転生とらぶる
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マブラヴ
1484話
俺の目の前で、現在2機の武御雷がそれぞれ長刀を振るって戦っていた。
片方は黄色の武御雷。そしてもう片方は青の武御雷。
……そう、黄色の武御雷に乗っているのは篁。そして、青の武御雷に乗っているのは恭子だった。
同じ武御雷が戦うその光景は、俺にとってはそれ程珍しいものではない。
そもそも、日本と一緒に軍事行動をした事は決して皆無という訳ではないのだから。
だが、それはあくまでも日本と親しい関係にあるシャドウミラーに所属している俺だからこそ、そしてスレイだからこそ言える事だが、それ以外の面子にとっては武御雷というのは見る事すら非常に珍しい。
元々日本は国力はともかく、国土という意味では小さい。……今は中国を保護国としている以上、必ずしも小さいとは言えないのかもしれないが。
ともかく、国土が小さい以上日本人の数は少なく、そして数が少ない以上軍人の数も決して多くはない。
いや、BETAとの戦いで軍人の数は圧倒的に多くなってはいるのだが。
そして武御雷を使用出来るのはただでさえ少ない軍人の中でも更に少数の斯衛の者達だけだ。
そう考えれば、武御雷を見るのがどれだけレアな体験なのかというのも理解出来るだろう。
そういう意味では、現在ここにいるアルゴス小隊の者達……それ以外にも、この模擬戦を見ている者達にとっては非常にレアな体験なのは間違いない。
現にVGやタリサはかなり興味深そうにしているし、ステラも表情には出さないが2機の武御雷から視線を外してはいない。
そして何より……アルゴス小隊の中で最もこの模擬戦を興味深そうに見ているのは、ブリッジスだろう。
最近ようやく日本製戦術機の操り方を理解してきただけに、日本の戦術機の最高峰の機体同士の戦い……それも、パイロットは共に斯衛という日本にいる中でも凄腕揃いの者達だ。
そう考えれば、明らかにブリッジスにとってはメリットしかない戦いと言える。
……まぁ、だからこそこうして見る限り日本嫌いのブリッジスが真面目に見ているんだろうが。
にしても、いいものを見せるって言うから何かと思えば……こういう事だとは思わなかった。
視線の先では青の武御雷が振り下ろした長刀を、黄の武御雷が自分の長刀を振るって弾く。
そうして弾かれた隙を突くかのように、黄の武御雷は相手の一撃を払った状態から切り返すようにして青の武御雷へと斬撃を放つ。
この辺りの動きは、戦術機にはちょっと難しい。
いや、出来ない事もないのだが、この世界の技術だけで作られた戦術機では、ここまでスムーズな動きは難しいだろう。
MSの技術が入っているからこそ可能な動きだった。
元々の武御雷は、戦術機の技術だけで既に試作機すら完成しているという状態だった。
だが、そこに俺達シャドウミラーと関係を持ち、MSを与えられ、MSの技術を解析し……そして折角試作機まで完成していた武御雷を、全面的に見直す事になった訳だ。
当然飛鳥計画に参加していた技術者達にとっては、色々な意味で青天の霹靂とでも呼ぶべき事だったろう。
だが、それでも飛鳥計画に大きな影響力を持っている崇継は、MSの技術を導入する事に拘った。
また、技術者達にとってもMSの技術というのは興味深かったのだろう。
最終的には飛鳥計画の殆どの部分を根本的にやり直す事になったと聞く。
それでも最初からやり直すにしては随分とスムーズに武御雷を開発していったのだが、その辺は1度武御雷を試作機まで作っていたノウハウが活きた感じだろう。
「凄いな。篁中尉もだけど、その相手をしてるあの美人の腕は相当だぜ?」
「けっ、あのくらいあたしにだって出来るよ!」
