聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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249部分:第三十五話 持ち越される決着その三
第三十五話 持ち越される決着その三
「ジェミニ、貴様に対してもだ」
「私まで言われるとは思わなかったがな」
「貴様だからこそ告げるのだ」
しかしエリスはこう彼に告げるのだった。
「貴様に対しても。またな」
「アフロディーテの相手はアスタロトの狂闘士」
サガもそれははっきりと聞いていた。
「それでは私の相手は。神だというのか?」
「そうだな。何なら私が相手をしてもいい」
エリスもそれは否定しない。むしろ乗り気なのを見せるのだった。
「私もまた闘いは好きだからな」
「そうか。では今ここで」
サガもまた己の小宇宙を隠さない。隠さないばかりかさらに増大させてきていた。それでこの場を完全に覆わんばかりの凄まじい小宇宙だった。
「決着をつけるか」
「それも面白いがだ」
だがエリスはここでこう言うのだった。
「私は今ここでは実体ではない」
「そうか。ならばいい」
サガもまた己の言葉を引っ込めた。そうしてそのうえで目を閉じて顔をやや俯けた。
「また会おう。その時の機会を待っている」
「ジェミニ。貴様はどうやら」
「何だというのだ?」
「面白い。やはりジェミニ」
不意にエリスの言葉が笑ってきた。
「貴様は一つの顔を持っているだけではないな」
「どういうことだ?」
「貴様もいずれわかる」
だがエリスはここではこう言うだけであった。
「貴様自身によってな」
「何を言っているかはわからないがこれだけは言っておく」
サガは冷静にエリスに返した。
「私はアテナの聖闘士」
「それはもう聞くまでもないが」
「それを言っておく。覚えておくことだ」
「話がわからんな。だが私にあるのはアテナへの心のみ」
それだけだと言うのである。
「それ以外にはない」
「それはどうかな」
「おかしなことを仰いますね」
アフロディーテもまた今のエリスの言葉に対して言ってきた。
「サガはアイオロスと並んでアテナへの忠誠心が最も強い聖闘士です」
「ピスケスよ、貴様もそう思っているだけなのだな」
「だけと限定するのがわかりません」
アフロディーテはエリスの言葉にあえて突き放したように返した。
「私でなくとも他の誰が見てもサガにあるのは正義のみ」
「正義か」
「そうです。アテナに捧げる正義」
それだけだと言うのである。アフロディーテはあくまで。
「それを否定しているわけではないようですが」
「もう少し考えてみることだな」
エリスの声には含み笑いがあった。
「ジェミニ、貴様自身がな」
「言っている意味がわからぬ」
サガはエリスの言葉をこうも言ってなお否定した。
「神ともあろう者が戯言を言うとも思えぬが」
「安心するがいい。私は戯言は言わぬ」
彼女自身もそれは否定するのだった。
「ただ真実だけを言うのだ」
「では今の言葉は一体」
「よく考えてみるのだな」
やはりこう言うだけであった。
「よくな」
「わかりはしないがわかったと言っておこう」
サガの返答はこれであった。
「それではな。私から話すことはもうない」
「私もだ」
サガだけでなくエリスもであった。
「ではこれで。去らせてもらおう」
「それではエリス様」
ミシェイルがまたエリスに対して一礼した。上にその思念を漂わせている彼女に対して。
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