聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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295部分:第四十話 揺れる大地その七
第四十話 揺れる大地その七
「腕を組んだままだとは」
「まさかと思うがそれは」
彼等も馬鹿ではない。ここに派遣される時に既に階級を持つ狂闘士達から聞いているのであった。アルデバランが一体どんな技を使うのかを。
「グレートホーンか?」
「若しくはタイタンズノヴァか」
「安心しろ」
しかしここでアルデバランは言ってきた。
「ここではタイタンズノヴァは使わん」
「それは何故だ?」
「何故それを使わん」
怪訝な顔で彼に対して問うのであった。
「ここで使わぬとはどういうつもりだ?」
「それで我等を一度に倒さんというのか」
「街の中だ」
アルデバランは彼等の問い対して場所を出すのであった。
「ここで使えば街の者達に犠牲が出る」
「だからだというのか」
「その技を使わぬというのは」
「その通りだ。このアルデバラン無駄な犠牲は好まん」
これはまさにアルデバランの倫理観であった。彼は闘いであっても極力犠牲を出さないように心掛けているのであった。この辺りが実に彼らしいと言えた。
その彼らしい言葉を述べたうえで。さらに言うのであった。
「だからだ。タイタンズノヴァは使わんのだ」
「それはわかった。しかしだ」
「それならばだ」
彼等はそれを聞いてまた言ってきた。
「そのグレートホーンとやらだけで我等を倒せるのか?」
「我等全員を」
その槍を構えながらの言葉であった。
「ここで倒せるというのか」
「全てをな」
「倒してみせる」
今の言葉には絶対の自信があった。
「ここでな。それを見せてやろう」
「面白い。それならばだ」
「見せてもらおう」
一斉に槍を突き出しそのうえで殺気に満ちた小宇宙を発してみせてきた。
「ここでな」
「そして死ぬがいい」
「来るのだ」
また挑発してきたアルデバランだった。
「見せてやろう、このタウラスのアルデバランのグレートホーンをな」
「よし、見てやろう!」
「行くぞ!」
彼等もまたその言葉を受けて一斉に動いてきた。
そしてその槍で正面から、上から、横から、後ろから襲い掛かる。だがアルデバランはまだ腕を組んだままだ。
そうしてその状態で。彼は叫んだ。
「グレートホーン!!」
「むっ、来たか!」
その瞬間だった。彼等全員を凄まじい衝撃が襲った。
「う、うわあああああっ!」
「何だとっ!」
全員その衝撃に吹き飛ばされてしまう。そうしてそのうえで地面に叩き付けられる。彼等の戦衣はどれも粉々になってしまっていた。
「ば、馬鹿な」
「我等を一度にだと・・・・・・」
「そうだ」
アルデバランは倒れ伏す彼等に対してこともなげに告げた。
「グレートホーンは一撃とは限らないのだ」
「何度でも出せるというのか」
「くっ、抜かったわ」
「このタウラスのアルデバランを甘く見てもらっては困る」
アルデバランはこうも返した。
「この程度のことは造作もないこと」
「そして我等を倒すこともか」
「くっ・・・・・・」
彼等は断末魔の中で無念の声をあげるばかりであった。それしかできなかった。
「流石だと言うべきか」
「黄金聖闘士だからこそか」
彼等はその中でまた呻いた。
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