ネット通販は異世界最強なんだよ!(勘違い)・ω・`)ノ
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032「ドワーフ娘、ブラック労働する」幕間A
「アタイ、今日、ここで……死ぬかもしれない」
ドワーフのミカドワ・スミスは疲労のあまり、死の誘惑に誘われそうになる。
彼女は、自分を、この状況に追い込んだショタ妖精に対して、激しい憎しみを感じた。
暗黒王子にして、邪悪なる統治者ダーク・シルバー。
反逆の芽は可能な限り潰し、諸国に魔の手を広げる絶対者(勘違い)。
まるで、妖精の皮を被った悪魔のような奴だと、鮮明に思い出せる。
そう、あれは――昨日の朝だ。
『妖精さん、ミカドワちゃんが現実逃避しているお』
『さすがに仕事量が多すぎたんじゃ……?』
~~幕間A 032「ドワーフ娘、ブラック労働する」~~
真っ赤な髪をポニーテルにして纏めた、小さい女の子。筋力もドワーフの男性と比べると低い。
それがミカドワの悩みだった。
ドワーフだから、チビのまま背は伸びない。
いつまで経っても不老のチビだ。合法ロリ娘だ。
幸いなのは観察系お姉さんから貰える『転生特典』に、物作りの才能を選んだから、最小限の動きで成果を出せる。
鍛冶師の社会的地位は高い。技能職だから収入も高い。
崩壊した先史文明では、スミス(鍛冶)の性を持つ人間が、数多くいたから、その需要の高さが理解できるだろう。
どこに行っても食うには困らない。それゆえに、千人程度のショボイ経済規模の村でも、ミカドワを含めたドワーフ達は、そこそこに豊かに暮らす事ができた。
だが、そんな平和で牧歌的な職人暮らしは、暗黒王子ダークシルバーがやってきた事で崩壊した!
「おーい。ミカドワ~。
この鍬と同じ奴を作ってくれ」
『小さい女の子がいるお。可愛いお』
『お前らは彼女を知らないのか?
この村で、頑張っているすごい幼女なのぜ?』
空を自在に飛んで、工房を訪れたショタ妖精の手には、ステンレス製の備中鍬があった。三本の爪で、土を効率よく抉り、硬い土を耕作するために作られた道具だと、ミカドワは、すぐ理解する。
(アタイなら、こんな道具は簡単に作れるね。
ん?これステンレス?
どうやってシルバーの旦那は、これを入手したんだい?)
ステンレス(鉄とクロムの合金)そのものが、製造が困難すぎたが、その問題点を除いては、備中鍬を簡単に作れる自信がミカドワにはある。
「……シルバーの旦那。
鉄製の鍬だったら、幾らでも作れますよ。
これを幾つ作れば良いので?」
シルバーは指を1本立てた。
ミカドワが、勝手に納得して頷く。
「なるほど、100本ですか、分かりました。頑張って3日以内に作りま――」
「いや、1万本だ」
そのシルバーの言葉に、ミカドワを含めた全ての職人が絶句した。
一万本。手作りでそれだけ大量の鍬を量産するのは、不可能と言っても良い。
機械化された工場でもないと、三日で生産できないだろう。
支配者の無茶すぎる注文に、ミカドワは顔を横に振った。
彼女は、穏便に、支配者のご機嫌を取りながら拒否る方法の一つや二つは心得ている。
小さくても、職人集団の長なのだ。
「……シルバーの旦那。
残念ながら、鉄の在庫が少なくてね。
300本でどうでしょうか――」
ミカドワが言い終わる前に、シルバーはネット通販で10トンにも及ぶ、中国産の鉄鋼を購入。
それを工房の入口に落とした。
山のような、とんでもない量の鉄に、ミカドワを除いたドワーフ達はワクワクした気持ちが抑えられない。金属ズキーだけに。
『ロリ娘鍛冶師よ、これが王の財宝だ』
『1トン4000円の中国産の鉄だお』
『さすが、中国。凄い安いです……』
『安すぎて、世界中の鉄鋼産業が潰れるレベルwww』
シルバーは、ミカドワの紅い瞳を見つめながら、場の勢いに任せて命令を下す。
「ここに良質な鉄が10トンある。これで存分に鍬を作ってくれ。
それも、可能な限り早く、たくさんだ」
『おいこらwwww1トン4000円の安物だぞwwww』
『いや、精密機械に使うならともかく、単純な道具に使うなら、これで良いんじゃないかお?』
シルバーは、驚くドワーフ達に向けて言葉を続ける。
「さぁ、作るんだ。ミカドワ。
俺はプラチナから、君の高い評価を聞いている」
「ア、アタイの評価?」
「3日で何でも作ってくれるドワーフ。
略してミカドワとな。
俺も……君の働きに期待しているよ」
『妖精さん!ポニテール合法ロリ娘を過労死させる気かお!?』
『いや、さすがに3日で全部やるのは無理だろ……』
『このロリドワーフ、どんなパンツ履いているんだろう?』
さすがのミカドワも戦慄した。
ミカドワの名の意味は、まさにその通りの意味だからだ。
転生する時に、『3日で何でも作れる職人』になるために、自分で自分に付けた名なのだ。
これを知っているのは、自分だけの秘密のはずなのに――目の前のショタ妖精は、その事を知っていた。
(な、なんでっ……!
