Three Roses
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十五話 衰える身体その八
「そうしなければならないか」
「何かお考えはありますか」
「太子には」
「よいお考えが」
「考えてはいるが」
それでもとだ、太子は自身の側近達に答えた。
「私も残念だが」
「ありませぬか」
「太子にも」
「そうなのですか」
「残念だがな」
それでもというのだ。
「思いつかない」
「では、ですね」
「お妃様はあのままですか」
「そうなりますか」
「そうだ、ここはよくはない」
こう言うのだった、そしてだった。
太子は動かなかった、動いても仕方がないと判断したからこそそうした。だが王は違っていてだった。
マイラに直接会うと大臣達に言った、何故会いたいのかも言った。
「マリーと会って話をする様に言おう」
「マイラ様に直接ですか」
「言われますか」
「そうされますか」
「そうしたい、説得したい」
直接会ってというのだ。
「是非な」
「それはいいことと思いますが」
「しかしです」
「あの方は今はです」
「どなたともです」
「どうしてもというのならだ」
マリーがだ、それならばと王は言った。
「余は勅命を出す」
「王のですか」
「それをですか」
「そうだ」
王として最も大きな、即ちこの国で一番強い強制力を持っているそれを出すというのだ。
「そうしてでもだ」
「何としてもですか」
「マリー様とマイラ様を会わせ」
「お話をして頂く」
「そうお考えですか」
「どうしてもというのならだ」
マイラがこのままでいるのなら、というのだ。
「私も勅命を出す」
「まさかこうしたことで勅命を出されるとは」
「そこまで深刻にお考えなのですか」
「マイラ様とマリー様のことを」
「そうなのですか」
「国に亀裂があってはならない」
一枚岩であるべきだというのだ。
「だからだ」
「それ故に」
「王家の中のことでありますが」
「勅命を出されますか」
「そこまでお考えですか」
「私は本気だ」
勅命、これを出すことについてというのだ。
「この国の為にもな」
「王家のしがらみはそのまま国に生きる」
「そうなるからこそ」
「絶対にですね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「今のうちに抑えておこう」
「その亀裂を」
「そうしていかれますか」
「収めてだ」
そしてというのだ。
ページ上へ戻る