転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1465話
「そんな……アイちゃん……」
目の前から消えたアイちゃんを思い、テンカワが悲しげに呟く。
そんなテンカワに、ユリカが心配そうにつきそう。
色々とテンカワの件に関しては思うところがあるだろうユリカだったが、テンカワを純粋に好き……愛しているのは間違いない。
それだけに、今の弱っているテンカワが心配なのだろう。
テンカワを哀れに思わないでもないが、今の俺達にはもっとやるべき事があった。
「それで、この演算ユニットだけど……」
アイちゃんが消えてから数分程は悲しげに俯いていたイネスだったが、その辺は大人と言うべきか。
ともあれ、自分が悲しむ事は後回しにしたのか、イネスは言葉を続ける。
俺達がコアユニットと呼んでいたが、どうやら正式名称は演算ユニットというらしい。
「これをどうするか、だな。……どうしたらいいと思う?」
その場にいる者達を一瞥して尋ねるが、それに戻ってきたのは悩むような表情。
「このままここに置いておく……というのは駄目なのかい? ディストーションフィールドが何重にもなっているのを考えると、ここに来る事が出来るのはアクセルくらいだろう? なら、そのままここに置いておいた方がいいと思うんだけど」
アカツキの言葉にイネスは首を横に振る。
「やめておいた方がいいわね。今は安全かもしれないけど、ここに演算ユニットがあるというのを知れば、これが欲しい勢力……いえ、個人もかしら。とにかくここに集まってくるわよ?」
「いや、集まってくると言っても……ここはシャドウミラーの領土の火星だよ? そんな真似をしても、それこそ賊軍の二の舞になると思うんだけど」
「大勢で来ればそうでしょうね。けど、個人で来た場合は? それこそ、直接ここにボソンジャンプで乗り込んでくる可能性もあるわ」
「……そんな事が可能なのかい?」
「どうかしら。可能かどうかで言えば、不可能に近いと思う。けど、それは私が思うだけであって、実際に不可能だと決まった訳じゃないのよ」
アカツキとイネスの言葉は、どちらも正しい。
そもそもディストーションフィールドが何重にも展開されているこの遺跡に入ってこれるのは、俺くらいだろう。
いや、ナデシコ世界が異世界間貿易に参加するようになれば、もしかしたら魔法使いを雇って……という可能性もないではないのか。
俺と同じ事に思い当たったのだろう。レモンが俺の方へと視線を向けてくる。
まぁ、シャドウミラーの中で転移魔法を使えるのは数少ないしな。
そもそも転移魔法そのものが非常に高レベルの魔法であり、かなりの才能が必要になる。
……ネギですら転移魔法を使えないとなれば、どれ程転移魔法に必要な素質が稀少なのかが分かるだろう。
まぁ、ネギの場合は素質が足りないといってもあれだけの魔法使いだ。
純粋に転移魔法に関する才能は足りないだけで、普通に魔法使いとして考えれば超が付く一流なのは間違いない。
「じゃあ、どうすればいいの?」
アカツキとイネスの言葉に割って入ったエリナ。
その言葉にイネスの視線が向けられたのは、当然のように俺だった。
……あー、何となく理解出来た。出来てしまった。
「もっといい隠し場所があるでしょう? この演算ユニットそのものはそんなに大きくないんだから、持ち運びも可能でしょうし」
「つまり、ホワイトスターか?」
イネスの言いたいのは多分それなんだろう。
実際イネスも俺の言葉に少し前の悲しそうな顔はどこにいったのか、満面の笑みで頷いている。
そもそもホワイトスターに来る事が出来るのは限られているし、来た者達が移動出来る範囲だって限定されている。
自由にホワイトスターを動き回れる訳じゃない以上、ホワイトスターに隠しておくのが最善なのだろうと。
「駄目よ」
だが、その言葉に待ったを掛けたのはレモン。
真剣な表情で俺の方へと視線を向けている。
そんなレモンに不思議そうな視線を向けたのは、俺だけではない。ホワイトスターに演算ユニットを確保するようにと提案したイネスもレモンに不思議そうな表情を向けていた。
それ以外の面々も、レモンの口から出た鋭い拒否の言葉に不思議そうな説明を求める視線を向けるだけだ。唯一の例外はマリュー。レモンに同意するように頷いていた。
全員の視線を向けられたレモンは、小さく溜息を吐いてから口を開く。
「ホワイトスターで木連から譲渡された生産プラントを使おうとして、失敗したわ」
……あ。なるほど。そういう事か。
マリューはレモンの言葉が分かっていたのか、ただ頷くだけだ。
