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とある地下の暗密組織(フォートレス)

作者:@観測者
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ep.016  『カフェ・ポジ・イタリアン』

下根が自身の携帯端末から叶世の電話番号をタップする。

『どうした。』
と、向こうから室内でないことがわかるエコーの無い声がずっと同じ低いテンションかつトーンで聞こえてくる。

「叶世さんが寄越した紙見たんスよ!」

向こう側で一瞬の静止の後、
『ああ、連絡か。   すまない、よそ見をしてしまってな。』


この人が何か物事を忘れることが無いことを知っている身としては、何に対しても関心がなく興味さえない彼がよそ見をしたものに興味をそそられるところだが、今はそんなことを考えている場合ではないのだろう。

『あの文面の最後のところの事だな。俺も書こうとはしたんだが途中、他の奴らに見せていいものかという事を考えるとやはりお前とこうして面と向かって言い合っている方が良いと思ってな。この端末同士なら全くに盗聴される必要も無いしな。』


「ゴメン。ちょっとトイレでしてくるわ。」
と皆に伝わる様に携帯を指さしジェスチャーする。








トイレ、個室。


それほどにマズい事。それも文面的には『fortress』に関すること。それも皆には伝えない方が良いこと。


下根の思考はそこまでの条件が出た時点で結論は確定的に一つしかなかった。




元『frotress』メンバー。それも現在身元不明のメンバー。一応学園都市に在住しているであろうがどこにいるのかがわかっていない人物は二人だけである。
「どっちッスか?」
それだけ危ない人物。

片方は原理不明、能力の解析不能の完全不明(アンノウン)。もう片方は逆に原理簡単、ただしチートじみている能力の超壮大思想家(クルクルパーシンカー)


何方だったとしても相手にはしたくない。




『どちらとも限らないかもしれないし両方かも知れない。現在確認されているのは『ヒーローZ』、『奈津野(なつの) 刹那(せつな)』が『ピースメイカー』と接触していることは確認されている。それだけでも危険だどいうのに目的区の一角で『ヒーローX』らしき人物が確認されたそうだ。


今回の任務には現『fortress』が総力で挑まなければいけないだろう。まあ、『ヒーローX』に関しては夢絶に任せておくとして、問題は『ヒーローZ』だ。

その時はお前にも手伝ってもらうと思っておけ。』




ヒーローZとはあった時に対峙するとして、今は一度地上を見なくてはならないな。


『まあ、今は安心して一度地上の巡回を頼んだ。俺も今回の助っ人を連れて地下の任務を始めだすとする。』

心を読むなと言いたい。
「じゃあ、こっちも戻って色々し出すんで、ここで切りますね。」
言って切る、何も言わず。だが向こうもこの『下根 高親』がこんな人物であることを知っているので何も気にしないだろう。

何より、叶世だからとしか言いようがない。そんなこと気にも止めていなさそうである。






























トイレから出ると、下根は皆に一言「仕事すんよ。」とだけ言った後、自分の座っていた席に置かれていたカップの底にあったコーヒーを飲み干した。


「じゃあ、今から一度巡回するから。各自担当の区の状況を確認の(のち)、またここに集合で。」




解散。7人がそれぞれの担当する区に行く。


























































コーヒーのカップを置いた御臼が言う。


「あれ。いつまで私たちこうしているんですかね。」

地上、第4学区。夢絶達が地下で奮闘することになっているであろう最中である。地上は一度の巡回を終え、また最初のイタリアンに戻りさらに一服していた。

下根に限ってはコーヒーに加えて、パスタまで頼んでいる。


時間で言えば、2時間ぐらいだろう。地上での各地区の巡回、と言ってもしっかりとしたものではなく風紀委員や警備員の使用している監視カメラを職務上とは言え(なか)盗み見(ジャック)しているような気分になるものだが。


とりあえずそのような方法にはなってしまうのだが各区の状況確認を済ませた後、今回の重要任務である第4学区のこのイタリアンでの待機が続いているのである。はっきりと言ってしまってこのままここで一日過ごすという可能性さえ出てきてしまうほど退屈だ。


ガシャンッ!

