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Three Roses

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第十七話 姉妹の薔薇その十二

「弾圧や粛清はです」
「そうしたこともですか」
「慎むべきです」
「命を奪わないことですか」
「そうしたことをしてしまうと」
 その時はともだ、司教はマイラに話した。
「王国と同じになってしまいます、あと法皇庁ですが」
「あちらもですか」
「くれぐれもです」
「気をつけるべきですか」
「法皇庁は神聖であることは確かですが」
「それと共にですね」
「あそこまで腐敗した場所はありません」
 司教は目を伏せる様にしてだった、マイラに話した。
「世俗以上に腐敗していてです」
「あらゆる悪徳が、ですか」
「蔓延ってもいます」
「そのお話は以前聞きましたが」
 他ならぬ司教からである。
「そのお話は本当なのですね」
「美酒、美食、美女に財宝に芸術品、建築とです」
「あらゆるものを集めその中に浸り」
「陰謀と権勢のことばかり考えています」
 それが法皇庁の現実だというのだ。
「そして自分達に逆らうならばです」
「謀略、そして権勢を以て」
「弾圧します」
「異端審問はその弾圧の手段ですか」
「大陸の東でも戦争がありましたが」
「ある大学の教授が法皇庁を批判して、でしたね」
 マイラはその目を鋭くさせて司教に問い返した。
「教授の書を彼を焚刑にする前に目の前で燃やして」
「そしてです」
「粛清してそれからでしたね」
「その粛清に反対する者達が戦争を起こしましたが」
「法皇庁は呵責なき弾圧をその戦争でも行った」
「法皇庁にはそうした一面もあります」
 現実として、というのだ。
「陰謀と権勢に溺れ」
「弾圧と粛清を躊躇しないのですね」
「あそこまで腐敗した場所もありません」 
 司教はマイラにその現実も話した。
「だからこそ帝国は法皇庁の擁護者ですが」
「それと共にですね」
「法皇庁と敵対しその勢力を国内で抑えようとしているのです」
「そうなのですか」
「彼等は民からも搾り取りますし」
 その税をだ、様々な理由を付けてそうせんとするのだ。
「帝国にとってはです」
「非常に厄介なのですね」
「そうです、あまりにも腐敗が酷いので」
「そのこともですね」
「ご存知下さい」
「わかりました、法皇庁のそうした一面も」
「誠実に神にお仕えし民に尽くしている方々も多いのですが」
 それと共にというのだ。
「腐敗も蔓延しています」
「だからこそ旧教もですか」
「このこともご存知のうえで」
「信仰していき」
「国政をお考え下さい」
「その様に、ですが」
 マイラはここまで聞いてだ、顔を曇らせてだった。そのうえで司教に曇った顔で言ったのだった。
「私は」
「ご安心下さい、我々がです」
「その私を、ですか」
「この国の女王にしますので」
「お言葉ですが」
「信じられませんか」
「私が女王になるなぞ」
 到底、というのだ。
「信じられません」
「ですがそれでもです」
「司教、そしてオズバルト公ですね」
「他にも旧教の諸侯、聖職者達がいます」
 マイラに下にというのだ。 
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