Three Roses
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第十八話 墓参りその四
「だがそれはか」
「申し訳ありませんが」
「そなたは馬に乗れないか」
「はい」
マリアは乗馬を知らない、一応は出来るが狩りをする時の様な激しい乗馬は出来ないのだ。それで王の狩りにはついて行かないのだ。
「申し訳ありませんが」
「そうだな、では仕方がない」
王も納得して応える。
「そうしたことでな」
「申し訳ありません」
「謝罪の必要はない」
口を大きく開いてだ、王はマリアに言った。
「そのことについてな」
「そうですか」
「狩猟には狩猟の馬の乗り方がありだ」
「それが出来ないならですか」
「仕方がない、それにだ」
「それにとだ」
「このことは出来なくても必要ではない」
こうも言ったのだった。
「だからだ」
「いいのですか」
「そうだ、しかし必要なこと必要な時はだ」
「共にですね」
「やっていく必要がある」
「そういうことですね」
「我々はな、そしてだ」
さらに話した王だった。
「午後の政だが」
「私もですね」
「出てもらう」
「さすれば」
「これは必要だ」
王妃であるマリアが共に政を決める場にいることはだ、勿論言うだけのことではない。このことを言ったのだった。
「頼むぞ」
「では」
「さて、王国がまた五月蝿い」
この国のことも言った王だった。
「あの国は貴族を何かと取り込もうとしている」
「そのことはまだ続いていますか」
「あの国は他国を利用するだけだ」
「そうした国ですか」
「異教徒とも手を組む国だ」
まさにというのだ。
「そうした国だからだ」
「お好きではないですか」
「節操が極端にない、ある程度ならいいが」
政のことについて節操がないことはというのだ。
「しかしだ」
「あそこまで節操のない国はですか」
「好きになれない、王国は他国を利用するだけ利用して捨てる」
その国の性格を見ていての言葉だ、これまでの行いを。
「そうした国は好きになれない、それにだ」
「それに、ですか」
「我が国も新教徒が増えていきている」
新教徒であるマリアを見ての言葉だ。
「彼等の勢力は無視出来ず排除することも愚策だ」
「この国の新教徒達も商工業者等が多いので」
「だからだ、彼等は排除しない」
「王国とは違い」
「王国は排除してきた」
今はかろうじて融和策を執ってはいるがだ、内戦に至った時のことを言うのだ。
「そこを考えるとな」
「どうしてもですね」
「あの国は信じられない、今後は帝国と結びたい」
「それでは」
「その様に内外を治めていこう」
極端に旧教に走らずにというのだ、そうしてだった。
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