アタイの名前の由来を知っているんだいっ!?
ま、まさか、プラチナ様は心を読める転生者!?)
いや、それよりもミカドワには心配しないといけない事があった。
ミカドワの名に期待される働き。それは――3日で仕事をやり遂げろ。
恐らく、こういう意味なのだと、ミカドワは理解せざる負えない。
(3日で1万本作れという事なのかい!?
そんな無茶な!)
『合法ロリ娘が、黙っているお』
『妖精さんの非常識さに困っているのだろうな……うむ。
私でも、こんな無茶な仕事を頼まれたら断るな……達成できない仕事は評判を下げるだけだ』
権力者の要求には従わないといけない。
それがどれだけ無茶だとしても、偉い人を敵に回すと、組織に居続ける事は出来ないのだ。
男のドワーフなら、転職は簡単かもしれないが、ミカドワは女。
信頼を勝ち取るための労力が、過剰なくらいたくさん必要になる。場合によってはセクハラされたり、枕営業も必要になるだろう。
それにドワーフの価値が低い集落に住み着いたら、鍛冶の腕を発揮する前に、豚人間への生贄に捧げられて、苗床にされてしまう結末を迎える可能性が高い。それだけは絶対に嫌だ。
(この村は地雷原に囲まれて安全だしね……無茶でもやるしかないか……)
ミカドワは静かに頷いた。一応、失敗した時の事を考えて、保険を残す。
「……可能な限り作りますよ、シルバーの旦那。
でも人手が足りないんでね。三日では無理かもしれません」
その返答に、シルバーは、良い笑顔になって
「じゃ、よろしく頼むな!
三日後、楽しみにしているから!」
シルバーの残酷な通達に、ミカドワは涙目になって悲しい気持ちになった。
『ちょwww妖精さんwwwwミカドワちゃんの言葉を無視するなよwwww
泣きそうになってるぞwwww』
『本当に三日で全部やれるのかっ……?』
『失敗しても、このチビ娘を責めないで欲しいお。最初から無茶な仕事量なんだお……』
『女親方とか、ロマンの塊だお……汗まみれのシャツがたまらんお……クンカクンカしたいお……』
邪悪なる妖精は、他の仕事をやるために、空を飛んで場を去った。
残されたのは、とんでもない仕事量と、中国産の鉄10トン。
到底、達成するのは無理。
部下で、髭がモジャモジャなドワーフ達も、そう思って叫ぶ。
「あ、姉御!いくら何でも無理だ!」
「そうだっ!そうだっ!
3日で一万本なんてっ!鍛冶のキモオタ神様にもできねぇよ!」
「俺達に期待しすぎだろ!?」
「頑張ってもせいぜい1日300本が限界ですぜ!」
手押しポンプの修理の時すら、技術的な問題が多すぎて、苦労が多かった。
だが、ミカドワは、涙を堪えて、自信満々な感じを装い、言い放つ。
支配者に嫌われたら、ここには居られない。
仕事を達成できなくても、シルバーを納得させる仕事っぷりを見せつけないとダメだ。
「お前達……この仕事は、やらなきゃいけないんだよ。
アタイ達は職人だ。
上玉の客の期待に、応える義務があるんだよ。
やってやろうじゃないか。
あの暗黒王子を驚かせてやるよ!ゲスな『人間』様と比べたら、ここは天国みたいなもんさ!」
小さいドワーフ娘が、張り切る姿を見て、男のドワーフ達は情けない事を言えない。
ここまで言い切られたら、仕事をやるしかない――
「「あ、姉御がそう言うなら、頑張ります!」」
「「俺らを奴隷の立場から救ってくれた姉御のためならっ!俺らは死ぬ気で鉄を打ちますぜ!」」
「皆……ありがとうね。
アタイは、良い部下を持ったよ……」
この日から、ドワーフ達の新たな苦悩の日々が始まった。
ドワーフの職人の数は、見習いを含めて10人。
暇をして酒を飲んでいるニートなドワーフを含めれば、30人だ。
幸い、備中鍬を構成している部品数は恐ろしく少ない。
柄だけを作る職人、三本の爪を作る職人という感じに、仕事を分担して効率化を図れば、恐ろしい生産力を発揮できるはずだ。
「これからが本当の地獄さねっ……!」
『おいこら!妖精さん、工作機械くらい渡せよwww』
『機械文明は、工作機械がないと、良質な部品を量産できないお』
『妖精さんwwwwちょwww聞いてくるのかwwww』
「貯金がないよう」
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10トンの鉄 4万円
(´・ω・`)中国産は安いお。
なお、あまりにも資源が安くなりすぎて、給料も払えないから、人件費が一時的にゼロになって、暴動状態だお……
労働者 (´・ω・`)給料ゼロで働けだって!?
消費総額139万9100円 ☛ 143万9100円
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(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。
http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html
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