聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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241部分:第三十四話 氷と毒その一
第三十四話 氷と毒その一
氷と毒
アフロディーテとミシェイルは今まさに激突せんとしていた。まずはミシェイルが言ってきた。
「五人とインプ達の仇だが」
「その割には随分と簡単に手駒にされていたようですが」
しかしここでアフロディーテは彼にこう言うのだった。
「違いますか?」
「手駒にしたのは事実」
彼もまたそれは認めた。
「それはな」
「では何故仇などと?」
「手駒なのはあの者達だけではない」
そして今度はこう言うのだった。
「私もまた手駒なのだからな」
「貴方も手駒だと?」
「何かおかしなことがあるか?」
「また奇妙なことを仰いますね」
今は紅薔薇を右手に持っている。その紅薔薇を顔の左の方に持って来ての言葉である。
「貴方もまた手駒とは。彼等を使ってきた貴方が」
「当然のことだ。私はアーレス様の僕」
彼が言うのはこのことだった。
「それならばだ。手駒なのも当然」
「アーレスの手駒ということですか」
「その通りだ。これでわかったな」
ここまで話しての言葉だった。
「これでな。そして私は同志達の仇は必ず討つ」
言葉に殺気がこもってきた。
「ピスケス、貴様を倒す」
「そうですか。同志達の仇としてですか」
「そしてアーレス様の敵としてだ」
また言うのであった。
「行くぞ」
「ならば私も」
紅薔薇を今度は前に掲げてきた。
「参りましょう」
「ピスケスよ。さっきも言ったが」
ミシェイルは闘いがはじまったがまずは動かなかった。
「私にその紅薔薇は効きはしない」
「貴方の毒によってですね」
「そうだ。私の毒は全ての魔神達の中でも最も強い毒だ」
こう告げるのだった。
「ありとあらゆるものを死に至らしめる。そういう毒なのだ」
「では。その毒を私がはじめて打ち消してみせましょう」
アフロディーテは引かなかった。その毒のことを聞いても。
「今ここで。この美しい薔薇達によって」
「ほう、紅薔薇だけではないか」
ここでミシェイルは周囲を、足元だけでなく空にまで舞いはじめたその薔薇の花びらを見て言うのだった。見れば確かにそこにあるのは紅薔薇だけではなかった。
「黒薔薇もか」
「ロイヤルデモンローズだけでなくピラニアンローズも」
アフロディーテはその薔薇の霞の中でミシェイルに対してまた言ってきた。
「この二つならばどうです?」
「ふむ。ならば私もだ」
ミシェイルはここでまた言うのだった。
「己の技を見せよう」
「むっ!?」
「見るがいい。八大公の一人アスタロトのミシェイルの技の一つ」
悠然と笑いながらその身の回りに黒い霧を漂わせてきた。
「ポイズンミストをな」
「ポイズンミスト?毒の霧ですか」
「そうだ。何度も言うが私の毒は全ての魔神達の間で最も強い毒だ」
またこのことを言ってきたのだ。
「そして毒を自在に操ることもできる」
「だからこそ毒の霧を」
「さあ、見るのだピスケスよ」
ミシェイルはその毒霧の中で言うのだった。
「この毒の恐ろしさはな」
「さて、それはどうでしょうか」
しかしここでアフロディーテは穏やかだが確かに言葉を返してきた。
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