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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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361部分:第四十九話 竪琴の力その五


第四十九話 竪琴の力その五

「ここは」
「そうしますか」
「そうだな。テントを張ることにする」
 カミュはテントを張ることを選んだのだった。
「それで今日はここで休むか」
「そうしますか。少し早いですけれど」
「今日はこれで」
「犬達の傍に火を置いていてやれ」
「はい」
 バベルがカミュの言葉に応えて頷く。
「それではこの俺の炎で」
「頼んだぞ。ではテントを張る」
「ええ、もう出してますよ」
「お任せ下さい」
 青銅の者達が早速テントを出しそのうえで張っていた。その動きは聖闘士故のものもあるがかなり素早かった。あれよこれよという間にテントが出来上がっていた。
「じゃあ入りましょう」
「防寒の備えは万全ですし」
「よし。では入るぞ」
 あらためて一同に告げるカミュだった。
「今日はこの中で休む」
「はい、カミュ様」
 一同を代表する形でオルフェが彼の言葉に応えた。
「では中へ」
「わかった。それではな」
 最高位である黄金聖闘士のカミュがまず中に入った。それから白銀、青銅と続く。この順番でテントの中に入るとすぐにバベルが炎を出し中を温めた。彼等はその温もりの中で持って来ている黒パンや燻製、それにお茶やウォッカを取り出して口の中に入れていくのだった。
 その質素だがそれでいて温もりのある食事を口に入れながら。彼等は話をするのであった。
「まあ狂闘士の奴等は退けましたけれど」
「寒さだけは相変わらずですね」
「全くですよ」
「俺達は大丈夫ですけれど犬達はどうですかね」
 青銅の者達はここでは犬の心配をするのだった。
「この寒さですし」
「下手したら凍死する奴がいてもおかしくないですけれど」
「それは大丈夫なんですか?」
「どうなんですか?」
「心配は無用だ」
 カミュはその彼等の危惧に対して答えた。
「あの者達はまず集まって寝ているな」
「ええ、そういえば」
「丸まって寝ていますね」
 青銅の者達はカミュの言葉を聞いてこのことに気付いたのだった。確かに彼等は今もそうやって集まって丸くなって寝ていた。
「散らばるより集まってですか」
「そういうことですね」
「その通りだ。それにあの犬達はロシアに住んでいてしかも狼の血を引いている」
「狼のですか」
「あの」
「この程度の寒さで倒れたりはしない」
 カミュはまた言った。
「それにバベルが彼等の周りに決して消えることのない炎を置いて温もりを与えている。これで彼等が凍えることは決してなくなった」
「それじゃあ大丈夫ですね」
「あの連中は」
「うむ。凍死することは絶対にない」
 断言であった。
「それは十二分に考えてある」
「わかりました。じゃあ犬達のことは安心します」
「俺達よりずっと大丈夫ですね」
 こう言ってその心配を打ち消した彼等であった。だがそれでも話は続くのだった。
「まあ俺達はここでずっとですね」
「炎と酒であったまりながら」
「何かかなり厳しい状況ですけれど」
「これはこれで楽しいっていうか」
「修行の頃に比べればだ」
「まだこの程度は」
 ここで言ったのはバベルとオルフェだった。彼等を温めているその炎もバベルが出したものである。白銀聖闘士の中で最も炎を使うことを得意としている彼がだ。
 
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