俺、サーヴァントになりました
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序章 カルデア
サーヴァントになったようです
前書き
連続投稿です
「ふーん…外はそんなことになってるんだね。そしてそれを修復するためにオレの力がいる、と」
「そうなんだ。…手伝ってくれる?」
「そもそもオレとあんたはサーヴァントとマスターだ。拒否なんてできないだろうに」
「うーん…あんまり強制させたくはないんだ。命を懸けることになるんだしね」
「それはオレが女のサーヴァントだから、って理由か?」
「ううん。単純に嫌だから」
「ははっ、変わったマスターだ。…別にいいぜ。だいたいオレは戦いが好きだしな」
「そっか…ありがとね」
「気にするな」
マスターにそう答える。…まあそうじゃないと話がすすまないだろうからな
おっと、自己紹介が遅れたな。オレはバーサーカーのサーヴァント、真名を「ヘルヴォール」…なんだが。人格はそうじゃない。どうやら何かの原因ですり替わったらしい。
覚えているのはこの世界の元となる物語のこと、その物語が大好きな男だった、ということ
それ以外はさっぱり思い出せない。ほかの記憶はすべてこのサーヴァントとして過ごすためのものばかりだ
ヘルヴォール、またはヘルヴォル。かつてオーディンの血を引く王、スウァフルラーメがドヴァリン、ドゥリンという二人のドワーフを捕らえ、命を救うのと引き換えに黄金の柄で錆びることなく鉄をも容易く切り、狙ったものは外さない剣を作るように命じ、作られた呪いの剣「魔剣ティルフィング」を唯一呪いを受けることなく扱った女性のヴァイキング。狂戦士の一族の者。
…まあ要するにいろいろおかしい女性、ってことだ。規格外ともいう。
そんな英霊にオレがなんで憑依したのかは謎だが…まあ、一度は入ってみたいと思った物語の中にいるんだ、せっかくなんだから多少は楽しまないとな
「ところで、ほかには何騎のサーヴァントが?」
「ええと…大体20は」
「20騎もいるのか…すさまじいシステムを持っているんだな、この施設は…そしてそいつらを制御できるマスターもすばらしい」
「そんなことはないよ…いろんな人たちに助けられてるだけだし」
「だが素質がないとこんなことはできないだろう。いいマスターに呼ばれたな、私も」
「もー…言いすぎだよヘル…」
そんな雑談をしながらオレは今マスターからこれからやっかいになることになる「カルデア」と呼ばれる施設の案内を受ける。こんな内部までのことは知らないからな、一つ一つ覚えていく
「えーと…これでだいたいの重要な場所は回ったかな。あとここが貴女の部屋ね」
そう居ながらマスターは一つの部屋を指す
「なるほど、案内助かったよ、マスター。ところで仕事はいつからだ?」
「んと…ドクターの用意ができ次第だから…もう少しかかるかなぁ」
「わかった、それまではゆっくりしてるよ」
「うん、また呼びに来るね」
そう言い残してマスターは走り去っていった
「…さて、他にどんなサーヴァントがいるか把握しないといけないな…」
この世界にも相性というものは存在するのだろうか。あるとしてもバーサーカーのオレにはあまり関係ないが
そんな思考をしていると向こう側の通路から赤い外套をひらめかせながら男が歩いてきた
「…おや、新しい英霊か?」
…見覚えのある顔、声。誰しもが知るサーヴァント
「ああ、そうさ。バーサーカークラス。…ここじゃああんまり役に立たないだろうからバラしちまうか、真名をヘルヴォールっていう」
「ご丁寧にどうも。私はアーチャー、エミヤだ。よろしく頼む」
「こちらこそよろしくな」
アーチャー、エミヤ。かなり有名な英霊の一人。こいつに会えるなんて思ってもいなかった
「…言っちゃ悪いが聞いたことのない名前だな」
「ああ、私は特殊だからね。仕方がないさ」
「なるほど…ね」
「私としてもバーサーカークラスの君が流暢に話せるのにも違和感があるがね」
「同じく特殊なんだろうよ」
大体バーサーカークラスというのは総じて「狂化」というスキルを持っており、強い力を持つ代わりに理性を失う。故に正常な会話ができないのが通例だ
しかしオレには「魔剣の呪いを受けなかった」という話だ。その話がスキルに昇華している。だから理性を失わずに済んだのだろう
「ふむ…興味深い話だな。…と、用事があったのだった。すまないが失礼させてもらう」
「ああ、じゃあな」
そういってエミヤは立ち去った。…彼もいるのか、かなりの戦力があるんじゃないか?ここは…
「マスターが呼びに来るまで何をしようか。…自分の能力の把握でもしておくか?なにもできずにマスターの足を引っ張るのだけは避けておきたいからな」
それにオレ自身実際に体を動かしてこの英霊という体を動かしたことはない。記憶だけの動きでは差異が出る可能性があるしな
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