歌集「春雪花」
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
270
夜もすがら
恋すも侘しき
想いなれば
捨てきれぬ身の
いとも虚しき
一晩中彼を想って…それがなんだと思い…所詮は無意味なことだと自分を窘め…。
人の一生など、長いようでいてとても短い…。
その一生の中で…恋だの愛だのと右往左往するのだ…。
苦笑するほかないが…それでも諦め切れずに想い続けてしまう…。
こんな私自身…なんと無駄なものであろうか…。
村雨の
濡れにし里の
侘しさに
わが身世にふる
君のいぬ道
秋の淋しい雨が…刈り入れの終えた田や、色づき始めた山野を濡らす…。
彼の声を聞けなくなって…どれだけになるだろう…。
彼の姿を見れなくなって…どれほどになるだろう…。
溜め息を一つ零し人生を振り返れば…後にも先にも、彼と共にある道はないのだと悟る…。
後悔だらけの人生…後、どれ程続いて行くのだろうか…。
ページ上へ戻る