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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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38部分:第四話 八大公その四


第四話 八大公その四

「御会いしましょう」
「おい、言っておくぜ」
 デスマスクが去ろうとする彼等に対して言う。
「何だ?」
「御前等今度俺に会った時が最後だ」
 デスマスクに応えたのはカナンだった。
「憶えておくんだな」
「忘れはしないでおいてやろう」
 カナンの言葉はあえて傲慢さを装ったものだった。
「次に会う時まではな」
「ジーク」
 シュラはジークを呼び止めた。
「その剣、俺が断ち切ってやろう」
「貴様にそれができるか?」
 ジークは氷の如き目でシュラを見つつ言葉を返す。
「このジークの剣を折ることは。誰にもできはしない」
「私の美を否定したのは貴方がはじめてです」
 アフロディーテはレダを見据えていた。
「そのことをお忘れなきよう」
「それは私もだ」
 レダもまたアフロディーテを見ていた。そのうえでの言葉だった。
「どちらの美が正しいか。決めてやろう」
「これで終わりか」
 アルデバランが最後に述べた。
「奴等の名乗りは」
「そうですね。これでまずは終わりです」
 ムウがそのアルデバランの言葉に応えた。
「ですが。これは」
「はじまりに過ぎないというのだな」
「はい、その通りです」
 アイオリアにも言葉を返す。
「それだけに過ぎません」
「あの小宇宙」
 カミュは姿を消した八大公の小宇宙をまだ見ていた。
「我々に匹敵するものがある」
「その通りです。これは間違いなく激しい戦いになります」
「だとしても。やるだけだ」
 ミロの考えはこうであった。
「アテナとこの世界の為にな」
 彼等は八大公の小宇宙をまだ見据えていた。ローマでは戦いにはならなかったがこれがギャラルホルンの響きとなった。今戦いが本格的に幕を開けたのだった。
 トラキア。八大公は黄金聖闘士達に宣戦布告を終えた後でアーレスの宮殿に戻っていた。ここでまずはエリスの前に全員で拝謁するのだった。
「只今戻りました」
「御苦労」
 エリスは一同を代表して挨拶をしたリーヴェに言葉を返した。
「して。どうであった」
「黄金聖闘士達ですか」
「そうだ。その感触は」
「面白いものでした」
 こう答えたのはミシェイルであった。
「是非。このミシェイルの手で全員」
「悪いがそれはない」
「何っ!?」
 カナンの言葉に顔を向けた。
「それはどういう意味だ、カナン」
「知れたこと。奴らは全員このカナンが血祭りにあげるということよ」
 酷薄な笑みをミシェイルに告げる。
「一人残らずな」
「さて、そう上手くいくか」
「レダ」
 次に声をあげたのはレダだった。
「カナン、貴様は確かに強い。だが」
「だが。何だ」
「美しさを知らないのだ」
 その美しい顔に凄みのある笑みを浮かべての言葉だった。
「ただ勝てばいいというわけではないのだ」
「戯言を。勝たなければ何の意味もない」
 カナンもまた凄みのある笑みを浮かべてみせる。レダに対するように。
「しかもこちらは傷つかずにな」
「それはどうかと思うが」
 カナンに今度反論したのはリゲルだった。
「貴様は拳で解決するのだな」
「そうだ。この拳でだ」
 実際に右手を拳にしてそれを見据えながら語る。
「全てをな。勝ってみせる」
「それもまた愚かだ」
 そのリゲルに言ったのはジークだった。
「拳での戦いなぞ。空しいだけだ」
「では本当の戦いは何だ」
「剣しかない」
 目に切れ長の光が宿った。
「斬る。それこそが戦いだ」
「まあ待て」
 はやる彼等をドーマが宥める。
「ドーマ」
「口出しは無用ぞ」
「戦について話すのはいい」
 彼とて狂闘士だ。戦いは好むところだ。しかしここであえて言うのだった。
 
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