聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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398部分:第五十五話 痛み分けその二
第五十五話 痛み分けその二
「貴様とだけな」
「そうするというのか」
「他の八大公達も同じだ」
彼等もだというのである。
「それぞれが決めた相手でなければ闘うつもりはない」
「考えてみれば私もだ」
カミュもまたレダのその言葉と同じ様なことを口にしたのだった。
「そうでなければな」
「そうか。貴様も私でなければか」
「他の八大公達には興味がない」
やはりレダと同じような言葉であった。
「興味があるのはベリアル、貴様だけだ」
「面白い。それではだ」
「また会うとしよう」
カミュがそのレダに向けた言葉だった。
「その時にこそだ」
「決着をつけよう」
こう言い合うとレダは姿を消していった。まるで煙の様にその姿を消していく。
「帰るのか」
「また会おう、アクエリアスよ」
その姿を消していく中での言葉だった。
「決着をつけるその時にな」
「私もまたその氷の技を再び見せよう」
「漆黒の炎で焼き尽くしてみせよう」
レダの消えていくその身体に炎が見えたような気がした。今のカミュは。
「その時のことを楽しみにしておくがいい」
「そうなればいいのだがな、とだけ言っておこう」
こう言葉を交えさせたのが終わりだった。レダは戦場を去った。後に残ったのはカミュだけだった。彼一人が雪原に立っていた。
その彼のところにサガ達が来た。そうしてそのうえで彼に声をかけてきたのだった。
「ベリアルはどうなった」
「去られてしまった」
こうそのサガに対して告げたのだった。自分の横に来た彼にだ。
「申し訳ない」
「いや、今回の戦いはこれでいい」
しかしサガはそれでいいというのだった。
「他の狂闘士達を倒せただけでな」
「それでいいというのか」
「そうだ。ベリアルを倒すのは次の機会でいい」
サガは教皇であるシオンと同じようなことを述べていた。
「次でな」
「その次こそトラキアとの決戦になるか」
「そうかも知れない」
カミュもその可能性を否定しなかった。
「戦いの行方次第ではな」
「そうなるかもか」
「何はともあれここでの戦いは終わった」
サガは今度はこのことをカミュに告げた。
「これでな」
「終わりか。それは確かだな」
「我等の戦いも既に終わっている」
このこともカミュに対して告げたサガであった。
「だからだ。最早何もすることはない」
「そうだな。しかし」
だがここでカミュはいぶかしむ顔になった。そうしてそのうえで今は誰もいなくなったその雪原に目をやりそのうえで述べるのであった。
「これで五つ目の戦いだが」
「うむ」
「何故狂闘士達はそれぞれの場で戦うのか」
彼がわからないことはこのことだった。何故彼等が世界各地で自分達聖闘士を誘い込む様にして戦うのか。それがどうしてもわからないのであった。
「何故だ。それは」
「それは私にもわからない」
このことに対してはサガにしてもわかりかねることであった。それで首を傾げさせてそのうえでカミュに対して述べることしかできなかった。
「どうにもな」
「そうか。貴方がわからないのなら誰にもわからないな」
「済まない」
「いや、いい」
謝る必要はないと返しもしたのだった。
「それはいい」
「そうか。済まないな」
「それよりもだ」
カミュはさらに考えているのだった。何故彼等がそれぞれの場所であえて戦うのか。そのことをまだ考えているのだがどうしても答えが出なかったのだった。
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