VGが感嘆の声を上げると、タリサがそれに対抗するように告げる。
それでいながら、一瞬であっても武御雷同士の戦いから視線を逸らさないようにしている辺りはさすがと言ってもいい。
「ねぇ、スレイ。あの武御雷の動きにはシャドウミラーの技術が使われてるんでしょう?」
「いや、正確にはシャドウミラーではなくてMSの技術だな。リニアガン・タンクをこの世界に輸出している世界の技術だ」
ステラとスレイの方でもそんな話題が交わされ、ステラが驚いている。
……まぁ、そうだよな。この世界だとSEED世界と言えばリニアガン・タンクというイメージが強烈に存在している。
それこそ、ギアス世界と言えばガン・ルゥといった具合に。
事実、それだけこのマブラヴ世界ではリニアガン・タンクという戦力が大きな影響力を持っている事の証だろう。
この世界にも戦車は当然あった。
だが、この世界の戦車とSEED世界のリニアガン・タンクでは、性能が違いすぎた。
今では、マブラヴ世界で使われている戦車の大半がリニアガン・タンクとなっている。
……いや、正確にはこの世界でBETAの戦いに使われている戦車、という意味でだが。
何しろ、戦車としての扱いやすさ、使用人数の少なさ、機動力……そして何より、純粋に攻撃力が違いすぎた。
リニアガン・タンクという名前の通り、リニアガンを使用して砲弾を撃ち込むその攻撃力は、正面からでも突撃級の装甲殻を貫く事が出来る。
この世界の戦車の攻撃力でもそれは不可能ではないだろうが、一撃で貫通出来るかと言われれば……多分難しいだろう。
BETAの中では最高速を出せる突撃級を相手に、真っ正面から1発の砲弾で倒せるリニアガン・タンクと、数発を使わなければ倒せないこの世界の戦車。
この差は、ちょっと想像出来ないくらいに大きい。
それ程の違いがあるからこそ、このマブラヴ世界で大部分の者達にとっては、SEED世界=リニアガン・タンクになる訳だ。
勿論この世界の人員全てがって訳じゃない。
実際、国の上層部や戦術機開発に関わっている者……それ以外にもある程度の人数が、シャドウミラーから譲渡されたMSを研究して、自国の技術力を上げようとしているのだから。
……まぁ、ステラは知らなかったところを見ると、まだMSについての情報を知ってるのは本当に上層部だけなんだろうが。
そんな風に考えている間にも、視線の先で2機の武御雷は次々に長刀をぶつけあっていく。
ただし、俺の目から見るとその勝負は互角という訳では決してない。
どちらかと言えば、青の武御雷が黄の武御雷を相手にして稽古を付けているといった様子だった。
その辺は他の面子も分かってる……いや、何だ? ブリッジスだけが分かっていない?
まぁ、日本製の戦術機についての理解が浅いからこそとも言えるが……いや、違うな。どちらかと言えば実戦経験の有無か。
ブリッジス以外のVG、ステラ、タリサの3人は、全員がBETAとの戦いを経験してきている。
この中で、唯一アメリカ出身のブリッジスだけが実戦を経験した事がないのだ。
……アメリカ軍でも、実戦する機会とかは結構多いと思うんだが。
特に国連軍として活動している部隊の中にはアメリカ軍も多いし、それ以外でもアメリカ軍としてBETAとの戦いが激しい戦場には援軍を派遣しているって話だったし。
「お! 決まる!」
タリサの叫び声に釣られるように再び武御雷へと視線を向けると、そこでは黄の武御雷が振るう長刀が青の武御雷の袈裟懸けに振り下ろされるところだった。
一発逆転って訳じゃないが、このままだと地力で負けると判断した篁が勝機を求めて勝負に出たのだろう。
だが……その一撃は青の武御雷が機体をその場で素早く後方へと跳躍する事により回避されてしまう。
その素早い動きもまた、MSの技術。
……いや、これはOSの関係か?
