聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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247部分:第三十五話 持ち越される決着その一
第三十五話 持ち越される決着その一
持ち越される決着
二人の技が今まさに出されそれにより決着が着けられんとするその時だった。不意に戦場にあの女の声が届いたのであった。
「待て。ミシェイルよ」
「!?その声は」
二人はほぼ同時にその声に反応した。しかしそれはミシェイルの方が強かった。
「エリス様ですか」
「左様だ」
やはりそうだった。それはまさにエリスの声だった。
「私だ」
「何故ここに」
ミシェイルはその顔を上にあげていた。そうしてそのうえで彼女に対して問うのだった。
「お声を」
「そなたのことは見ていた」
エリスは次にはこう彼に告げるのだった。
「最初からな」
「左様でしたか」
「まずは見事な闘いぶりだった」
彼に対して労いの言葉も出すのだった。
「流石だ。アーレス様の翼に相応しい」
「有り難き御言葉」
ミシェイルは彼女のその労いの言葉に対して静かに礼を述べた。
「このミシェイル、恐悦至極です」
「だからこそ言う」
エリスはここでまた彼に言うのだった。
「そなたは下がれ」
「ここではですか」
「そうだ。わかったな」
その言葉は変わらない。
「ここはな。よいな」
「ではピスケスとの決着は」
「案ずることはない」
そのことについても確かに言うエリスだった。
「ピスケスの相手はそなただ」
「私ですか」
「そなた以外にはない」
こうまで言い切ってみせるのだった。
「それは絶対に保証する。この私がな」
「エリス様が」
「私はアーレス様の実の妹」
それだけにその言葉には絶対のものがある。彼女の言葉はアーレスの言葉でもあるのだ。つまり彼の名代ともなっているのである。
「わかるな」
「無論です」
そしてそれもわからないミシェイルではなかった。
「それでは。私は」
「他の者はピスケスには向けぬ」
これがエリスの彼への約束だった。
「わかったな」
「はい、それも」
「神が嘘を言うことはない」
彼女もまた神である。神としての誇りに基く言葉であった。
「これが私の意志だ」
「では。ここは」
「わかるな。安心して退け」
エリスは重ね重ね彼に告げてみせた。
「よいな」
「有り難き御言葉。それでは」
「ピスケスよ」
エリスはミシェイルを完全に説き伏せそのうえでアフロディーテに対しても声をかけるのだった。彼にも彼女の言葉ははっきりと聞こえていた。
「そなたもわかったな」
「面妖なことを」
しかしアフロディーテはエリスの言葉に対してこう返すのだった。
「私はアテナの聖闘士です」
「それはわかっている」
「いえ、わかっておられません」
彼は言うのだった。
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