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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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406部分:第五十六話 ミロ出陣その三


第五十六話 ミロ出陣その三

「そのことをわかることだ」
「この戦いだけでなく、ですか」
「御前達の戦いはこれからも続く」
 今のアーレスとの聖戦だけではないというのである。この言葉はミロだけに向けられたものではなかった。彼以外の他の黄金聖闘士達にも向けた言葉であった。
「だからだ。よいな」
「わかりました」
 教皇の言葉はまさにアテナの言葉だ。絶対であると言ってもいい。だからこそもう彼も頷くしかなかった。そして彼は頷いたのであった。
「それでは」
「頼んだぞ。それではだ」
「はい、教皇」
 アイオロスが応えた。
「今回は我等が」
「うむ、頼んだぞ」
「わかりました」
「それではこれでこの会議を終わる」
 シオンはここまで言うと玉座から立ち上がった。そうして己の前に控える黄金聖闘士達全員に対して厳かに告げるのであった。
「ではミロとアイオロスはペルーに向かう」
「はっ」
「それでは」
「そして他の者はそれぞれの宮殿の護りに就く」
 各員が司るその宮殿にだ。普段彼等はそこにいて聖域の護りにあたっているのだ。彼等は聖域の護りの要でもあるのである。
「よいな。では下がれ」
「畏まりました教皇」
「ではこれで」
 こうして彼等も立ち上がりそれぞれの持ち場に向かう。教皇の間から双魚宮までは紅の薔薇が敷き詰められている。アフロディーテの薔薇である。
「アフロディーテよ」
「はい」
 アフロディーテはアルデバランの問いに対して応えた。
「この薔薇は」
「わかっております。それでは」
 彼が右手を下から上に一閃させるとそれで終わりであった。薔薇達は一斉にどきそこに白い道を見せたのであった。これで双魚宮まで行けることになった。
「参りましょう」
「しかしまああれだな」
 デスマスクはその薔薇がどけられた長い階段を降りながら言うのだった。
「アフロディーテとはあまりやりたかねえな」
「私とはですか」
「薔薇に見送られて死ぬって言うのは俺の趣味じゃねえ」
 だからだというのである。
「そういうのはな」
「だからですか」
「もっとも俺は誰にも負けはしねえけれどな」
 密かな自信もここでは見せる。
「あの蝿野郎も今度会ったら叩き潰してやるぜ」
「それは俺も同じことだ」
 シュラは既にその剣を輝かせていた。
「ベール。今度こそ会えばその時こそだ」
「貴方達がそこまで認めるとは」
 ムウは二人のその言葉を聞いて述べた。
「ベルゼブブもベールもかなりの実力者だったのですね」
「今まで俺の剣を前にして生きた男はあの男がはじめてだった」
 これがシュラのあのジークへの賛辞の言葉であった。激しい闘志の中にもそれを忘れてはいないのであった。
「そういうことだ」
「アスタロトも然りです」
 アフロディーテも言ってみせた。
「どうやら薔薇だけでは足らないのかも知れません」
「左様ですか。貴方もまた」
「モロクの力、侮れるものではない」
 アルデバランもここで同じことを口にする。
「決してな」
「モロクもですか」
「あそこまでの剛の小宇宙はない」
「貴方もまたそう仰るのですか」
「力なら誰にも負けない自信はあった」
 多くは口には出さないがである。しかしそれが揺らいでもいたのだ。
「しかしだ。それでもだ」
「モロクもまた侮れませんか」
「その通りだ。手強い相手だ」
 その実力をはっきりと認めるアルデバランであった。
「今度会った時は間違いなくどちらか死ぬ」
「貴方に倒れられては困るのですが」
 これはムウの本音であった。偽らざる心の言葉であった。
「何があろうとも」
「無論それはないようにはする」
 これは当然のことであった。彼にしても倒れるつもりはないことだった。
 
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