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『現実世界』

作者:零那
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『ひと』



歪んだ心や歪んだ性格とやらは戻すことなんて出来ないよ。
なんでかって、だって元が歪んでるんじゃ戻しようもない。
じゃあ正常な心や性格になれって言われても無理でしょ。

生活環境や家庭環境が良い方向に変われば、自然と心や性格も良くなるって誰が決めたの?
そんな保証なんて無いから。
むしろ綺麗事ばっかり言う大人が増えれば不信感は募る一方。
だから尚更他人との壁は分厚くなるばっかりだったよ。

それでも、こんな自分でも必要としてる人がいた。
必要としてくれてる人もいた。
きっと、自分にとって其れだけが生きてた理由。

命の重さなんて知らない。
そんなことどうでも良かった。
むしろ棄てたくて仕方なかった。
こんな汚くて迷惑な躰。
魂すら木っ端微塵になるべきだと思ってた。

今、此処に生きてる此の躰と魂に感謝したい。
あの時、死ねなかったから...
あの時、掬われたから...
あの時、死ぬより苦しい想いをしたから...
あの時、大切なものが在ったから...

ひとは、独りでは生きてけないと思い知れば、ひととして大切なことを知れる気がする...。
歪みが改善されたりするのは、それからなのかもしれない。


 
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