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『チロの物語』

作者:零那
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『真意』



僕の寝床からは
流那チャンと
お母さんの喧嘩が
絶えず聞こえていた。

流那チャンは決まって
その後に浜辺に行く。
そして僕も
一緒に行くんだ。

夜の真っ黒な海は
僕には魔物にしか
見えなくて怖かった。
でも、流那チャンは
海が好きだから。

『チロ...兄ちゃんも
姉ちゃんもおかしい。
なんで知らん
オッチャンを父さんやか
思えるんか解らへん!
父さんは1人だけやん!
絶対許さんし!
あんな気色悪いオッチャン
一緒に住みたぁないわ』

...そっか...
お母さん遂に
一緒になるって
決めたんだ...

秘密なんだけど
お母さんから
聞いてたんだ。

『チロ...あんたぁ
流那がおらな
生きていかれんなぁ
今のまんまやと。
母さんな、流那の事
連れて行くけど
頑張って生きぃやぁ』

『流那は母さんや
兄ちゃんや
姉ちゃんと違って
父さん大好きやった。
殆ど話したこと
無いくせに
1番大好きなんや。
不思議やなぁ...
よぉ似とんよ流那は
父さんと...
ほんま大好き過ぎて
女として
怖いくらいや...』

お母さんの言葉の
真意なんて
解らないけど...
お母さんは流那チャンを
好きじゃないのは
なんとなく
解ってしまった。

解りたくなかった。


 
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