俺が最初にこの世界に来た時の戦術機のOSは相当酷かったって話だったしな。
美しさの欠片もない! と嘆きの声を口にしたのは、果たして誰だったか……ロイドか。
ともあれ、ロイドにそう嘆かせる程に酷いOSだったのは確かだが……それがここまで洗練された動きを出来るようになったというのは、凄いと言ってもいいだろう。
大振りの一撃を回避した青の武御雷は、そのまま黄の武御雷が態勢を立て直すよりも前に一気に前進。黄の武御雷の胴体を横薙ぎにするような一撃を放ち……長刀が触れる直前に、その動きを止めたのだった。
これにて勝負ありと判断し、2機の武御雷はお互いに距離を取って一礼する。
戦術機でも一礼をする辺り、礼儀に厳しい日本らしいというか、なんというか……
ともあれ、こうして日本製戦術機の最先端……つまり、この世界全体で見ても最先端と呼んでもいい模擬戦は終わりを告げるのだった。
長刀だけで勝負したのは、その方がブリッジスに日本製戦術機の挙動をしっかりと見せる事が出来るからこそだろう。
「くーっ! すげえな。唯依姫もそうだけど、あっちのもう1人の美人が操る戦術機もとんでもない動きをしてるぜ」
唯依姫? と一瞬疑問に思ったが、まぁ、あだ名のようなものだろうと判断して、そこには突っ込まない。
「なぁ、ユウヤ? お前もああやって機体を動かしたいと思わないか?」
VGの問い掛けに、ブリッジスはむっすりとした表情のまま、何かを考え込む。
「まぁ、しょうがないって。ユウヤは今までアメリカの戦術機を使ってきたんだろ? なら、急に日本の戦術機を使えって言われても、はいそうですかなんて出来ないだろ。あたしだって今の機体に慣れるまでは時間が掛かったんだから」
タリサがブリッジスを慰めるように話し掛ける。
「チョビはいい奴だな」
「チョビって言うな!」
……何だ、こうして見る限りだと、あまりショックを受けてないのか。
色々と感じるものはあったんだろうが。
ブリッジスがタリサをからかい、それにVGが悪のりし、タリサに逆襲を受ける。
そんな3人を宥めるのがステラだ。
「何だかんだと、このアルゴス小隊というのはいいチームだな」
俺の近くにやってきたスレイの言葉に頷きを返す。
実際、こうして見る限りだといいチームなのは分かる。分かるんだが……それでもブリッジスが篁に向ける険の籠もった視線が気になる。
というか、恭子がそれを知ったらどうなる事やら。
篁を妹のように可愛がっているだけに、そんな行為を見れば……いや、それ以前の問題があったな。
別にブリッジスは篁だけを嫌っている訳ではない。
純粋に日本を嫌っている訳で……つまり、恭子に対しても篁と同じような態度を取るかもしれない訳だ。
いやまぁ、恭子の立場を考えればとてもそんな事は出来ないと思うが。
ましてや、今のアメリカは日本よりも影響力や国力は下になっている。
「このまま無事に終わればいいんだけどな」
「うん? 何かあるのか?」
「ああ」
スレイの言葉に、視線をブリッジスに向ける。
それだけでスレイも俺が何を言いたいのか理解したのだろう。少しだけ難しそうな表情を浮かべていた。
「そうだな、無事に終わるといいが」
スレイも今まで日本で行われてきた花見とかに参加して、恭子とはそれなりに話すようになっている。
つまり、それだけスレイも恭子の性格は知ってる訳だ。
篁を妹分のようにして可愛がっているのは、言うに及ばずだろう。
そんな俺とスレイの不安を余所に、やがて武御雷は俺達の近くまで移動してくると、コックピットを開く。
乗降ワイヤーを使って降りてきたのは、当然のようにパイロットスーツに身を包んだ篁と恭子だった。
篁の方はパイロットスーツそのままだが、恭子の方はその立場の問題もあってかあまり肌を露出……はしてないけど、ボディラインそのままを見せるというのは色々と危険なのだろう。パイロットスーツの上からコートを羽織っていた。
そんな2人のパイロットは、アルゴス小隊の前に立つ。
上官2人を前にすれば、当然先程まで騒いでいたアルゴス小隊の面々も黙らざるを得ない。
「さて、今の戦いを見て貰って日本製戦術機の特性については多少分かったと思う」
篁の言葉が向けられているのは、アルゴス小隊……という訳ではない。
いや、正確にはアルゴス小隊ではあるが、特にその中の1人のブリッジスだろう。
「……」
視線を向けられたブリッジスは沈黙を保つ。……へぇ、てっきり何かを言い返すかもしれないのを考えてたんだけどな。
ただまぁ、こうして見る限りでは自分の立場というのをきちんと理解しているのだろう。
「不知火弐型は、もう数日で出来上がる。勿論そこから改修していく必要があるのだから、より多くの時間は必要になるだろう。皆の奮闘を期待する」
そう告げ、この日の訓練は終了するのだった。
……ただ、こうして見る限りではブリッジスが納得したという訳ではなく、まだ篁に思うところは多そうだけどな。
機体の開発はそれなりに順調に進んでいるようだが、それ以外の面では色々と大変な事になりそうだ。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1213
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