途中である違和感に気付いた。先程から攻撃しているのに攻撃は当たるどころか掠りもしない

「はぁ……はぁ……何でだ!何で当たらねぇ!」

「クソ!」

攻撃が当たらないことに煮えを切らした男達が声を上げる。すると幹太か男達に向けて指をさした

「まず一つ……剣のお前」

「あぁ?」

「振ってから戻すまでの動作が遅い、それじゃ相手に避ける余裕を与えるだけだ。次に……槍のお前」

「はぁ?」

「槍は刺すだけではなく、薙ぎ払う攻撃も出来る。定点攻撃は予測されやすい、あれじゃ避けられて当然だ」

幹太は男達の欠点をつらつらと言って見せた

「う、うるせぇ!」

男の一人が幹太に向けて剣を降り下ろした、幹太はそれを少し横にずれることで回避した

「て、てめぇ……!!」

男は降り下ろした剣を戻そうとしたが、その剣は幹太の足で押さえられていた

「だから……戻すのが遅ぇって、言ってんだよ!」

幹太は金棒を振り上げ、男の顎に直撃させた。男はそのまま数M先まで飛んでいった

「ふ……ふざけやがって!」

もう一人の男が槍を持って特攻してきた、幹太は男の持っている槍の持ち手を正面から掴んだ

「予測されやすいっつったろぅがド阿呆」

幹太はそのまま金棒を降り下ろし、男の頭部を叩きつけた。男はあまりの勢いのせいか、頭だけが地面に埋まってしまった

「さーて……追うか……」

幹太は先程逃げたリーダー格の男の反応を追って空を飛んでいた。現在の位置は住宅街の中でも特に家が密集しており、道はまるで迷路のようだ。反応が近くにあるものの空からは確認出来ない為、一度地上に降りることにした

「引っ掛かったなバカめ!」

「喰らえ!」

地上に降りると家の中から取り巻きの二人が飛び出し、俺に向けて魔力弾を撃ってきた。かなりの数が撃たれた為か、辺りは土煙で視界が悪くなってしまっている

「へへへ……ざまぁみろ」

「流石にやったろ……!!」

突如、土煙の中から出てきた鎖がボウガンを持った男に巻き付く。次第に土煙が晴れていき、そこには長く丈夫そうな鎖の先端に直径1Mの金色の棘が付いた黒い鉄球を持った幹太の姿があった。先程の攻撃を喰らったのか?と思わせる程、彼の体には傷ひとつ無い

