契約者
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プロローグ
私が絶望して世界から消えようとしても、誰も心配しない。
家族や友人のいない私にとって、世界は何者でもない。ただ私は、“契約”を繰り返すのみ。
契約
それは、この世界で私の血筋しかする事の出来ない至高の技。
神、悪魔、天使、妖怪————そういう人外と契約をし、自らの力に変えるのが私達契約者の力。
私も、その力を使って契約を繰り返してきた。
幾度も幾度も、その力を使って契約をし。
幾度も幾度も、それらを使って自分の道を探した。
でも駄目だった。
道は見つけられなかった。
でもそれで良かった。
今更道を見つけるのは、怖かった。
のに
「本当にそれで良いのか、潮崎焰」
目の前に仁王立ちする黒髪黒目の男は、私を見下ろしながらそう言った。
「自分の道を見出す事無く、契約を繰り返すのみで一生を終える・・・実に哀れだな」
「・・・何だと?」
「俺は真実を述べたまでだ。お前の契約した式達は、俺に勝てなかった。それは、お前が道を見出せないからだ」
淡々と語る言葉に、私は歯ぎしりをした。式、とは、私の契約して来た神や悪魔の事。その式は、こいつに勝てなかった。
「自分の道を見出せ、潮崎焰。式を使おうと使うまいと、お前はお前の道を進まなければならん」
「知るか。お前は何だ」
「名乗る程の名はない。ただ・・・」
男は一度間をあけて、こう言った。
「俺は、空間を司る」
「・・・空間?」
「そうだ。
空間とは、全ての生命体の維持の為に必要だ。その中で俺は」
言いかけて、男は初めて私に笑みを見せた。
「空間を司って、自分の娯楽を楽しんでるんだよ」
そいつがそう言い終えると、私の体は白い光に包まれ、その男も見えなくなった。
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