ドリトル先生の名監督
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第八幕その四
「真面目にしているけれどね」
「それでもなの」
「そこまで強くはなの」
「うん、別にね」
またお話する王子でした。
「慣れてるからね」
「アイロンがけとかも」
「他の服の手入れも」
「靴も磨かないといけないし」
「洗濯だって」
「それは僕の仕事じゃないからね」
アイロンがけ等はです。
「王宮にいる侍女さんや侍従さん達のお仕事だから」
「それはしない」
「そうなの」
「服や靴の手入れは」
「そうしたことは」
「逆にすると執事に怒られるんだよね」
その執事さんを見て少し苦笑いになって言うのでした。
「それはその人達のお仕事だからって」
「そうです、王子は王子の為されることをされてです」
その執事さんが答えます。
「そしてです」
「侍従さんや侍女さん達にはだね」
「彼等のお仕事がありますので」
「それはしたら駄目だね」
「すべき仕事は奪わないで下さい」
くれぐれもという口調で言う執事さんでした。
「それはお願いします」
「それじゃあね」
「はい、その様に」
「王族になるとそうしたことも考えないといけないからね」
ここで先生も言います。
「どうしてもね」
「自分がする仕事を全うして」
「そう、他の人の仕事は奪わない」
「そうした人達がそれが仕事だから」
「それを奪うとね」
「その人達が働けなくなるね」
「だからだよ」
それでと言う先生でした。
「そこは弁えないとね」
「実際にそう言われてるよ」
「王子が趣味で靴を磨いたりアイロンがけをすることはいいよ」
「それは構わなくてもね」
「けれど侍女さんや侍従さんのお仕事を奪うことはね」
「したらいけないね」
王子も頷きます。
「お仕事として定められているのなら」
「そういうことだよ」
「質素であり自分のすべきことを果たす」
「それが王子が気をつけなくてはいけないことだよ」
「全くだね」
「まあ僕は家事が全然出来ないから」
ここで笑って自分のことをお話する先生でした。
「トミーや動物の皆に任せっきりだけれどね」
「それが僕達のお仕事だからね」
「先生といつも一緒にいて身の回りお世話をすることがね」
「私達のお仕事よ」
「だから先生は家事をしないでね」
「僕達のお仕事奪わないでね」
「そうなるんだね、僕は王様じゃないけれど」
紛れもなくお医者さんです、そして学者さんです。
「家事は出来ないから任せて」
「それが私達のお仕事になってるから」
「任せてね」
「むしろ家事が出来て世事に長けている先生とかね」
「先生じゃないから」
もうそれでドリトル先生でなくなるというのです。
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