木連から譲渡された生産プラントという言葉で月臣が微妙に表情を変えたが……まぁ、エザリアとの交渉の結果だし、問題なく譲渡されたという認識でいいんだよな。
例えエザリアと交渉したのがエザリアに惚れている白鳥であったとしても、きちんと交渉の結果である以上間違いはない。
「失敗したというのは、具体的にどんな風に?」
レモンの言葉が興味深かったのだろう。イネスが好奇心を顔に浮かべて尋ねる。
「生産プラントそのものが正常に動作しなかったわ。その後、火星にあるシャドウミラーの基地の一画に生産プラントを設置したら、無事に稼働した。……これ以上は言わなくても分かるわね?」
「古代火星文明の遺産は、この世界でしか動かない」
「ええ。そんな状況で、この演算ユニットとやらをホワイトスターに持っていったら、それこそどうなるのか分からないわよ?」
そう言われると、イネスも予想外だったのか小さく溜息を吐く。
実際問題、この演算ユニットを誰にも手の届かない場所に置くという意味では、ホワイトスターに設置するのがベストの選択肢だったのだが……そうすると演算ユニットに……そしてボソンジャンプに悪影響が出るとなれば、それを選択する訳にはいかない。
「ちなみに、俺の空間倉庫は?」
「却下ね」
こちらもまた、一言で却下される。
「そもそも、このナデシコ世界にないと演算ユニットは意味がないって言ってるでしょう? それはまぁ、アクセルの空間倉庫の中に入れておく事が出来れば、ホワイトスターに置くより更に安全なんでしょうけど」
どうやら駄目らしい。
空間倉庫の中は不思議空間的な感じになっているのを考えると、意外と大丈夫そうな気はするんだけどな。
ただまぁ、もし空間倉庫に演算ユニットを入れた結果、このナデシコ世界で手が付けられないような事になったら洒落にならないのは事実だ。
ここは素直にレモンの言う事を聞いておいた方がいいだろう。
「その、ちょっといいか?」
言葉を挟んできたのは月臣。
アカツキ達からも視線が向けられているが、それを気にした様子もなくレモンへと視線を向けていた。……その頬が若干赤く染まっているのは、やっぱり女と一緒にいるというのが木連の人間として照れがあるのだろう。
それでなくてもレモンは倦怠的な雰囲気を発する美人で、月臣にとってはこれまで触れた事がない種類の相手だからか。
これが生真面目なエリナや母性的なマリューで、理知的なイネスといった面々であれば、まだ話は違ったのかもしれないが。
それでもレモンに向かって話し掛ける事が出来たのは、自分が木連の代表としてここにやって来ているというのを理解している為か。
「何かしら?」
「こちらが譲渡した生産プラントだが、かなりの大きさだった筈だ。だが、火星にあるシャドウミラーの基地ではそのような物があるようには思えないが」
どこでその情報を掴んだのかは分からないが、その疑問はもっともだった。
そもそも生産プラントはカトンボ、ヤンマ、チューリップ、バッタを生み出すものだ。
つまり、普通に考えれば火星にある俺達の基地は外から見れば生産プラントがあるのを見られる筈なのだが……しかし、今の状況では見る事が出来ない。
それを疑問に思ったのだろう。
……まぁ、このナデシコ世界の住人に魔法球について理解しろという方が無理だしな。
こちらとしても、生産プラントはこれからのシャドウミラーの戦力として主力となるべき存在だ。
ファブニール4機にメギロート40機を運用するヤンマとカトンボというのは、それだけの価値がある。
それだけに、魔法球についての情報を知らせる訳にはいかない。
……エリナはシャドウミラーに来るから例外としてもいいだろうが。
「そうね……」
レモンが一瞬だけ俺に流し目を向けると、月臣に向かって口を開く。
「どこにあるのかと言えば、どことも言えないけど……重要な施設だけにどこにあるのか分からない場所にあるのかもしれないわね」
「……地下か」
呟く月臣と、それに頷くアカツキ達。
まぁ、普通に考えればそうなるか。
将来的に異世界間貿易が本格化して、ネギま世界についての情報を詳しく知る事が出来れば、魔法球について考えが及ぶかもしれないが。
「さて、私からは何とも言えないわ。けど、私達が預かっておけば取りあえず安心でしょうね。……そもそも、どこにあるのかが知られていなければ奪おうとは思えないでしょうし」
そう告げるレモンだったが、この演算ユニットは実際どこに置くつもりなんだろうな。
その名の通りボゾンジャンプの演算ユニットであれば、こことは時の流れが違う魔法球の中に入れるのは出来れば止めておいた方がいい。
かといって、まさかその辺に置いておく訳にもいかないだろう。……ああ、意外とその辺に適当に置いといて、どこにでもある背景の1つ的な感じで誤魔化すとか?