「な……何で無事なんだよ!」

「効くわけねぇだろ、あんな豆鉄砲」

「くっクソ!」

杖を持った男が幹太に向けて魔力弾を撃つが、幹太は鉄球を回し盾のようにして弾を全て防いだ

「しっかし、モードチェンジって久しぶりに使ったけど。案外悪くないな……これなら遠くの敵も引き寄せられるし……なっ!」

「ウワァァ!」

「ヒィ!こっち来んな」

幹太は鎖で拘束された男をもう一人の男の方へと投げつけた

「くっそー……なんだ!これ!動けねぇ!」

「ふ、二人一緒に……拘束されて……」

男二人は鎖でがんじがらめに拘束されており、殆ど身動きがとれない状態だ

「そんじゃ……二人まとめてやりますか……スキルカード発動」

自分たちの頭上からする幹太の声に男達は嫌な予感がしながらも視界を上に向ける。そこには、数十倍の大きさになった棘付鉄球が自分たちめがけて落ちてきていた

「黒破流星!」

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁああ」」

鉄球が落ちると同時に二人の悲鳴がステージに鳴り響いた

「ふぅ……取り巻きに時間くったな……さてと」

残った一人の男……リーダー格の男の反応はここから少し離れた河川敷で止まっている

「潔く諦めたか……それとも罠か……どのみち行ってみんことにはどうしようもないよな」

幹太は反応があった河川敷へ向かった




~住宅街ステージ 河川敷 夜~

夜の月を河が写しこむ、月明かりに照らされた河川敷にはリーダー格の男が一人佇んでいた

「よぉ、もう諦めたか?」

俺は河川敷へと降り、その男に近づいた

「チッ……使えねぇ連中だぜ……足止めもろくに出来ねぇのかよ」

後ろを向いていた男が悪態をつきながら俺の方へ視線を向けた

「しょうがねぇ……俺が直々に相手してやるよ!」

男はそう言って鎌のデバイスを構えた

「もう止めとけって、取り巻き連中がやられたのは分かるだろ?大人しく降参しろって……」

「あんなザコ共と俺を一緒にすんじゃねぇ!俺はな……ロケテストで100位内にいたんだ!あの連中とは格が違うんだよ!」

どうやら自分の実力に相当な自信が有るらしい

「そんなに自信が有るなら、何であんなセコい真似してカードを集めるんだ?普通に実力で勝負すればいいだろ?」

男は俺の言葉に対して不適に笑ってみせた

「ハハハ……レアカード?ランキング?そんなもんどうでもいい!俺はなぁ……ただガキをなぶってストレス解消したいだけなんだよ!」

そうか……コイツはこのゲームを……端から自分の欲望を満たす為だけに使ってた訳か……

その言葉を聞いた時……俺の中で……何かが……"切れた"

「もういい……お前は……もう喋るな……」

「んだぁ?何言ってんだよ!ヒーロー気取りのクソ野郎が!」

「…………モードチェンジ」

俺の持っていた鉄球は次第に形を変えて、拳鍔……所謂メリケンサックになっていた。金棒や鉄球と同じで黒いメリケンサックに金色の棘が四本付いている

「……こい」

「なめやがって……スキルカード、フラッシュムーブ」

フラッシュムーブ……ライトニングタイプが使う基本的な移動スキル……動きは単調だが、俺の攻撃では遅くて当たらない

「オラオラ!そんなに黙らせたかったら実力でやってみせろよ!」

「…………スキルカード発動」

俺は一枚のスキルカードを使った。すると、俺の体から紅いオーラが溢れてきた

「くたばれ!」

男は俺に向けて砲撃のスキルを放った……俺はその砲撃を……

「フッ!!」

"殴って潰した"

「ふ……ふざけんなよ!なんだよ!それ!」

「スキルカード"鬼人化"。魔力を常時消費し続ける代わりに全てのステータスが上昇するスキルだ。本当はこれの上位版があるけど、そっちはまだ俺も使い慣れてないし……さて」

俺は男との距離を一瞬で詰め、男の顔を鷲掴みそのまま地面に叩きつけた

「それじゃ……ご要望通り黙らせてやるよ……」

「ま、待てよ。俺が悪かった、もうこんな事はしない。ブレイブデュエルからも姿を消すから……」

「お前がさっき襲ったあの子なぁ……」

「へ?」

「お使い頼まれて家に来るとき何時も俺に言うんだよ……今日はどんな人と戦ったとか……どんなカードを手に入れたとか何時も何時も……楽しそうにさ……」

「ヒィ!」

俺が今、どんな表情をしているのかは分からない。そもそも面を付けているので表情など分かるはずもないが……この男の顔は俺を見て恐怖しているように見えた

「色々手遅れなんだよ……てめぇらは……スキルカード」

俺の拳に魔力が集束されていく

「ま、待ってくれ!やめ……」

「破砕拳!」

魔力を集束した一撃が男の腹に直撃する。かなりの威力があったのか、俺を中心に3M程の深さのクレーターが出来ている

「運営には今から連絡する。それまでそこで大人しく寝てろ……」

返事はない、どうやら気絶したようだ

「しっかし……ちょっとやり過ぎたかね……」

昔から頭に血が昇ると少々過激な性格になってしまう

「あいつらにばれたら……なんて説明しよう……」
 
 

 
後書き
はい、三つのスキルの内一つは完全にモ○ハンです。申し訳ない……漢字表記の技名って以外と難しいですね…… 
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