「どっか行きたい。」
水無月姉が言う。
テーブルに頭を打ち付けた後、テーブルを口につけたまま言う。

他のメンバーはそれに反応するのが遅れる。気が遠くなっていたのだ。こんな事、あまり起きないことだし良く起きられても困るのだが、こんなことで気が遠くなるのも考え物である。

万が一というものがあるのだ。まあ、一介の学生として集められたこの面子にそこまでプロフェッショナルな事を要求されても困るといったものだ。




揺れ。地震がした。それでも路上を歩く人たちは揺れを感じる事はない程度のもの。

カップの中のコーヒーが中心を軸にいくつもの輪を大小させている。その程度。


店の人も気になったようで辺りを見回しているが、十秒ほど何も起こらないかを確認した後作業に戻る。




やはり来た時からずっと下拵(したごしら)えをしているようだ。

「このお店って開店何時からなんでしょうか。」
そんな質問を隣で見ていた御臼が言った。


「んな事、店でたら分かんだろ?」
とライターが返す。


「兄さん。少し黙ろうか。」
とシャーロックの言葉。


「お、おう。」
ライナーは御臼の方を見ながら頭を降ろした。弟に一言言われて縮こまる兄はどうかと思うが、実際兄弟喧嘩になってしまえばライナーに勝ち目のないことを彼は自身で知っている。過去にあったから知っている。


そして追記、シャーロックがしたのは兄のライナーを叱りつけたのではなく、仲間に対して少し乱暴な言い方だったので止めただけである。


まだ二人がこの組織に入ったばかりの事、ほとんど同時期と言ってもいいほどにすぐ入ってきた当時の御臼をライナーが鳴かせてしまったことがあったのだ。

本人はそのことを少し根に持って今でも後悔はしているものの、口調を直すというのはそう簡単ではなく悪戦苦闘の末に結局とはなるが、シャーロックに止めてもらう事となったのである。


「はい。言われてみればそうですね。」
少し行ってきます。


「え、外行くの?   じゃああたしもいく!」
と千尋が言う。
「あ。姉ちゃん行くんなら俺も俺も。」
と、水無月弟(陽炎)が軽くチャラ臭く言って立ち上がった。




と三人が木製と思われるおしゃれ目な扉を開ける。


扉を開けると、外側に取り付けられたベルから《チャリンッ》と音がする。扉には『CLAUSED』の掛札か掛けられてある。

辺りを見回すと、もう時計が9時あたりを回っていることもあってか結構に人が流れている。


そして、目的。隣のA面黒板に書かれてあるチョークの文字。

それをいるために三人だと邪魔なのでA面黒板のやや右目に御臼、正面にかがむ千尋とその後ろに陽炎というポジションになる。


本日のおすすめとある事からもうすぐ開店するのだろうか。そんなことを考えたが、その『本日のおすすめメニュー』のすぐに上、『PM 00;00~PM 23:30』の文字が見えた。

「12時からか。」
陽炎が言う。


「お店が始まってしまう頃にはさすがに出ていかないと営業妨害になっちゃいますね。」


言い、戻りだす。扉に近い陽炎から扉を開け、
「どうぞどうぞ。」
陽炎は千尋と御臼のために扉を開けている。

「ホントあんたってそういうところは気が利くのね。」
「ありがとうございます。」
と、姉の関心と同僚の感謝を受ける陽炎。悪い気分にはならない。




「で、何時(あとどのくらい)だった?」
下根がパスタを巻きながら言っている。

「12時かららしいので・・・・・・・・・」
御臼が時計を見る。と同時、7人全員がつられて時計を見てしまった。

「2時間と45分、何か遊んでいられるくらいか。」
シャーロックが言ったその言葉が『暇』という言葉といっしょに皆をどっと疲れさせる。




提示報告。
「地上班。暇です、帰っていいですか?」 
 

 
後書き
少し時間がかかってしまいましたね。


というのもまたまた言い訳になるのですが、現在まだ非公開の状態にしていますが『一次創作』を進行中です。

まあ、実はもう一つ公開状態でありますね。『絶対にホラー展開にしない都市伝説ミ☆』が・・・・・・。


まあ、最終更新を見てもらえれば分かると思いますが、手を付けておりません。ご要望があれば続き書きます。


さて、話を戻しまして今回の一次創作の話です。現在は基本の設定と出始めの2000字ほどを書いてある状態です。予定では1話10000~12000文字程度で構成しようと思っております。

理由としては、実物大のライトノベルはどのぐらいの長さかというものをネットで調べましたところ、小説一巻が基本10万文字程度で構成されているという話を見まして、どの程度なのか測ってみたいという結論に至ったわけです。


まあ、進行中のお話はその10万文字が出来上がってから公開するつもりですのでその時は「頑張ったんだなぁ~」という暖かい目で見ていただければ幸いです。

一応、第一話の時点での感想を聞きたいため、第一話が出来上がってから少しの間だけ公開するつもりです。期間は恐らく10日ほど。


まあ、後々経過報告はしていくつもりですので、また朗報をお待ちください。 
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