……まぁ、それをやれば見つかる可能性は少ないだろうが、逆に演算ユニットとしてではなく、適当に何か盗んでいくような奴に盗まれる可能性はあるか。
シャドウミラーの基地の中に侵入する事が出来れば、だが。
具体的にどこに隠すのかは、この件が終わったら……うん?
ふと、そこまで考えて嫌な予感を覚える。
「な、なぁ。レモン。この演算ユニット、空間倉庫に収納するのは駄目って言ったよな?」
「ええ、言ったけど」
「……で、その理由がナデシコ世界以外の場所に演算ユニットがあるというのは駄目だ、と」
「そうね」
「……じゃあこれ、どうやって持っていけばいいんだ?」
目の前にある演算ユニットは俺と比べると圧倒的に大きい。
それでも素手で持ち上げる事が出来るだろうし、何よりいざとなったら空間倉庫の中にはニーズヘッグやサラマンダー、ミロンガ改といった機体があるので持ち運びは難しくはないが、問題はどうやってこれを遺跡の外に持ち出すかだ。
空間倉庫に収納するのが無理な以上、当然のようにこのまま持っていく必要がある。
だが、それをするには……と俺の視線が向けられたのは天上。
そこにはディストーションフィールドが展開されており、地上に出るまでには何重にもディストーションフィールドがある。
「……そう言えばそうね」
エリナが俺と同様に天上を見て呟く。
実際問題、本来ならディストーションフィールドを解除するなりなんなりして、ここにやって来るのだろう。
もしそうなっていれば、演算ユニットを運び出すのも不自然ではない。
だが、俺達は影のゲートを使ってここに転移してきた。
そうである以上、当然上にはディストーションフィールドが残っているんだよな。
そんな風に上を見ていた俺とエリナだったが、レモンが溜息を吐いてから口を開く。
「簡単な事でしょう? 内部からディストーションフィールドを破って、それから演算ユニットを運び出せばいいだけじゃない」
レモンから提案されたのは、力業にも程がある提案だった。
いやまぁ、実際には力業でどうとでも出来るのなら、わざわざ複雑な手を使って難しく事態をややこしくしたりする必要はないんだから、レモンの言葉は決して間違っている訳じゃないんだが。
ただ、普通こういう場合って英知を振り絞ってここから脱出すると思うんだけど。
仮にも幾つもの世界の盟主的な立場にいるシャドウミラーの……しかも技術班を纏めているレモンがいるんだし。
そしてアカツキを含めて他の面々もレモンの言葉に納得しないでくれ。
……あ、月臣だけはどこか複雑そうな表情を浮かべているな。
まぁ、ボソンジャンプというのは木連にとって生命線に近い代物だ。
その辺を考えると、演算ユニットという大事な物を俺達に委ねるのは微妙な感じなのだろう。
それでも結局何も言わないのは、木連や地球、この遺跡に置いておくよりも俺達シャドウミラーが管理していた方が安全だからって事なのだろう。
「分かった。じゃあそういう事で、早速地上に持っていくか」
「ああ、それとこの演算ユニット以外にも色々と興味深い物があるかもしれないから、あまり無茶はしないでね」
「無茶を言うな、無茶を」
呟き、演算ユニットがある場所から少し離れた場所へと移動し、空間倉庫からニーズヘッグを取り出すとコックピットへと入って機体を起動させる。
「大丈夫だとは思うけど、一応危なくないように隠れててくれ」
外部スピーカーでそう告げると、全員が隠れるのを確認してヒュドラのランツェ・カノーネの砲口二門を上空へと向ける。
そして……次の瞬間にはディストーションフィールドが貫かれ、地上へと繋がるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1213
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