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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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271部分:第三十八話 牛の角その二


第三十八話 牛の角その二

「私も薔薇の毒を操るのですから。ですが」
「ですが?」
「どうやらそれは私が念じた時以外は出ないようです」
 こう仲間達に答えるのだった。
「現に今こうして薔薇の御馳走を振舞っていますが」
「ああ、俺は何ともないな」
「俺もだ」
 デスマスクとシュラが言った。
「毒だったらとっくに死んでる筈だけれどな」
「何ともないな」
「毒を無意識のうちにコントロールできるようです」
 また言うアフロディーテだった。
「どうやら」
「そうなのか」
「毒をか」
「そのようです」
 今度はアイオリアとカミュに対して述べたのだった。
「私は」
「そこがかつてのアルバフィカとは違うようですね」
 アフロディーテはそこまで話をして述べた。
「それは」
「そのようです。それが何故かはわかりませんが」
「私が毒を操る術を身に着けた」
 彼は言った。
「それもまた何かあるのでしょうか」
「教皇が言っておられました」
 ムウはここでシオンの話をするのだった。
「かつてアルバフィカは人と触れ合うことはできませんでした」
「そうだな」
 ミロが今の彼の言葉に頷いたのだった。
「毒があればそれはな。できはしない」
「その通りです。だからこそ彼は孤独でした」
 あくまでこれはムウが彼から聞いた話である。しかしそれでも教皇の言葉であるだけに真実であることがわかる話だ。教皇だからこそだ。
「ですから」
「しかし私はこうして人と会える」
 アフロディーテは今度はこのことを話したのだった。
「これはかつてのアルバフィカの願いだったのでしょうか」
「おそらくは。そして」
「そして?」
「それは貴方だけではないようです」
 今度はこう話すのだった。
「私達全員がです」
「俺達全員が?」
「というと一体」
「どういうことなんだ?」
 ムウの言葉に他の黄金聖闘士達がいぶかしむ顔になった。シャカですから目を閉じたままであるがそれでも話すのだった。
「それは」
「俺達がかつての彼等の願いを適えていると」
「そのようです。それがどうしてかはわかりませんが」
 ムウもそれはわからないようである。
「しかしそれも何かあるのでしょう」
「何か?」
「それは」
「ですからそれはどうもわからないのです」
 やはりそれもわからないというムウだった。
「しかしです。私達は彼等の願いを適えている」
「その願いを」
「そうして今ここに」
「何か話がわからなくなってきたな」
 デスマスクも首を傾げるばかりだった。
「俺達があの時の黄金聖闘士達の願いを適えてるってか」
「エルシドだったか」
 シュラはその彼の名を知っていた。当然ながら。
「俺は彼の願いを適えているのか」
「俺もなのか?」
 ミロもこの話を聞いたうえで述べた。
「やはり。あの時のスコーピオンの願いを」
「私もそうなるのか」
 カミュも言った。
「彼の果たせなかったものをか」
「あの時代の聖戦は激しいものだった」
 アイオリアはその時のことは文献で読んでいた。そのことを知らない黄金聖闘士はいない。いや、聖域にいる者ならば誰でもであった。
 
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