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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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393部分:第五十四話 氷の世界と炎の世界その三


第五十四話 氷の世界と炎の世界その三

「アテナの氷、侮らないことだ」
「言うな、やはり」
「貴様もな」
 両者まさに譲らずであった。氷と炎もまた同じであった。 
 青い氷と黒い炎がぶつかり合いせめぎ合っている。どちらがより退くか、まさにわからない状況であった。
 カミュもレダも己の技に小宇宙を込め続けている。彼等はその全身に汗さえかいていた。
 その攻防の中で、であった。彼等は互いも見据え合っている。やはり今も一歩も引かない、そうした中でせめぎ合うのであった。
「どうやら」
 その中でレダが言った。
「力は完全に互角の様だな」
「黄金聖闘士同士が争うとなるとだ」
 カミュはここで自分達に例えて話をしてみせてきたのであった。
「実力が拮抗している為終わることがない」
「ほう。面白い話だな」
 レダは今のカミュの言葉を受けて面白そうに口元を歪めてみせた。
「それは我々とてもおそらく同じだ」
「貴様等狂闘士もだというのか」
 それを聞いてまた言ったカミュだった。
「千日間戦争に至るというのだな」
「千日かどうかはわからぬが互いが何時果てるともなく闘い合うことになるのは事実だ」
 レダは千日間戦争をこう言い変えていた。どちらにしろその示す意味は同じであった。
「それはな」
「そうか。同じか」
「我等八大公の実力は伯仲している」
 このことは確かだというのである。
「だが」
「だが。何だ」
「それは貴様等に対してもそうだったようだな」
 カミュを見据えての言葉に戻っていた。攻撃をせめぎ合わせながらもカミュを見ているのであった。その強い闘いに燃えた目で。
「黄金聖闘士に対してもな」
「今まで四人の黄金聖闘士が貴様等八大公と闘ってきた」
 デスマスク、シュラ、アフロディーテ、そしてアルデバランの四人である。彼等はそれぞれの全力を見せながらも相手を倒すことができていないのである。カミュはそこにあるものを見ているのだ。
「しかし一人として倒すことはできないでいる」
「それは我々とて同じことだ」
 レダはカミュの言葉をそのまま言い返す形となっていた。
「貴様等黄金聖闘士を一人も倒せてはいない」
「そうだな。一人としてな」
「黄金聖闘士を一人倒せばそれだけで聖域の戦力は大きく減退する」
 レダはこのことを把握していた。黄金聖闘士こそは聖域の象徴でありそしてその力そのものであると言っていい。そこまでの存在なのである。
「だが。我等をしても一人として倒せないとはだ」
「それはトラキアでも同じだったな」
 カミュもまらレダの言葉をそのまま言い返すことになった。
「御前達八大公の一人を倒せばそれで随分と違うのだがな」
「倒せていないな、まだ」
「だがここで貴様を倒す」
 カミュの言葉がここで強いものになった。
「ベリアル、貴様はこの私の手でだ」
「面白い。私も同じことを考えていた」
 再びレダの口元に邪な笑みが宿った。
「アクエリアス、貴様を倒しておけばこれからのアーレス様の覇業が大いに楽になる」
「覇業か」
「そうだ。覇業だ」
 まさにそれだと言い切るレダだった。アーレスの戦いを。
「アーレス様ことがこの世のありとあらゆるものを支配されるべき方だ。考えてもみるのだ」
「何を考えよというのだ、一体」
「アーレス様は天皇ゼウスの子であられる」
 海を治めるポセイドン、冥府と治めるハーデスと並び天界を治める存在こそがゼウスである。オリンポスにおいて彼が率いる神々と共に天界を治めているのである。それが天皇ゼウスなのだ。
「正妻であるヘラとの間に産まれた方であるぞ」
「つまり血筋から言って正統であるというのだな」
「その通りだ」
 まさにそうだというのであった。
 
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