聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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41部分:第四話 八大公その七
第四話 八大公その七
「トラキアのアーレスの宮殿から四つの強大な小宇宙が感じられます」
「四つのか」
「まだそれは実体化していませんが」
「そうか」
それを聞いて静かに頷いた。
「では御前は今後もトラキアへの監視及び聖域の防備に当たってくれ」
「わかりました」
「護りなくては戦いはない」
シオンは言う。
「だからだ。よいな」
「はっ、それでは」
「他に何かわかったことはあるか」
「これは私が感じ取ったことです」
こう前置きしてから述べる。
「それは何か」
「申し上げて宜しいですか」
「うむ、構わぬ」
シオンもそれを許す。聞かずにはいられないことだった。
「はい、それでは」
「そして。何だ」
それをシャカに問うのだった。シャカはそれを受けて彼に話を聞くのだった。
「狂闘士達の動きです」
「彼等の動きがか」
「そうです」
シオンに対して頷いて答える。
「どうやら彼等は封印を探しています」
「封印を?」
「これは彼等の話を聞いてのことです」
「話をだと」
これはシオンにも出来ぬことだった。彼の力をもってしてもトラキアのアーレスの宮殿のことを知ることはできない。しかしシャカにはそれができたのだ。これはシオンにとっても驚くべきことだった。だからこそまずはそれを聞かずにはいられなかった。
「どの様にしてその様なことを」
「このシャカは幼き頃より神に近い存在と言われてきました」
「うむ」
またシャカの言葉に頷く。これもまたシオンがよく知ることだった。彼の小宇宙が今聖域に集う黄金聖闘士達の中でも際立って強大なものであることもまた知っていた。しかしそれでも彼がアーレスの宮殿のことまで知っているというのは驚くべきことだったのだ。
「ですからこの六道で知らぬことはないのです」
「六道か」
「はい。天道、人道、修羅道」
まずはこの三つの世界を述べる。
「畜生道、餓鬼道、地獄道」
「仏教の六つの世界だな」
「左様です。この六つの世界でおおよそのことを聞けぬことはありませぬ。だからこそ」
「そこまで知ることができるのが御前の力の一つだというのだな」
「その通りです。ですから」
シャカは言葉を続ける。
「知ることができたのです」
「わかった。そしてだ」
それを聞いて納得したうえであらためてシャカに問う。
「彼等は一体どの様にして来るのか」
「世界に八つの封印があるそうです」
「封印がか」
「それを解くか何かするなりしてアーレスをこの世界に呼ぶそうです」
「そうなのか」
「はい」
またシオンの言葉に頷く。
「些細なことまでは流石に知ることができませんでした」
「そうか。だが八つの場所だな」
「そうです」
「問題はそこが何処かだが」
「既にそれはわかっています」
だがシャカはその言葉にも応えることができた。
「それはまことか」
「はい。まずはドイツです」
「ドイツか」
「ドイツのライプチヒ」
東ドイツの都市の一つである。音楽家ワーグナーの生誕地でもある。
「そこです」
「そこに狂闘士達が向けられる」
「指揮官として八大公の一人も出るようです」
「八大公か。ならば」
シオンはそれを聞いてさらに判断を下すのだった。
「こちらも黄金聖闘士を出さなければならないな」
「そうあるべきかと」
こう述べてシオンの言葉に賛同する。
「よし、それではだ」
「ではライプチヒには」
「黄金聖闘士達を集めよ」
まずはこう述べた。
「そのうえで送る者を決める。それでよいな」
「御意」
こうして聖域としても方針が決まった。アーレスの狂闘士とアテナの聖闘士の戦いが遂に本格的なものとなろうとしていたのだった。聖域の空に戦雲が立ち込めそのさらに上には赤い凶星が禍々しく輝いていた。まるで血の色の様に。
第四話 完
2008・4・22
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